85 VSドノバン(レオン編)
(リーフ)
あれ?もしかしてレオン、やる気満々??
レオンは相変わらずの無表情だが、実は心の中では────ワクワク!ドキドキ!俺も早くやってみたいな!……だったりして〜!
子供らしい一面に、思わずほっこりしてしまったが、直ぐにはっ!と我に返り、慌てて悪役の仮面をかぶる。
「はっはっは────!今日はまぁまぁだったかな!
レオンはせいぜい頑張って、俺を楽しませるような戦いをしてみせるんだよ!
すぐ負けちゃったらつまんないからね!」
「なるほど……はい、俺はリーフ様を楽しませます。お任せください。」
やはり思った通り、やる気満々な様子のレオンに思わず、おおー!と関心していると、レオンはペコリと俺に頭を下げた後、ドノバンの方へと向かった。
勝負と聞くと燃えてしまうのは男の性!
これでムチムチ美女の観客でもいれば、更にテンションが上がるのだが……。
俺はその場にちょこんと座り込み、地面に生えている雑草をイジイジといじる。
残念な事に観客は俺と雑草だけ。
そのうち異性のお友達もできたらいいな!
友達百人できるかなの歌を、女の子の友達できるかな〜♬に変えて歌いながら、ドノバンとレオンの対峙している姿を大人しく眺めた。
「随分とご主人さま思いの犬ころだな。
攻撃が当たりそうになったらフライングでもするつもりだったのか?」
「…………。」
「お〜こわっ!……お前、なんかおかしいな……。本当に8歳のガキか?」
???ちょっとよく分からないが、ドノバンが急にワンワンのお話をし始めた。
そしてそれに同意しなかったレオンの悪口まで……!
なんと大人気ない!!
「こらー!ドノバン!犬だろうと猫だろうと何でもいいじゃないか!
好きなものはそれぞれ!それを否定してはいけないよ!」
「?はぁ??お前、何を言って────……。」
俺の説教に一瞬呆れたような眼を向けてきたドノバンだったが、すぐに真顔に戻り、突然木刀を自身の胴体をかばうような位置に移動する。
────────すると……。
ガキィィィィィン!!!!
何かが凄い勢いで衝突した音と遅れて物凄い剣圧が周囲に広がった。
「────うぷっ!!」
ぶわっと舞う砂ホコリが顔に当たり、小さく叫びながら顔をかばう。
そしてその後直ぐにドノバンの方を見ると、ドノバンが構えている木刀にもう一本の木刀が接触していて、その先にはレオンがいた。
つまりは、今のはレオンがドノバンの胴体を狙った攻撃をした??様だ。
しかし……レオンは動いてなどいなかったのに、気づけばそこにいた。
あれ???なんでレオンがそんなところに???
呆けた頭で考えていると、そこから眼に見えぬほどのスピードで剣のラッシュが始まった。
まるでビデオの三倍速のような……いや、それ以上の動きに、俺の目は追うことを諦め、ひたすら吹き付ける風の風圧で涼むことになる。
「…………。」
黙って見ているしか選択肢がない中、前髪がソフトクリームの様に捻れ天をむいたまま固まる頃、レオンが華麗に攻撃を避けドノバンの足をバシッと軽く打つ。
それにより少し体勢を崩したドノバンに向かい、レオンは冷静に剣を振り下ろした────が…………?
突然消えたドノバンがレオンの横へ一瞬で現れ、そのまま剣をレオンに向かって横に振りきった。
それをレオンは先ほどのドノバン同様の構えで受け止めるも、かなりウエイトが高い攻撃だったようでその体制のままレオンの小さな体は吹き飛ばされてしまった。
「────あっ!!」と叫んだが、レオンは軽く地面に着地し、そのままドノバンの方を向く。
第二ラウンドか……!とゴクリと唾を飲み込んだ瞬間────……。
「はいっ!!タイム!タイム!!ちょっと作戦タ──イム!!」
ドノバンは叫びながらピューと俺の方に駆け寄ってしゃがみ込むと、ヒソヒソと内緒話をするように小さな声で話し始めた。




