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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十二章

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(ナックル)868 キラキラ

(ナックル)


<冒険者ギルド前、呪災の卵孵化前>


「ん〜〜♬んんん〜〜♬」


俺はご機嫌で鼻歌を歌いながら、ガランとしたギルドの建物の前で街でかっぱらってきたソファーに座り、手にした宝石たちを眺めていた。


「へぇ〜?結構良い宝石じゃねぇ〜の。悪くねぇな。」


そう言って既にジャラジャラと首から下げてあったネックレスの上から、更にもう一つ大ぶりの宝石がついたネックレスを掛けると思わず笑いが漏れる。


両手の指には沢山の色とりどりの宝石がついた指輪が嵌められ、手首には金と銀で装飾されダイヤが散りばめられた見事なブレスレッド。

キラキラと輝くそれらは、俺の目を非常に楽しませてくれた。


あぁぁぁ〜……やっぱり良い。最高だぁぁぁ〜……。


うっとりしながら、富の象徴、成功の証としてそれを示してくれる宝石たちを太陽にかざす。

しかし、そんな宝石たちに混じって一つだけ、宝石がついていない簡素な指輪が目に入り気分が僅かに曇った。


【移転リング】

これはレイナと呼ばれる女にこの計画を持ちかけられた後に貰ったモノで、『合図をしたら使え』とだけ伝えられている。


「『呪いを生む卵』……ねぇ?────まっ、ホントにやばくなりそうだったら、別に合図を待たずに逃げりゃ〜いいし、まぁいいか。」


レイナからはこれから生まれるモノの正体を簡単だが教えられ、呪いという言葉にビビリはしたが……同時に渡された移転リングによって最終的に引き受ける事にしたのだ。


「しかし、こんなバカ見てぇに高けぇ魔道具をポンッと人数分出せるなんざ、どんだけのお偉いさんなのかねぇ?────ククッ。この件が終わっても末永〜く懇意にして貰えれば無敵じゃねぇか。」


これから来る栄光の光に照らされた未来に想いを馳せ、ハハッ!!と思わず笑ってしまった。


『Sランク冒険者へのランクアップ』

『有り余る程の莫大な報奨金』


今回の事が終われば、俺にはこの2つが与えられる事になっている。

それをフルに使い、今度は優秀な新人を大量にクラスに加入させ、今のクラスをもっともっとも〜……っと巨大なクラスにして、俺はそのトップとして君臨するのだ。


「そうすりゃ〜俺は、上で下の奴らがあくせく働くのを見ているだけでいいっつーわけだ。

どんどん金を稼がせて、俺は誰も逆らえぬ権力者へとのし上がってやる。」


アハハハハ────!!!

思わず空に向かって大笑いしていたのだが、晴れ渡る大空に突然モアモア〜とあのクソガキの姿が写り、ご機嫌だった気分は一瞬で台無しになる。


俺の栄光の未来を邪魔する最大の敵!!

腹が煮えたぎる様な怒りを感じながら、再度、指に嵌められている移転リングに視線を移した。


そもそも今回の計画の決行は、もっと早い時期を予定していたらしく、そのつもりでレイナも俺たちも準備していたのだが、待てども待てども始まる気配がない。

それに業を煮やし『どうなっているんだ!!』とレイナを怒鳴りつけたが、レイナもイライラした様子で『こっちが聞きたいのよっ!!』と怒鳴り返してきた。

レイナはすぐに原因を調べ始めた様だが、どうもその最大の原因は『救世主』などと呼ばれている少年……あのクソガキのせいであると突き止めたらしい。


計画をこれ以上送れさせては不味いと思ったレイナは虫達を使い、クソガキにちょっかいを掛けにいったらしいが、なんと瞬殺。

一瞬で燃やされてしまったらしい。

それだけで圧倒的な力の差を瞬時に感じ取ったらしいレイナは、結局これ以上ちょっかいをかけるとコチラが不味いと考え、直接の攻撃を諦め待つ事にした様だ。


「────っ畜生っ……。」


その時の忌々しい気持ちを思い出すと自然に手に力が入り、持っていた宝石が無惨にも砕け散ってしまった。

キラキラと光りながら地面に落ちていく宝石の残骸達を見下ろしながら、俺の今まで築いてきた地位を跡形もなく壊したクソガキについて思い出す。


勿論あれから俺は何度も刺客を送り、ヤツを亡き者にしてやろうと目論んだのだが────諜報系の資質持ちの仲間達に身辺を探らせれば錯乱した状態で戻ってきて、全員自害してしまったのだ。

その事から幻影系スキルを持っているのか?と考え、こちらも同等のスキルを持った奴らを向かわせれば、なんと殺し合いを始めてしまい全滅してしまう。

じゃあ、遠距離攻撃────とも考えたが、ゲイルのクラスの奴らがそれに大失敗した話を小耳に挟み、諦めるしかなかった。


正面から向かっても確実に返り討ちにされる事は目に見えている。

そのためとにかく耐えるしかない日々を過ごし────やっと……やっと今日、計画が動き出したのだ!


「あ〜────クッソ長かったぜ。流石に呪いの化け物相手じゃ〜そのクソガキもお陀仏だろうよ。」


自分の手でぶっ殺せなかったのは残念だが、これで自分の思い描く最高の未来が訪れると思えば仕方がないと諦めるしかない。


『すぅ〜……はぁ〜……。』

大きく深呼吸をし、苛立つ気持ちを抑えると隣にゴトッと置いてある〈聖浄結石〉に目を向けた。


今回合図があるまで守れと言われた大事なモノらしいが、果たして……?


「大事なもんなら、もうちっと綺麗だったらやる気になったのにな。宝石みたいによぉ。」


へっと鼻で笑いながら、それを手に取り上に放り投げたりキャッチしたりして遊んでいると《ちょっと……。》という不満げな女の声がすぐ近くで聞こえた。



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