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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十二章

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(二ール)857 当たり障りない

(ニール)


飛び出してきた小さな影の正体はモルトの出した《フラワー・フェアリー》で、大きさは手のひらサイズくらいの小さい女の子型の形をしている。


ふわふわの鮮やかなピンク色の髪をリボンでクルンと巻いたツインテールに、大きなリボンが中央についている可愛いドレス。

背中に生えている二対の透明な羽をパタパタと動かして楽しそうにモルトの周りを飛び回る。


「フラワー・フェアリー【ハナズオウ】。

彼女は全ての『現実』を裏切る能力を持つ。お前はもう彼女の作り出す偽りの現実の住人だ。」


《なになに〜?モルト何かカッコつけてる〜。今日は悪の組織ごっこ?楽しそう!》


ワクワクした目をモルトに向けて楽しそうに飛び回る【ハナズオウ】を、ゲイルは忌々しそうに睨みつけた。


「生産職如きが妖精を召喚しただとぉぉぉ〜??!ばっ、馬鹿なっ!!」


「ふん、事実なのは眼の前にいる彼女をみれば分かるだろう。生産職は決して弱くはない。いい加減考えを改めないか。」


たしなめる様なモルトの言い方が更に怒りを買ったらしく、ゲイルは顔を真っ赤にして叫んだ。


「はあぁぁぁっ??!!ド底辺は一生ド底辺だろうがっ!!ふざけやがってぇぇ────!!!!」


ゲイルは両拳を大きく後ろに引いてそのまま勢いよく前に突き出す。



<拳圧師の資質>(ノーマル固有スキル)


< 分裂幻影拳 >


凄まじい早さで繰り出される拳の連続攻撃で、まるでいくつもの手が現れた様に見える広範囲攻撃スキル。

その威力と範囲は術者の体力、攻撃力、スピードによって決まる。

(発現条件) 

一定以上の体力、攻撃力、スピードがあること

一定回数以上拳での戦闘経験値があること

一定以上の精神汚染度を持ち更に一定回数以上の『嘘』をついた事があること



空中に沢山のゲイルの拳が浮かび上がり、それが一斉に俺達を襲うが、その大半は【ハナズオウ】の作り出す幻影に当たり、残りは俺の出したゴーレムが完全に防ぐ。


「バッ……バカな……!こ……この俺が……っ!!!」


ご自慢のスキルが全て俺たちに防がれてしまったゲイルは、額に青筋を何本も立てながら下を向いてブツブツと呟きだした。


「何だか可哀想っすね……。」


その姿を見てつい口からそんな言葉が出てしまい、ゲイルは「あぁっ!!?」と凄みのきいた顔で睨みつけてくるが、それを見ても湧いて出てきたのは、恐怖ではなく哀れみだけだった。


「人を踏み台にして壁を越えて、一体人間ってどこまで行けるんすかね。

あんたの話を聞いた時、リーフ様が前に言ってた事を思い出したっす。

『歳を取るほど頭も体も動かなくなるから、周りの助けが必要になる。』

『それが必要じゃない時に、周りを大事にしとかないと駄目なんだよ。』って。

街から戻ってきたお仲間達、誰も助けに入ってくれないっすね。

一回こっちまで来たのに、皆街の方へ素知らぬ顔して逃げていっちゃったっすよ。」


「両手いっぱいに大きな袋を抱えていた所をみると、こんな時に強奪行為か……。

貴方が戦っている間に、盗めるものは盗んで逃げようという魂胆だろうな。浅ましい。」


そんな素敵な『仲間関係』というモノに、モルトと二人、何とも言えぬ虚しさを感じお互い顔を見合わせたが────突然過去の自分の事について思い出した。


◇◇◇

モルトとは親同士が仲が良いこともあり、生まれてからずっと一緒に過ごしてきた、いわゆる幼なじみ。

しかし正直にいえばあまり仲は良くなかった。


同じ生産型の仕事を生業とはしていたが、方向性は全く違うため話が合うわけでもないし、更に神経質で細やかな感性をもったモルトと物事を大雑把にしか捉えない俺とでは性格的にも合わない。

更に貴族にはありがちな『自身の気持ちを相手に晒すべからず』に従って、お互い当たり障りない緩い友人関係を築いていた。


それで困った事?

特になし。


会えばちょっとした日常会話はするし、困っていたら自分に余裕がある事なら助けるし逆の時もある。

なんとなく付き合いがあってなんとなく行動も一緒にするけど、本当は相手が何を考えているかなどは全く分からない。

そんなお手軽な人間関係。


子供の目線から見ても、そういった人間関係は周囲にありふれていて普通だと思っていたし、自分としても気楽で特に疑問を感じる事だってない。

相手の心に踏み込んで知りたいとも思わないし、自分の心にだって踏み込んで欲しくない俺にとって、この関係性が人として最も居心地のいい距離感なのだなと確信していた。


つまり人生というものは全て『当たり障りない』

これが正解。


そんな価値観に従って『当たり障りのない』幸せな人生を歩んでいた最中に出会ったのが、リーフ様だ。


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