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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十二章

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825 変わった人

(マリオン)


ダークグレーの短髪を上に立ち上げ、ヒョロリと縦長の身長。

やんちゃそうなイメージを相手に与える雰囲気を持つが、意外にも性格は冷静沈着というチグハグさを持つロダンは、商人ギルドには欠かすことのできない<護衛兵士団>の元締め子爵【ドリンズ家】の子息である。


魔道具の商談や納期の際の護衛は、全てこの<護衛兵士団>が我が【スタンティン家】を護衛してくれているので、今の今までお互い欠かすことのできない関係性を築いてきた。


吹き出した途端に俺がロダンの方を今度は睨みつけると、慌てて口元を抑えて目線を逸らそうとするが────誤魔化せないと悟ったらしく、直ぐに降参のポーズをとる。


「申し訳ありません。何か楽しく鬼ごっこしているリーフ様とマリオン様を想像してしまって……。

それにしても本当にマリオン様は諦めませんよね。

俺はあんな恐ろしい奴隷に突っかかろうなんて思いませんよ。

リーフ様と仲良くなりたいと考えている奴らは多いでしょうが、レオンが怖くて誰も積極的には近づけないみたいですし……。」


なぁ?とロダンが隣に座ってテイムモンスターのコロちゃんを撫でているフリックに同意を求めれば、フリックは大きく頷いた。


「コロちゃんも、酷くレオンの事を怖がってしまって、近くにいる時は隠れちゃってます。

自分より強いモンスター相手でも、果敢に飛びかかろうとする子なんですけど……。

それにも関わらず、高位貴族の方々はめげませんよね〜。

特にマービン様なんて毎回リーフ様にお尻叩かれて泣かされるのに、次の日にはケロッとしてまた挑みに来ますもんね。

高位貴族の方々の勇気と、諦めない心は僕らも学ばなければなりません。」


「いや、アレと────……ゴホンッ……!マービン様と同列に語るのは、辞めてもらおうか、フリック。」


俺が咳払いをしながらそう告げると、フリックは悪びれた様子もなくニッコリ笑うだけ。

そして、他の三人は微妙な顔でお互い顔を見合わせる。


辺境伯【ライロンド家】次期当主のご令息<マービン>様。


以前から、その素行の悪さと特に女性軽視や身分についての問題発言が多い事で、我が家としても要注意人物として警戒していたのだが……リーフ様に制裁された日から人が変わった様に、ガラリと性格が変わってしまった。


────いや、正確には二回目に街のゴロツキを引き連れて報復しに来た時か……?


頭を捻ってその日の事を思い出し、やっぱりあの日からだと確信した。


元々小学院時代も、リーフ様のそういう面は度々目にする機会はあったのでそんなに驚く事ではなかったが……その姿を初めて見たらしい特級組の者達はそうではない。

リーフ様が去った後も随分と長い時間フリーズしていたくらいだから、それをまともに受けたマービン様の衝撃は計り知れなかったと思う。


しかし、あの変わりようは────……。


信じがたいその変化を嘆き、こめかみを押さえたまま静かに首を横に振った。


学院内でリーフ様の進行方向である道に、嫌がらせトラップを仕掛けては見つかりお尻を叩かれ……。

授業で使う平民達のプリントを盗んで見せびらかして、リーフ様にゲンコツされて泣かされて……。

どこぞやの平民のテイムモンスターを人質にしてリーフ様に挑み、取り巻きの2人と共に三人揃って説教とお尻叩きをされては、また泣いて去る。


そんな狂ったとしか言いようのない行動の数々に、最初は俺も周りも目を白黒させて何度も目を擦ったものだが────次第に景色の一部となっていった。

ついには虐げられてきた平民達に、リーフ様の居場所まで教えられる始末で、同じ高位貴族としては頭が痛い存在になってしまったのだ。


それを思い出し押さえていたこめかみを揉み込んでいると、ルナリーはフフッと笑った。


「マービン様は、本当にお変わりになりましたよね。今は何だか小さな子供みたい。

他の乱暴な貴族達も、リーフ様の前では皆子供の様になってしまいました。

何だかリーフ様って、大人の余裕があるといいますか……本当に素敵。

どうにかして、もっとお近づきになりたいものです。」


目を瞑り人差し指を頬につけながら、う〜ん……と考え込むルナリー。

その横から、ハイ!と元気よく手を上げて、ローリンが飛び出してくる。


「私も私も!リーフ様とお近づきになりたいですー!なんて言っても街で話題の【救世主様】ですからね〜!

『数々の難関依頼を颯爽と解決!彗星の如く現れた期待の救世主様の日常!』────が、載っている街の新聞の一面凄く良かったですよ。

街では今や、『救世主様シリーズ』は花形記事ですから!」


キャーキャーと嬉しそうに騒ぐローリンにロダンが「ミーハー女……。」と呆れた様にボソリと呟いた。


「ローリン、あまり貴族らしからぬ行動は抑えないと駄目ですよ?」


ルナリーも同じく仕方ないなぁと言わんばかりの表情を浮かべながら、ローリンが平民達御用達の新聞を買って読んでいる事を嗜める。


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