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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十二章

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(ゲイル)850 世界で一番ハッピーな日

(ゲイル)


そして次に行ったのはモンスターの討伐依頼のセーブ。

困っている依頼ほどわざと放置しギリギリまで依頼料を釣り上げれば、戦えない街の連中共は面白いくらいに大人しくなっていく。


思惑通りに進む展開に笑いが止まらなかったが、当時うっとおしかったのは同じく王都から派遣されてグリモアへやってきた<ナックルクラス>の奴らだった。

本音を言えば潰してやりたかったが、ここで争えばその時グリモアで幅を利かせていたザップルのクラスの都合のいい展開となってしまう。

そのため暗黙の了解で、お互いテリトリーを決めて美味しい思いをしてきた。


何だかんだで悪くねぇ儲け場になったよな〜。


グリモアは思った以上に俺達にとっては稼げる場所で、王都にいるときより居心地が良い。

                  

そんなある日、上機嫌で日課にしていた街のパトロールをしていた時の事。

目につく店、目につく店に有り難〜いアドバイスや接客についての指導をしていた時、突然一匹の雌ガキが生意気にも口を出してきたため、軽く蹴飛ばして教育してやった。

小さい身体は、まるでボールの様に面白いくらいに吹っ飛び、それがおかしくてそのまま大声で笑う。


『子供相手だぞ!!』

『こんな小さい子を蹴るなんて……何がそんなに面白いの?!』


顔面蒼白でそう怒りを顕にする街民達を見て、本気で訳が分からなかった。


だって相手が弱い奴を痛めつける方が、リスクなしで楽しめるじゃん?♬


仕返しされたり抵抗される相手だと、こっちが損するリスクがあるし?

相手が無抵抗で弱ければ弱いほどこっちはリスクなしに遊べるのに、何でそれが分からないのか?

寧ろ俺はそれが不思議で不思議で仕方ない。


まぁ、それに気づかないからこそこんなクソみたいな搾取され人生なんだろうけどな!


それが更に面白くて笑い続けていると、空からあの憎き化け物小僧が降ってきて────俺は無様にも一撃で沈められてしまった。


街のど真ん中、沢山の目がある中でそれは行われたため、何も言い訳できない。

そのためその事はあっという間に街中に回り、俺は良い笑いものになってしまったのだ。


怒り、屈辱、恨み────……次から次へと湧いて出てくるドス黒い感情に耐えきれず、手短な自分のクラスの奴らに八つ当たりしながらも、自身の立たされている立場を改めて考え頭を抱える。


『この職業は舐められたら終わり』


化け物小僧に一撃で……という事実は俺の評価を地の底まで落とし、冒険者として築き上げてきた地位は見事に大転落してしまった。


ならばその噂共々化け物小僧を消してやろう!


直ぐにそう考えたが、アホみたいに高ランクモンスターをばかすか倒したり、不可能と言われていた高難易度を達成したりと、とてもではないが単体の実力では敵わない。

手をこまねいている間にも俺達に回ってくる仕事は徐々に減り、余裕ができた冒険者ギルドから回ってくる依頼はとうとうゼロに。


とにかくあのガキを始末しなければ俺達に未来はない。

そう確信した俺はあらゆる策を練って実行に移した。


正面から襲っても勝機なし。

それを理解していた俺は、まず遠距離からの攻撃に特化した奴らと狙撃を分からなくするための気配遮断やジャミング系スキルに特化した奴らに命じて、長距離から狙い撃ちの計画を立てる。

そうして視覚では捉える事のできない距離でスタンバイし、今まさに狙い撃とうとした、その瞬間────……。


────パンッ!!!


まるで爆発したかのように狙い撃ちしていた奴らと気配遮断、ジャミング系スキルを発動していた者達全員の頭が吹っ飛んだ。


派手に散った血と飛び散った肉片が雨の様に降り注ぐ中、俺は呆然と立ち尽くす。


奴は何か特別な感知系スキルの持ち主なのか……?


ボンヤリとその考えに辿り着くと、もしそうなら遠方からの攻撃は完全不可能だと理解した。

ならば人質でもとってやろうかとも思ったが、守備隊が復活した今となっては余計面倒な事になってしまうためそれもできない。

結局は暗殺系に特化したスキル持ちの奴らに就寝時に襲わせる計画を立てた。


非常に都合が良いことに、奴は何故かライトノア学院の寮には入らず隅の森に面した北門近くにある小屋に住んでいて、そこなら面倒なライトノア学院の教員達の警戒範囲外であるため恐らく気づかれる事はない。

そのため入念なパーティー編成をし向かわせ、後は嬉しい報告を聞くだけだとニヤニヤしながらそいつらの帰還を待った────が……待てども待てども誰一人として帰ってこなかった。

恐らく全員が始末されたと考えていいだろう。


くそっ!!くそっ!!!くそぉぉぉ────!!!


怒りはとっくに頂点に達し、毎日毎日悪態をつきながら苦しい日々を過ごす羽目になったが、唯一の心の支えは以前現れた、ある高位貴族の遣いの者だと言っていた女に言われた言葉だった。


『もしこの計画が成功したら貴方の望みを全て叶えてあげる。』


それが本当なら計画が成功した後、改めてあの化け物小僧を始末すればいいと、俺は気持ちを一旦落ち着かせる事ができた。


俺の望みはこのままだと一生手に入れる事ができないであろう『貴族籍』の取得と、それについてくる権力、金、女、その欲望の全てを叶える事。

それがグリモアに災害が降りかかる時に〈聖浄結石〉とかいうただの石ころを守るだけで手に入る。

こんな簡単な事で俺の望みが全て叶うのだ。


「クックック……。」


含み笑いをしながらテーブルの上にある〈聖浄結石〉とかいう結晶を持ち上げ太陽にかざした。


「人生楽勝〜♬今日は世界で一番のハッピーな日になるぜ!」


そういった後はガ────ハッハッ!!と大きく高笑い。

そして手に持っている〈聖浄結石〉をポイッとテーブルの上に放り投げると、後ろに立っている2人の仲間達がやや不安そうに口を開く。


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