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【漫画3巻発売中】蔑まれた令嬢は、第二の人生で憧れの錬金術師の道を選ぶ ~夢を叶えた見習い錬金術師の第一歩~【Web版】  作者: あろえ
第一部

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第33話:見習い錬金術師の葛藤

 無事にヴァネッサさんのポーション依頼を終えて、一週間が過ぎる頃。見習い錬金術師として過ごす平凡な毎日が、早くも私の日常になり始めていた。


 広々とした工房の掃除をして、薬草の在庫を管理し、錬金術を練習する。


 魔法陣の上でしかできなかった形成スキルも、今となっては――。


「細かい形を整えるのは、なかなか難しいですね」


 ギリギリ扱えるレベルに到達し、念願のペンギン作りに挑戦している。


 まだまだ慣れない作業に悪戦苦闘中で、思ったようには作れない。でも、魔法陣に頼ることなく形成領域を展開して、自分の力だけで作れることに、一歩ずつ前に進んでいると実感していた。


「スキルの練習をしているところ悪いんだが、ポーションを査定してくれ」

「あっ、はい。わかりました」


 もちろん、助手の仕事も怠らない。御意見番として雇ってもらった以上、しっかりとポーションを査定して、クレイン様の研究に貢献できように努力している。


 最初こそ宮廷錬金術師に口出しするのは恐れ多いと思っていたが、今ではスッカリ仕事だと割り切ることができていた。


「うーん、だいぶムラがなくなりましたね。冒険者ギルドで買い取った品質の悪い薬草で、このレベルのポーションが作れるとは思いませんでした」

「俺も同じことを思っている。これで調合と形成を多重展開すれば、品質の悪さをカバーできると判明したな」


 クレイン様が研究を進めているのは、新しいポーションの作り方と、その成分分析だ。


 私が形成スキルを練習している間に、少しずついろいろなことがわかり始めている。


「今のところ、ミドルポーションよりも大幅に作成時間とコストが軽減できる、という部分が大きいメリットでしょうか」

「そうだな。中級ポーションと呼ばれるミドルポーションの作成は、薬草を乾燥させる必要があるため、時間がかかる。天気の悪い雨期に影響を受けないという意味でも、メリットは大きいだろう」


 こうして新しいポーションを作る研究が進んでいくと、二人だけしかいない工房にも活気が出てくる。


 毎日新しい発見があり、作る度に改善点を考え、品質の良いポーションが生まれる。それが何よりも嬉しくて、楽しくもあった。


 まあ……もう少し実用的な作成方法だったら、文句の一つも出てこなかったんだけど。


「問題は、魔力操作が難解なことだな。今みたいに良質な薬草が不足しない限り、デメリットの方が大きいかもしれない」

「素材の品質が悪いほど、魔力水と薬草の量を増やす必要もあり、時間もかかりますからね」

「最低でもCランク錬金術師くらいの実力がないと、適切に扱えないな」

「調合する量が増えるほど、術者の負担にもなりますし、大量生産は難しそうですね……」


 デメリットを思い浮かべるだけで、工房内に冷たい風が吹き荒れ、一瞬で活気が消え去るような感覚に襲われる。


 なんといっても、形成スキルを使いこなすクレイン様でさえ、苦戦しているのだ。


 薬草の下準備をしながら、一日かけて作成したとしても、二十本しか作れない。まだまだ形成スキルを練習中の私では、魔力消費が大きすぎて、使いこなすことは難しかった。


「わざわざこの方法でポーションを作る意味ってあるんですかね」

「良質なポーションを作る方法は、いくらあっても損はない。研究を始めたばかりだし、結論を出すのは早いだろう」

「そういうものでしょうか」

「焦らなくてもいい。本来、錬金術の研究は年単位でするものだ。新しい生成方法を見つけただけでも、大きすぎるほどの成果だぞ」


 そんなことを言われてもなー……と思ってしまうのは、錬金術師として成果を上げた実感が湧いていないからかもしれない。


 大量のポーションを作成したけど、まだ使用した感想はもらっていない。ちゃんと品質をチェックしているとはいえ、初めて自分だけで作った商品なので、どこか不安な気持ちが心に残り続けていた。


 怪我はしない方がいいし、ポーションを使う機会が減るのは良いことだと思うけど……うーん、本当に大丈夫かな。


「納得できないか?」

「あっ、いえ。まだまだ知らないことが多いなーと思いまして」

「経験が少ないだけで、もはやミーアは一人前の錬金術師と言っても過言ではない」

「変に持ち上げるのはやめてください。まだ基礎的なスキルの練習をしているんですから」

「調合を専門分野にすれば、錬金術ギルドも飛びついてくるぞ」

「ヴァネッサさんに変な依頼を押し付けられたくはありません」

「それはそうだな」


 などと話していると、珍しく工房の扉がノックされる。


 クレイン様と顔を合わせ、互いに首を傾げるほど、この工房には誰も訪れないのだが……。


 居留守するわけにもいかないので、扉を開けてみる。すると、そこには噂をしていたヴァネッサさんが、息を荒げて立っていた。


 それも、珍しく神妙な面持ちで。


「二人に緊急依頼よ。すぐにポーションを作ってほしいの」

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