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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十二章

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815 リーフ

(レイド)


その言葉にハッ!と正気を取り戻し、全員がメルに視線を向ける中、メルは勢いよく鼻息を吹く。


「ソフィアが犠牲になるのも……皆が犠牲になるのも……イヤ。

リーフが諦めるって言わないかぎり、メルも諦めない。

……メルは最後まで戦う。」


目を輝かせ、メルは任せろと言わんばかりにドンッと胸を叩く。

リーフの名前が出た瞬間、全員の目つきが変わった。


<リーフ・フォン・メルンブルク>


見た目は平凡、でもこの学院の誰もが認める凄い奴。

俺はリーフを最初見た時から、ピンッ!とくるものがあった。


『こいつといるとめちゃくちゃ楽しいだろうな〜。』

『退屈しないだろうな〜。』


そういったセンサーにビシビシ引っかかってくるのが、リーフであった。

そして更に獣人の勘が告げるのは、リーフから感じる内在的な強さについてだ。


リーフは強い。

物理的にも精神的にも周りを遥かに凌駕する強さと底の見えない可能性を秘めている。


俺の様な祖先が犬や狼など、本来はボスに従い群れで暮らす獣を祖にする者達は、特にそういった強さを持つ者には敏感だ。

それこそ知らず知らずにリーフの動きを目で追っては、気がつくとその背中についていってしまう程。

なんといっても、本来ボスを持たぬペンギンの祖先を持つメルや、そういった感覚に鈍い人族ですら同様に追いかけてしまうのだからリーフは本当に凄い奴だと思う。


始めの頃は、レオンという恐ろしい存在によりその存在感はゼロに近かったが……今にして思えば、そんなやつを平然と抱え込むリーフが一番ヤバい奴だと今では思っている。


頭の中にレオンの姿が浮かび、その隣に立つ自分を想像すると、ゾゾゾ〜!と背筋が凍りついた。


不可能を可能にする男、それがリーフという男!

すっかり立ち上がってしまった鳥肌を優しく擦った後、いつの間にか心の中の怒りや憎しみは消え、代わりに小さな『希望』が宿っている事に気づいた。


リーフなら不可能を可能にしてくれるかもしれない。そんな希望が……。


俺がメルの背中をバシッ!と叩くと、全員が順番にパシパシとメルの肩や背中を叩き、手足を伸ばして準備運動を始めた。


こんな所で腐っている場合じゃねぇ。やれる事は全部やってやる。


全員が口に出さずとも同じ想いを抱きリリアへ一斉に視線を向けると、リリアは、いつも通りのクールで冷静なリリアへと戻っていた。


「緊急電煙が上がった時点で、守備隊と各ギルドはそれぞれ担当している門の防衛に入る。

卵が孵化した後、初めに起こるのはモンスター行進のはずだからそれを抑えつつ【聖令浄化】の準備をするはずよ。

その発動には時間がかかるはずだから、その準備期間に動かないとタイムリミットね。

兄さん、もう少し情報を集められる?

特に、街の中とか無人になっている場所がいいわ。」


「えっ?できるけど……何で人がいない場所なの?

沢山人がいる場所のほうが情報を沢山集められるんじゃないの?」


俺も他のメンバー達も同様に思ったため、同時にウンウンと頷いたが、リリアは首を横に振る。


「【聖令浄化】を行うには<聖浄結石>という特別な石が必要になる。

だからもし既に準備されているなら、その場所を特定しておきたいのよ。

この街を囲うとしたら多分4つくらいは必要になるはず。

無人の場所にあるはずだから、それを探して欲しいの。

それに……もう一つ気になる事があるのよ。」


「「「「「気になる事??」」」」」


全員が同時に首を傾げると、リリアは魔導書を取り出しスキルを発動した。



<錬合師の資質>(ノーマル固有スキル)


< 地図マッピング >


自身の歩いた場所を地図として作成し保存する事ができる創作系スキル。

作成できるのはあくまで自身の足で歩いた場所に限る。


(発現条件) 

一定以上の知力、魔力、魔力操作を持つ事

一定距離以上未踏の地を歩くこと



<錬合師の資質>(ユニーク固有スキル)


< 錬合魔力感知 >


魔法陣など誰かが手を加え錬合した魔法の魔力を感知する事ができる感知系スキル。

ただし、人の手が加わっていない魔力の感知は一切できない。


(発現条件) 

一定以上の知力、知識、魔力、魔力操作、器用さ、意欲、魔法陣に対する知識を持つ事

一定回数以上魔法陣を発動させた経験値を持つこと




空中には巨大な四角い地図が現れ、その中の建物の一つに大きく点滅する赤い丸、そして他の各場にも沢山の小さな赤い光りがそれぞれピコンピコンと点滅していた。


「これは……もしかしてグリモアの地図か?」


俺はそう尋ねながら地図を見渡し、やはり見覚えのある地理であったため、これがグリモアの地図である事を確信する。


では、あの赤い点達は一体……?


疑問を持ったのは俺だけじゃなかった様で、モルトが地図上に点滅する赤い光を指さし、リリアに尋ねた。


「リリアさん、その点滅している赤い点達は何なんだ?一番大きい赤い点は教会の様だが……。」


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