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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十二章

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816 情報を集めよう

(レイド)


「これは何らかの魔法陣が設置されている点ね。

勿論、防壁の周りや街中なんかにも沢山の魔法陣が設置されているけど……教会に設置されているモノだけは別格よ。

これほどの大掛かりで複雑な魔法陣……相当数の実力者達が創り上げたはず。

その正体を知っておきたいの。

補充されている魔力も桁違いだから、多分【転移陣】じゃないかとは思うんだけど……。」


それに首を傾げたニールが口を挟む。


「ん?でも、それって変じゃないっすか?だって高位貴族達は避難しちゃったからそんな大掛かりな【転移陣】いらなくないっすか?ソフィア様の避難用とかっすかね?」


う〜ん……と考え込む俺達。

リリアも口元に手を当て考え込みながら、お手上げと言わんばかりに降参のポーズを見せた。


「それでもちょっとこの規模はいらないと思うのよね。やっぱり何か別の計画があるんじゃないかしら?だからとりあえず無闇に動くより、聖浄結石の場所の特定、謎の魔法陣の特定────この二点はせめて分かってから動いた方がいい。兄さん、お願い。」


「了解〜!」


サイモンはいつもの軽い調子で返事をしスキルを発動すると、突然ポンッ!!と音を立てて目の前に二対の光る羽がついた三毛猫が現れた。



<盗賊猫の資質>(ユニーク固有スキル)


< 精霊猫との取引 >


精霊猫を召喚し取引を持ちかける事ができる召喚系特殊スキル。

取引する願いが大きければ大きいほど代価を支払わなければ叶えてはくれず、また願いに関してはその精霊のレベルを大きく超える願い事はできない。


(発現条件) 

一定以上の魔力、魔力操作、正義、ひたむき、誠実を持つこと

一定以上の猫との親密度を持つこと



《サイモンにゃ〜久しぶりだにゃ〜。今日は何の頼み事かにゃ?》


目の前に現れた三毛猫はパタパタと羽を動かしながらサイモンの周囲を周り、再度目の前で止まる。


「実は街の情報がもっと欲しくてね。ハエ猫ちゃんたちに声掛けてくれないかなぁ〜?

代価は高級猫飯店『ぬっこ堂』の煮干し2パックでどう?!」


サイモンは三毛猫に向かってピッ!とピースをしてみせたが、猫は小馬鹿にした様にフッ……と笑い、自身の肉球をサイモンに突き出した。


《ハエ猫共を操るとなると、その倍は貰わないと割に合わないかにゃ〜?

更に遠くにいるハエ猫達を呼ぶにはもっと追加の報酬が必要にゃ。

おみゃ〜の猫のヒゲ程度の貯金で足りるかにゃ〜?》


「ぐぐぐ……っ!な〜んて業突く張りのネコちゃんなのぉ?!」


両者は睨み合い、バチバチと火花を散らしだしたが、突然ニールが三毛猫にススス〜……と近づき猫の顎に手を差し入れる。


《────うにゃ??》


驚く三毛猫だったが、ニールがこちょこちょこちょ〜と擽り始めると《ん……んにゃっにゃっ??!!》と叫び声を上げ、白目でビクビクと痙攣しだしてしまった。

とりあえず黙って見守っていると、猫はとうとうゴロゴロと喉を鳴らしだす。


《にゃにゃにゃ〜!!??こっ……こんにゃ……こんにゃ気持ちいいの……初めてだにゃ────ん!!!》



<獣畜師の資質>(ユニーク固有スキル)


< テクニシャン・ザ・ハンド >


生きとし生きる生物に対し有効な、最高に気持ちがいいマッサージを施すことができるサポート系スキル。

そのテクニックはまさに神が如しと言われていてまるで天国にいるかの様な一時を提供する事ができる。


(発現条件) 

一定以上の器用さ、生物の知識、生物との接触経験と生物への愛情、生物からの愛情、絆を持つこと

一定種類以上の生物へ身体的接触をすること



散々撫で回された猫は、グッタリとしながら息も絶え絶えな状態で言った。


《しゅ……周辺の街や森……全部のハエ猫に声を掛けたにゃ〜……。

あとでアイツらねぎらってやってくれだにゃん……。》


────ポポンッ!


そう言い残し猫が消えると、全員がニールに向かって親指を立てた。


そうしてその後、俺達は直ぐに他の生徒たちが避難しているであろう<闘技場>へと向かって走っていった。


◇◇◇

<闘技場内>


「一体何があったのかな……?」


「分からないけど急に……。」


<闘技場>に着くと、俺達以外の生徒たちは既に全員が避難を終えているようで、わいわいガヤガヤと大騒ぎになっていた。

流石は中学院、泣いている様な者はいなかったが……何が起きているのか分からない不安や恐怖は色濃く顔に出ていて、皆は喋ることで、どうにか平静を保っているようだ。


事情を知っている俺としては、複雑な気持ちで押し黙っていると、その後すぐにクルト先生が闘技場内に飛び込んできたため、皆は一斉に口を閉じてそちらへ視線を向ける。

クルト先生はそんな不安そうな様子の生徒たちをゆっくりと見回した後、冷静に説明を始めた。


「皆、突然の事で驚かせてすまない。詳しくは我々もまだ把握していないが、これから大規模なモンスター行進が起こる事は間違いないようだ。」


『モンスター行進』と聞き、全員が息を飲み顔色を青くしたが、クルト先生は説明を続ける。


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