表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【漫画3巻発売中】蔑まれた令嬢は、第二の人生で憧れの錬金術師の道を選ぶ ~夢を叶えた見習い錬金術師の第一歩~【Web版】  作者: あろえ
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/88

第66話:調査依頼5

 リオンくんと一緒に全力で走り、霧を抜けると、クレイン様と騎士の方々が集まっていた。


 どうしよう。思っている以上に大きな騒ぎに発展している。増援を呼んでくれたみたいで、明らかに騎士の数が増えていた。


 お父様の姿まで見えるから、後で怒られるかもしれないが……。今は無事に戻ってこられたことを喜ぼう。


 気づいてくれたクレイン様が駆け寄ってくる中、走り疲れた私とリオンくんは地面に座り込む。


「ミーア! リオン! 無事だったか」

「ハアハア。何とかリオンくんのおかげで助かりました」

「ハアハア。結界石を持ってきてよかったです」


 異常事態だと察した騎士たちは、周囲の安全を確保するため、散り散りになって警戒する。


 私は張り詰めた空気を肌で感じながらも、心強い騎士たちの背中と慣れ親しんだ父やクレイン様の顔を見て、安堵していた。


「いったい何があったんだ。あれから一時間も経っているぞ」


 ……い、一時間!? せいぜい十分程度では? と思い、リオンくんの顔色をうかがう。


 同じように驚いているので、霧の中と外では時間の流れが違うものだと悟った。


「何から話せばいいのかわかりませんが……。結論だけ言ってしまうと、霧の中に魔法陣があって、そこから瘴気が出ていました」

「瘴気を生み出す魔法陣、だと?」


 驚くクレイン様とは違い、お父様は無言で目を細めて険しい顔をした。


 両者のまったく違う反応が気になりつつも、私は報告を継続する。


「魔法陣を中心に霧も瘴気も濃くなっていたみたいです。挙げ句の果てには、その瘴気が魔物の形を取り始めて……」

「それでリオンが結界石を使ってくれた、というわけか」

「危機一髪でしたね。調査せずに逃げようと話していた矢先の出来事でしたから」


 本当はまだまだ言いたいことはある。ただ、この場所で報告を続ける方が危険だと思った。


 その証拠に、周囲を警戒していた騎士たちがざわつき始める。


「魔物が瘴気を発するんじゃなかったのか?」

「そんなこと知らねえよ。魔物の生態はまだ解明されていないはずだぞ」

「でも、この霧は普通じゃなさそうだからな」


 地質調査でリオンくんが魔力に異変を感じていたし、この霧に破邪のネックレスも反応していた。精神面や時間に干渉するとなると、明らかにただ事ではない。


 そんな魔法陣が自然に発生したとは、考えにくいわけであって……。


 現場の騎士に動揺が走る中、お父様が大きな咳払いをして、注目を集める。


「騎士団はただちに部隊を組み、霧の中を調査しろ。身の危険を感じた場合、迷わず安全圏まで退避して構わん」

「はっ!」


 我が父ながら、鬼教官と呼ばれているだけのことはある。指示を出した瞬間、騎士の顔付きが変わり、周囲に散っていった。


 一方、そんな騎士とは違い、クレイン様は顎に手を当てて何かを考えている。


「瘴気を生み出す魔法陣……か。この霧がそれを隠すためのものだと考慮したら、騎士団が見つけられるとは思えないが」


 まだすべての出来事を報告していないのに、そんなことまで考えられるとは。私は魔法陣を見つけた時点で、すぐに戻ってくるべきだったと反省した。


「実は、他にもまだ話したいことが――」

「騎士団が見つけられなかった、という結果が必要なのです」


 報告の続きをしようと思った瞬間、お父様に不穏な言葉で遮られてしまう。


 何かを隠しているのは明白で、すでに見当がついているみたいだった。


「この件は、おそらく娘の勘違いだと処理されるでしょう」


 お父様が何を言いたいのかわからず、私はリオンくんの方に顔を向ける。すると、僕も魔法陣を見ていますけど……と言いたげにキョロキョロと目を動かしていた。


 しかし、クレイン様は納得したみたいで、大きく頷いている。


「踏み込んではならない裏の理由がある、ということか。ホープリル子爵が現場に戻ってきたのも、そういう理由だったのだろう」

「察しが早くて助かります。しかし、確証があったわけではございません。すべては国王陛下の御心のままに」


 これが大人の話し合いというやつだろうか。国王様の名を出されたら、不用意に突っ込むわけにもいかなくなってしまう。


 クレイン様は物怖じせず、神妙な面持ちでお父様と見つめ合っているが。


「こちらも国王陛下の勅命を受けている以上、結果が求められる。このまま引き下がるわけにはいかない」


 まさかのオウム返しをカウンターで決められ、さすがのお父様も渋い顔をした。


 そして、諦めるように溜め息を吐く。


「大きな声では言えませんが、過去の遺物かもしれません」


 お父様の言葉に、私たちは互いに顔を見つめ合う。しかし、誰も知らないみたいで、キョトンッとしている。


「過去の遺物? 聞いたことがないな」

「戦時中でも滅多に見られるものではありませんでした。宮廷錬金術師とはいえ、若いクレイン殿が知らなくても当然のことでしょうが……今後はそうもいかないかもしれません」

「今回の事件は序の口にすぎない、と言うことか。いったい何を隠している」

「これ以上のことを口にするのは、禁じられておりますゆえに」


 どうやら国王様の許可が下りない限り伝えられないみたいで、肝心なことを教えてくれないお父様は、口を固く閉ざしてしまった。


 魔物の繁殖騒動の問題も解決できていないが、これ以上の話し合いはできそうにない。


 調査依頼は十分な成果があったと言えるし、私たちの役目はこれで終わり……になればいいなー……。


「国王陛下に直接聞くしかないようだな。至急王都に帰る必要ができた。騎士団で部隊を編成してくれ」

「……御意」


 何やら大きな出来事に巻き込まれようとしている、そう思わずにはいられなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2025年5月24日より、新作『モフモフ好きのオッサン、異世界の山で魔物と暮らし始める』を投稿しております! ぜひチェックしてみてください!

https://book1.adouzi.eu.org/n1327kn/

 

本作のコミカライズ版3巻まで発売しておりますので、是非チェックしてみてください!

 

蔑まれた令嬢は、第二の人生で憧れの錬金術師の道を選ぶ、コミカライズ1巻

 

書籍は1~2巻まで発売中です!

 

蔑まれた令嬢は、第二の人生で憧れの錬金術師の道を選ぶ

 

蔑まれた令嬢は、第二の人生で憧れの錬金術師の道を選ぶ2巻

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ