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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十二章

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(ユーリス)848 開戦

(ユーリス)


<魔法剣士の資質>(ユニーク固有スキル)


< 炎獄のトルネード・スピア >


火属性魔力を纏わせた剣に更に風属性魔力を混ぜ、炎を高速回転し放つ超火力型攻撃。

単体攻撃、範囲攻撃両方に対応しておりその威力はまるで炎獄にいる様だと言われる程。


(発現条件) 

一定以上の攻撃力、火属性魔力値、風属性魔力値、魔力操作を持つ事。

火属性魔法を全て使える事。



まるで炎の竜巻の様な攻撃が放たれれば<ジェット・イーグル>の大群は逃げる事ができず、蒸発する様に一瞬で消えてしまった。


「さっすが赤き闘神様!」


ケンさんがピュ〜♬と口笛を吹いて囃し立てると、ドノバンさんはニヤ〜と笑い「まあな!」と胸を大きく張る。

────が……?


モコッ……。


────モコモコモコ〜!


地面の至る所で土が盛り上がり、中から手のひらサイズの巻き貝の先端が出てくると、ドノバンさんは焦った様子でピュ〜!と俺の後ろに隠れてしまった。


「やべぇ!!あいつら<スライム・マイマイ>だ!!俺の大剣がネチョネチョにされる!助けてくれ〜。」



< スライム・マイマイ >

体長20cm程の渦を巻いた殻に隠れる無形型のBランクモンスター。

スライムと名がつくものの、その本体はスライムではなく強酸で固められたゼリー状のモンスターであるため、獲物に突き刺さった後は貝殻から這い出て体内を溶かしながら捕食していく。

食に貪欲でかつ土の中から一気に飛び出してくるため危険度は極めて高く、更に前衛の武器まで溶かしてしまうため遠距離攻撃が推奨される。



「…………。」


ブルブル震えながら、大剣を抱きしめるドノバンさん。

その姿は非常に気持ち悪くゾゾッ!と鳥肌が立ったが、仕方ないので俺はスライム・マイマイに向けてスキルを発言した。



<審裁官の資質>(ユニーク固有スキル)


< 光剣のジャッチメント >


小さな光属性の剣を多数出現させ敵を攻撃する事ができる超広範囲遠距離攻撃。

敵の存在を正確に捉えるため追尾攻撃も可能。

ただしその際は緻密な魔力操作が必要となるため、一定以上の魔力操作がなければ使う事はできない。

また出現されられる剣の数はその者の魔力量によって決定する。


(発現条件) 

一定以上の魔力、魔力操作を持つ事。

一定回数以上の罪人を剣によって裁く事。

一定以上の正義、秩序、誠実を持ち、更に精神汚染度が一定以下である事。



空中に出現した剣達が<スライム・マイマイ>を次々と攻撃し全て撃破すると、ドノバンさんは何もなかったかの様に意気揚々と前に出てくる。


「俺あいつら苦手なんだよな〜。いや〜ご苦労、ご苦労!ユーリス君!」


「…………。」


今度は自身の情けない姿を誤魔化そうとしているドノバンさん。

それに対し、シラ〜っとした態度をとっていると、更に言い訳を必死に続ける。


「いやいや悪かったって!俺ってほら〜前衛系男子っつーか?前に出るスキル多いじゃん?

だからよ────……ん??何だ?アレ……?」


不思議そうにジ──ッと空を見上げるドノバンにつられ、俺もその視線の先へ視線を向けると、そこには黒いドロドロした球状のモノが多数空に浮かんでいた。


「あれは……?」


目を細めてそれを凝視すると、なんとそこから────……。


ポタリ……ポタリ……。


ドス黒いゲル状の液体が地上へと落下し、それをリーフ君が必死に打ち消そうとしている姿が同時に見えた。


────まさか!!


嫌な予感が頭を過ぎり、前衛盾班達が大量に襲いかかる爆食バッタのお相手をしている中、俺は大声で解析班に声を掛ける。


「解析班!!あの黒いモノが何だか分かるか!」


「────はいっ!黒い蝶が成長してから格段に解析が難しくなりましたので正確ではありませんが……あれは恐らくモンスターを新たに増やす増殖効果を持つスキルのようです!

下に落ちた黒いドロドロした液体から大量のモンスター反応が増加したのを感知しました! 」


「────何だと!!?」


判明した化け物の新たな能力に驚き声を上げると、周りからもざわつく声が上がった。


つまりあの化け物本体を倒さない限りあの黒い液体からモンスターは無限に湧き出て、モンスター行進はどんどん勢いを増していくと言う事だ。


俺は「……クソっ!」と思わず悪態をつき、それを生み出す黒い蝶を見上げた。


人の身で倒すことのできない無敵属性ともいえる『呪い』。

それを振りまく無敵の能力に、更には無限に湧いて出るモンスターの増殖スキル。

これではかつて世界最強と言われていたルセイル王国の兵士達も、手も足も出せずに惨敗したはずだ。


俺は当時のその兵達の心境を考えその絶望する気持ちに胸を痛めた。


打つ手なし。

戦う事に夢も希望もなくただ死を待つだけ。

その状況がどんなに辛いものか、想像するだけで悲しい。

しかし────……。


「じゃあ、リーフ君はモンスターを増やさない様にあの黒い球体を消そうとしているんだね!?」


マルクさんが焦った様に言えば、今度はドノバンさんがプンプンと頭から湯気を出して怒り出す。


「おいお〜い?ちょっとあいつ師匠である俺の事随分見くびってない??

モンスターぐらい俺の華麗で強力な剣技でチョチョイのチョイなんですけどぉ〜。」


「……いや、あんたさっき逃げてただろ?

────全く、救世主様は俺達グリモア守備隊を随分とお舐めの様だ。

おいっ!皆!!聞いたか?!

救世主様が全力で戦える様にモンスター達は全部俺達が受け持つぞ!!

モンスターがどんだけ来ようが耐久戦は俺達守備隊の得意分野だ、できるな!?」


「「「「「 おおおお────────!!! 」」」」」


盾のスキルで爆食バッタ達を粉々に粉砕した前衛盾班達と、他の守備隊員達がケンさんの言葉に大声で応えると、ドノバンさんが近くをふよふよ飛んでいる伝言シャボンに向かって大声で叫んだ。


「よくやった〜!!!!すげぇぇじゃねかよ!!リ〜フゥぅ!!

さっすがは俺の弟子!やっちまえ〜────!!!」


メッセージ性のないその言葉に俺は、はぁ〜……と大きなため息をつくと、そのまま別の伝言シャボンに向かって言った。


「ドノバンさん煩いです。

────リーフ様、理由は分かりませんが貴方は現在呪いの天敵ともいえる能力を世界でただ一人持っておいでのようだ。

下に現れるモンスター達は我々が全て倒してみせますので、リーフ様はどうかその呪いの化け物に集中して下さい!」


それを聞いてケンさんとマルクさんも同様にそれぞれメッセージを託し、伝言シャボンをリーフ様に飛ばすと、森の奥から更に多くのモンスターが姿を現した。


これから終わりが見えぬ本格的な防衛線に突入する。

それを全員が理解し、それぞれ首を鳴らしたり腕を回したりと気合を入れ直すと、ドノバンさんがニヤ〜と笑って言った。


「さぁ〜てと!これから楽しい楽しいお祭りの始まりだ。

リーフがあいつを倒すまで俺達はここを死ぬ気で死守すっぞ。

めちゃくちゃ楽しくなってきたぁ────!」



(グリモア正面門)


ドノバン、ユーリス、ケン、マルク、守備隊、第二騎士団 VS モンスターの大群


────戦闘開始。



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