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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十二章

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(二ール)854 参上


(ニール)


眼の前のスキンヘッド……によく似ているけどちょっと違う髪をした男は、必死に平静を装っているが────だいぶお怒りなのはー額でピクピクと蠢く血管達によって分かった。


こいつがCクラス冒険者の<ゲイル>か……。


睨みつけてくる男をまじまじと見返しながら、先程の学院での会話を思い出す。


◇◇

学院内に突如現れたカルパスさん

何故ココに??と即座に質問すればカルパスさんはあっさりとそれに答えてくれた。


「元々コチラには来るつもりで準備はしていたのですよ。ですので<移転リング>を使って来ました。」


「えっ……?何でこんな場所に来ようと思ってたんですか……?だってここにいたら……。」


『代償にされるのに』


モルトの持った疑問は俺も皆も同様に思ったので、不思議そうな顔でカルパスさんを見つめると……カルパスさんは静かに笑みを浮かべた。


「『真実を知る者』の義務ですから。

しかし、なにやらウチの主人がやらかしてくれた様で、目的を変更せざるを得なくなりました。全く……困った主人ですよ。」


ヤレヤレとため息をつくカルパスさんだったが、その言葉と態度とは裏腹に非常に嬉しそうな雰囲気が伝わってきた。

それが伝わったのか全員が警戒をすっかり解くと、早速!といわんばかりにサイモンがササッ〜と前に出る。


「カルパスさんって素敵なオジサマですねぇ〜!これから末永〜くよろしくお願いします♡あの〜ボクはぁ────。」


「サイモン様、こちらこそリーフ様の良きご友人としてこれからもよろしくお願い致します。

種族はエルフ族。資質は……【盗賊猫】ですか。それは随分と珍しい資質をお持ちで……。

学院では<報道部>に所属し、一年生ながら素晴らしいご活躍をされてますね。

お書きになった記事は全て目を通しましたが、正義感に溢れるとてもいい記事ばかりでした。

特にリーフ様に関する記事は大変素晴らしい。どうもありがとうございます。」


「…………いえ〜……。」


ニコニコと全く隙のない笑顔を見せるカルパスさんにサイモンは笑顔のまま固まり、そのままススス〜……と俺とモルトの方へと近づいてきた。


「……ね、ねぇ?あの人何であんなに僕の事知っているの?────あ、僕が可愛いから?」


「……カルパスさんは元々諜報ギルドにいた方だからだろう。

小耳に挟んだ話だと相当実力があった諜報員だったらしく、ギルド総長にならないかって話もあったらしいぞ。

基本、情報の9割以上はバレていると思った方がいい。」


コソコソ〜と耳元で質問してきたサイモンに対し、最後の一文で思わず遠い目になってしまったが、モルトがしっかりとカルパスさんに対する説明をする。

するとサイモンは「えっ?嘘……。」「もしかして……アレもコレもバレてる??」とブツブツ言いながら顔色を青く染めていった。


一体何をしたんだろう……。


呆れながらブツブツ呟き続けるサイモンを見つめていたのだが、フッ……といつも一番に騒ぎ出すはずのレイドが随分大人しい事に気づく。

同時にそれに気づいたらしいモルトと一緒にキョロキョロとその姿を探すと、レイドは少し離れた所でメルちゃんと共に震えていた。


「な……なんか……怖い……。」


「……チリチリする……。」


丸まった尻尾を撫でながら震えるレイドと蒼いフードを深く被って目元が見えないメルちゃんを見て、サイモンとリリアさんは、へっと馬鹿にしたような笑いを漏らす。

俺とモルトもヤレヤレと呆れていると、カルパスさんが突然今までの和やかな雰囲気から一変、真剣な様子で俺達全員に向かって話しかけてきた。


「皆様にご確認したい大事な事があるのですが……皆様は命が大事ですか?」


中々ヘビーな質問に俺達は全員ギョッ!としたが、素直に頷くと、カルパスさんはニッコリと微笑んだ。


「では、今直ぐここに残っている生徒達を連れて教会まで行くことを強くおすすめします。

本来は君たちの様な子供が命を掛けてまで戦う義務はないのだから。

35歳未満の若者達は全員安全な場所に避難してもらう事になってます。ですので────。」


「「「「「嫌で────す!!!」」」」


真剣な眼差しでそう言うカルパスさんだったが、俺達の同時に放たれた拒絶の言葉に、ピタリと動きを止める。


「俺はリーフ様の取り巻き第一号ですから!

ソフィア様だって戦っておられるのに、俺だけおめおめと逃げられません!」


モルトの言った『第一号』という言葉にカチンっ!ときて、俺はモルトの前にズイズイッ!!と進み出た。


「俺だって絶対に逃げないっすよ!

リーフ様の取り巻き一号のこの俺、ニールが、リーフ様とソフィア様を置いて逃げられないっすから!」


ドドンッ!と胸を張ってそう言ってやれば、背後のモルトからは不快全開な空気が漂ってくる。

そのまま引っ張りあってお互い前に出ようとしていたが、そんな俺達を押しのけて他の皆がズイズイ!と前に飛び出してきた。


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