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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十二章

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(ナックル)870 クソガキ

(ナックル)


「は────ッはっはっ!!これであのクソガキも!気に入らねぇザップルやヘンドリクの野郎も全員おしまいだぁぁぁ────!!!

俺の願いを全て叶えてくれる『神様』!!全部ぶっ壊せぇぇ〜♬」


勢いよくその場で立ち上がり、両手を黒い蝶に向かって向けると、それに答える様に黒い蝶の前に巨大な黒い固まりが徐々に形成されていき、それがゆっくりと街に向かって放たれた。

最初の何発かは、守備隊が犠牲になって受け切るはずだと知っていたので、余裕で笑いながらそれを見ていた────────が……。


────ピッ!


突然白い光りがその黒い球に飛び込んでいったと思ったら、黒はあっという間に消え去り空から光が差し込んだ。

その光はまるで、俺の輝かしい未来に穴を開けられた様で、俺は黒い蝶に手を差し出したまま笑顔で固まる。


「……はっ???」


何が起こったのか分からず、思わず俺は間抜けな声をあげた。


『呪いの攻撃が消えた??』

『そんな事はあり得ない』


『じゃあ、一体何が起こった??』


理解を越えた出来事が目の前で起こり固まったまま動けずにいると、突然白い伝電鳥が街中を飛び回りある言葉を伝えてくる。


『俺に呪いは効かないぞ!お前は俺がぶっ飛ばす!!』


『────全員でハッピーエンド、目指そうっ!!!』


「なっ……なにぃぃぃぃぃぃぃぃっ────────!!!!!!?」


────あのクソガキィィィィ!!!!!


聞き覚えのあり過ぎる声を聞き、一瞬で血の気が下がり真っ白に。

更に全身に鳥肌と悪寒が走り、未だかつてない恐怖を感じた。


何だ?

何だ??

一体何なんだよ!!あのクソガキは!!


どこまでも俺の前に立ちふさがり、幸せを全てぶち壊してくる!!


ガタガタと震える体を抑えながら、その存在の恐ろしさを心の中で叫ぶ。


呪いが効かないなどそんな話、聞いたこともない!

そんな事は嘘。

きっと大丈夫、大丈夫……。


ブツブツと呟きながら、俺の目の前にはある一つの未来が映った。


世界を滅ぼさんとする呪いの黒い蝶を、見事に倒してしまったクソガキの姿。

そして、それにより手に入れるはずだった金、地位、名誉の全てを奪われ、斬首台に一歩、また一歩と足を進めていく自分の姿……。


「あ”あ”あ”あ”あ”あ────────っ!!!!!」


全身から絞り出すような大声を上げて、その妄想を吹き飛ばす。


あのクソガキは人を破滅させる邪神の生まれ変わりかなんかに違いない!

あの野郎だけはどうにかしてここで消さねぇと、俺に栄光の未来は永遠に来ねぇ!!

そう確信した俺は、直ぐに宙を舞う伝言シャボンに向かって叫んだ。


「おいっレイナっ!!!さっさと返事しろっ!!一体どうなってんだ!?────あぁっ??!!」


あらん限りの声で怒鳴り散らし、そのまま伝言シャボンを飛ばしたが……全く音沙汰はない。


レイナの方でも何かあったのか……?


そんな不安を抱きながら待っている間にも、何と王女様までこの戦いに参戦するという声明まで出してきやがった!


俺は歯ぎしりをしながら落ち着こうと、一旦ドカッとソファに座り込み小さく震えたまま頭を抱える。

そうして時間ばかりが過ぎていき、正面門の方では激しい戦闘音まで聞こえてきた。


「────っくそっ!!一体何が起きてんだよっ!!

どうにかしねぇと、俺はこのままあの邪神小僧に滅ぼされるっ……!!…………────!!そうだ!!」


一つ良いことを思いついた俺は、耳に取り付けている<簡易式通信器>に向かって話し出す。



< 簡易式通信器 >

耳に取り付けて使う通信用魔道具で、予め設定しておいた相手と会話する事ができる。

ただしお互いの波長が合わないと使えない場合もある事と外部からのジャミングなどにより情報が盗まれてしまう事も多いのであくまで簡易的な使用が勧められる。

しかし、比較的安価で手に入れる事ができるので冒険者や傭兵のパーティー間ではメジャーに使われている。



「おいっ、街にもう頼まれたモンを設置し終わったか?」


《ほぼ終わりやした。慎重にやらないとドカンッ!ですからね。

何やら騒がしくなってきたので、そろそろトンズラしますか?》


向こうから聞こえたのは、現在街でモンスターボックスを仕掛けている仲間達の声で、順調に進んでいるらしい計画に多少は不安が解消された。


「いや、まだトンズラできねぇ。ちぃ〜とばかし不味いことになってやがるからな。

全部あのクソガキのせいだっ!!────クソがっ!

とにかくさっさと街にモンスターボックスを仕掛けろ!その後は直ぐに教会の避難所へ向かえ。」


《────へっ??俺たちも、街の連中と同じくそこに一旦避難するんですか?》


驚いた様子の仲間に、俺はフッと鼻で笑う。


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