表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【漫画3巻発売中】蔑まれた令嬢は、第二の人生で憧れの錬金術師の道を選ぶ ~夢を叶えた見習い錬金術師の第一歩~【Web版】  作者: あろえ
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/88

第54話:付与スキル2

 リオンくんに付与のやり方を教えてもらえることになり、私は胸を膨らませている。


 調合や形成とは違うスキルを身に付け、錬金術の新たな世界が開こうとしているのだ!


「始める前に確認したいんですが、ミーア様は付与を使ったことがないんですよね」

「はい、まだまだ見習い錬金術師ですからね。調合を使い始めたのも、クレイン様の下で仕事をするようになってからです」

「本当に始められたばかりなんですね。それなのにオババ様に認められて、大きな功績を上げるなんて……。ミーアさん、すごいですよ!」


 ……そ、そう? リオンくんは褒め上手だな。ただの子爵令嬢をおだてても、なんの得もしないのに。


 なーんて気分を良くしている私の隣で、クレイン様はとても難しそうな顔をしている。


「リオン。ミーアの言葉を信じるな。俺は見習い錬金術師として扱っていないぞ」

「変にハードルを上げるのはやめてください、もう。……いや、見習い錬金術師として扱ってくださいよ」

「もう少し見習いっぽいことをやってから言ってくれ。たった一ヶ月程度で調合と形成を覚えて、今度は付与を覚えようとしているんだぞ。そんな見習い錬金術師は、ミーア以外に存在しない」


 クレイン様にハッキリと否定されると、さすがに返す言葉が見つからない。


「それはそれ、これはこれです。偶然そういうイベントが重なっただけですよ」


 よって、私は適当に誤魔化した。クレイン様に冷たい視線を向けられているので、誤魔化しきれていないと察するが。


 その光景がおかしかったのか、リオンくんにクスクスと笑われてしまう。


「二人はとても仲が良いですね。クレイン様が女性と親しくされている姿を見るのは、久しぶりな気がします」


 リオンくんの言葉を聞いて、記憶を探ってみるが、確かにクレイン様は女っ気がなかった。結婚も考えていないと言っていたし、貴族女性を相手にするのが苦手なのかもしれない。


 つまり、冒険者ギルドの受付で働いていた時から、私は貴族令嬢として扱われていたわけではなく、錬金術仲間という扱いになっていたと推測する。


 キリッと表情を引き締めたアリスが『両者ともに脈ありとみたね』と言っていたけど、現実にそんなことはあり得ない。


 私たちは、男女の壁を壊すほどの共通点、錬金術の虜になっているだけなのだ。


「俺は貴族の面倒な人付き合いに辟易しているだけだ。下手に交流関係を増やすと、錬金術の時間が奪われる」


 やっぱり! 工房内に男女二人でいても変な空気にならない理由が、ここにある!


 この工房には、錬金術バカが二人もいたのだから!


「クレイン様とは付き合いが長いですし、今では師弟関係です。良い距離感で過ごしていますよ」


 師弟っぽい雰囲気など数えるほどしかないがな……と言いたげなクレイン様の冷たい視線を感じる。


 私はそれに対抗して、もっと色々教えてください、と言わんばかりに目を細めておいた。


 錬金術バカに相応しいアイコンタクトである。


 そんなことをしている間に、付与を教えてくれるリオンくんが聖なる魔石を一つ手に取った。


「とりあえず、一度見本を見せましょうか。あまり時間もありませんし」


 ついに付与スキルを教えてもらえることになり、私の目はギラギラと輝き始める。


 今回はリオンくんを師として、しっかり付与スキルを学ばせてもらおう。


「聖水を作るには、魔力水に聖なる魔石の力を移す必要があります。そういった素材から魔法の力を移すスキルを付与と呼んでいます」


 聖なる魔石を魔力水に浸したリオンくんは、片手をかざして付与領域を展開。見る見るうちに聖なる魔石の魔力だけが溶け込み、光を反射するほど澄んだ魔力水『聖水』が生成された。


「うぉぉぉぉぉー! これが付与ですか……!」

「は、はい。そこまで驚かれると、恐縮ですが」


 あっ、すいません。さらに貴族令嬢らしさが遠のいてしまいましたね。うっかりしていました。


 こういうところが平民っぽいんだろうなーと思いつつも、私は頭の中で錬金術のことばかり考えている。


 実際に付与領域の展開を目の当たりにすると、疑問に思うところがあったから。


「なんだか調合領域の展開と似ていませんでしたか?」

「僕も詳しいことはわかりませんが、基本的に領域展開はどれも同じらしいですよ。魔力の流れ方や波長、術者に込められた想いなどによって変わるみたいです」

「そうなんですね。形成を身に付けた時には、全然気づきませんでした」

「できることが増えてきたからこそ気づく、って感じでしょうか。比較するものが身についていないと、わからないこともありますので」


 なるほど。だからクレイン様も形成の熟練度を上げた方がいい、と言っていたのか。感覚がゴチャゴチャになると、せっかく習得したスキルを失いかねないから。


 そういうところは師匠っぽいなー……と、改めてクレイン様は私の師匠であると、再認識するのであった。

「続きが気になる」「面白い」「早く読みたい」など思われましたら、下記にあるブックマーク登録・レビュー・評価(広告の下にある☆☆☆☆☆→★★★★★)をいただけると、嬉しいです!


執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

2025年5月24日より、新作『モフモフ好きのオッサン、異世界の山で魔物と暮らし始める』を投稿しております! ぜひチェックしてみてください!

https://book1.adouzi.eu.org/n1327kn/

 

本作のコミカライズ版3巻まで発売しておりますので、是非チェックしてみてください!

 

蔑まれた令嬢は、第二の人生で憧れの錬金術師の道を選ぶ、コミカライズ1巻

 

書籍は1~2巻まで発売中です!

 

蔑まれた令嬢は、第二の人生で憧れの錬金術師の道を選ぶ

 

蔑まれた令嬢は、第二の人生で憧れの錬金術師の道を選ぶ2巻

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ