837 進化
(リーフ)
向かってきた黒い巨大な塊を、スキル<羊たちのぐるぐるダンス>で消し去り、キッ!!と目の前にいる黒い蝶を睨みつける。
すると一瞬後退した蝶だったが……直ぐに黒いモヤが再び現れ、せっかく晴れ上がった一部の空もそれで隠れてしまった。
そしてまた周りを飛び回る小さな沢山の蝶達が集まりだしたため、これはいけない!と即座に俺はスキルを発動する。
<魔術騎士の資質>(シークレット固有スキル)
<昆虫王の予見者>
術者の総合ステータスに比例した直感力が備わり、更に運のステータスが大幅に上昇。
それにより敵の攻撃に対し、ある程度の未来予測も立てる事ができる様になるため、劇的に戦闘能力の底上げを可能にする。
使用時間は術者の体力値、努力値、精神負荷耐性値、格上の敵との戦闘経験値のレベルに左右される。
(発現条件)
スキル<昆虫の予見者>を持つこと
一定回数以上、自身よりもレベルが高い相手と昆虫の予見者を使用した状態で戦う事
スキルを発動した状態で黒い蝶の動きを見ると、何と先程の黒い球状の攻撃を小さくして3つ同時に街へ放とうとしている事が分かった。
そのため直ぐに俺はスキル<風の通り道>で足場を作ってその直線所へと移動し、ドンッ!!と放たれた黒い塊3つに対しスキルを発動し迎え撃つ!
<魔術騎士の資質>(ユニーク固有スキル)
< ミツバチのランス(光)>
ミツバチの針の様な魔力の塊を自由自在に発射することができる遠距離型攻撃スキル。
術者の魔力が大きい程その威力は上がり、魔力操作が高い程その数を増やす事ができる。
更に術者の体力値、持久力、タフさによって更に威力はUPする。
(発現条件)
一定以上の魔力、魔力操作、体力、持久力、タフさを持つこと
一定回数以上、自身よりもレベルが高い相手と接近戦で戦い敗北を経験すること、更に瀕死状態を経験すること
宙に現れた3つの魔法陣からミツバチの針の様なモノが飛び出し、放たれた黒い塊3つにクリーン・ヒット!
黒い塊は先程同様完全に消え去った。
「ふぅ〜!危ない危ない。<昆虫王の予見者>を発動してなかったら、攻撃を防げなかった。」
ヒヤリとさせられ、俺は額に流れる汗を乱暴に拭った。
『呪い』というモノに対してどうかな〜?と思いながら、とりあえず光属性の魔力を付与してみたのだが、これがどうも大当たりだったらしく攻撃を打ち消す事ができている。
これで駄目だったら、どうしようかと思った〜。
ハハハ〜!と笑うが、結構やばかったという自覚はある。
なんてったって反射的に前に出ちゃったもんだから、駄目だったら即死しちゃってたかも!
イノシシ男のいつものパターン!
とりあえず飛び出して後で後悔するヤツ〜。
次から次へとダラダラ垂れる汗はもう放っておく事にして、俺は(多分)有効と思われる光属性の魔力をスキル<魔法付与術>によって剣に付与し、黒い蝶の様子を慎重に伺う。
すると────どうにも様子がおかしい事に気づいた。
何だか全体がプルプル震えていて、巨大な羽を小さく丸く縮めていっている……?
「また攻撃スキルか!?」
ヒヤッとしたその時、ビ────!ビ────!!という警戒音の様なモノが頭の中で響き、突如スキル<鑑定(全)が自動発動した。
ハッ!と驚く俺の目の前に、四角いステータスボードが姿を現す。
《警告!【呪災厄の幼生体】から時間経過を経て【呪災厄の成体】へと進化します。》
「進化!!?成長するのか!」
驚いて叫ぶ俺と同時に黒い蝶は────……。
《ミ゙ィ”あ”あ”あ”ァ”ァ”ァ”〜────アアアア────────!!!!!》
何百人もの人が一斉に叫んだ様な……ゾッとする叫び声を上げ羽を勢いよく開いた。
すると開かれた羽には先ほどはなかった数え切れない程の人の目と口の様なモノがビッシリとくっついていて、目はギョロギョロと絶え間なく周囲を見渡し、口は何かを食べている様にパクパクと動く。
「ヒェェェ────!!」
その恐ろしい姿に悲鳴を上げ鳥肌を立てていると、その口が一斉にニィィィ〜……と笑った。
そして次の瞬間、周りに漂う黒い霧の様なモヤ達は所々粘着質のある液体状に変わっていき、ポタリ……ポタリ……とその黒いドロドロした液体は地上へと落ちていく。
「何だ?あの黒いドロドロお水は……。」
気になって落ちた水をジッと観察していると、何と落下し黒い水たまりの様になった所からコポコポと気泡が浮かび、大量のモンスター達が姿を現した。
あれはモンスターの増殖スキルか!!
呪災厄の成体(先天スキル)
< 呪災厄の落とし子 >
呪いによって魔素を瘴気に急速進化させ永遠にモンスターを生み出す事のできる増殖型生命創作スキル。
術者が活動停止になるまでスキルは消える事がない。
更に時間経過と共にその範囲は増えていき、スキルを多次元移動させることも可能になるためスキル範囲は超広範囲に及ぶ。
生み出されたモンスターは全て呪い無効効果を持ち、それに加えて自身の仲間認定された同種にも呪い無効効果を伝染させる事ができる




