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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十二章

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813 ヤバいモノが見つかった

(レイド)


モルトとニールはお互い顔を合わせ、困ったように首を横に振る。

俺はその話を聞き、なるほど……と納得した後、改めて今の状況を考えた。


つまりは【魔導馬車】で迎えがきているのは、エドワード派閥の生徒のみ。     ・・

これから起こる何かをまるで知っているかの様なタイミング。

それらが指し示す事は────この事態を引き起こしたのは、エドワード派閥の者達という事になる。


モヤモヤとしていく心と共に先程のサイモンとリリア同様、表情は曇り全員が同じ嫌な気持ちを持っているのを感じた。


「何が起こるのかは知らねぇが、自分たちの仲間だけ助けて違う派閥の奴らと平民達は犠牲にするつもりかよ……。胸糞悪ぃな。」


「……上役なんてそんなものよ。権力は人を狂わせるから。

でも、そんな奴らの思い通りになんてなりたくない。兄さん、何か分かる?」


俺のボソッと呟いた不満の言葉に答えたリリアは、サイモンの方へ視線を向けてそう尋ねると、サイモンはバチンッとウィンクしてからスキルを発動した。

すると、至る所からニャーニャーと鳴きながら猫が集まってきてはサイモンに話しかける。



<盗賊猫の資質>(ノーマル固有スキル)


< 猫たちの大集会 >


動物、モンスター問わず猫と名のつく生物から情報を貰う事ができる特殊コミュニケーション系スキル。

聞き出せる情報は術者の魔力と魔力操作、そして猫と名のつく生物とのコミュニケーション経験によって決定する。


(発現条件) 

一定以上の魔力、魔力操作、猫と名のつく生物とのコミュニケーション経験を持つ事




「ふんふん……なるほどなるほど〜?皆、ありがとう。

なんかね、各ギルドの中では以前から森にやばいモノがあるってもっぱら噂話があったみたいだね。

────で、冒険者ギルドのヘンドリクって人が、とうとうそれを見つけられそうだって言ってたらしいよ。」


「「"やばいモノ"??」」


モルトとニールが同時にそう言って首を傾げた。

俺とメルも同様に首を傾げ、何だろう??と考えていたのだが、突然空からブンブンと飛んできた<ハエ猫>達のせいで思考は中断される。



< ハエ猫 >


体長5mm程の猫にそっくりの姿をしたハエ型Gランクモンスター。

力は弱く花の蜜を吸って生きている最弱モンスターの内の一角と言われているが、唯一空間移動能力を持っていて、天敵に襲われた場合、それを駆使して逃げる事ができる。



<ハエ猫>達は何かを伝える様にサイモンの周りを飛び回り、サイモンはうんうんと相槌を打ちながら静かにその動きを眼で追った。


「ふ〜ん、ふむふむ。なるほどねぇ〜。…………えっ?────えぇぇぇぇ〜!??ちょっ、ちょっと何それ、やばいじゃん!!えぇぇ

…………。」


一人ギョッとしたり焦ったりと忙しい様子のサイモンに対し、リリアがゴホンっと咳払いをした。


「兄さん、何か分かったの?」


「あ、ごめんごめん!えっとねぇ〜、たまたま冒険者ギルド近くにある花壇で蜜を吸っていた子からの情報なんだけど……。

『呪災の卵』っていう何だかヤバそうなモノが見つかったって大騒ぎになっているみたいだよ。」


「『呪災の卵』!!??」


サイモンが『呪災の卵』という言葉を言った途端、リリアが悲鳴に近い声でその名を叫んだため、その場の全員がビクッ!!と身体を揺らす。

その後は青ざめた顔で頭を抱えてしまったので、その言葉を知らない俺とメル、モルトとニール、そしてサイモンも首を傾げてお互い顔を見合わせた。


「おい、リリア。そのなんちゃら卵の事知っているのか?

卵っつー事なら、何かのモンスターの卵なのか?」


相当強いモンスターが生まれてくるのかと予想しそう尋ねたが、リリアはやはり青白い顔のままフルフルと小さく顔を振る。


「生まれてくるのはモンスターじゃない……。

かつてドロティア帝国の半分を魔素領域に変えてしまった恐ろしい呪いの集合体……浄化も一切効かない無敵の化け物よ。

……これは普通の歴史には書かれていない『裏の歴史』の一つで、私もこの学院に来て初めて知った歴史なの。」


「────はっ??」


あまりに衝撃的な内容に、全員が息を飲む。


『ドロティア帝国の半分を魔素領域に』


『呪いの集合体』


この2つだけでも相当ヤバい代物である事が分かり、情けない事に尻尾はふるふると震えた。


『呪い』はこの世で最も恐ろしい存在で、更に浄化も効かないとなればまさに無敵の存在。

それこそ神に等しい存在ではないか!


シ〜ン……と静まり返った状況の中、サイモンが、あっ!と声を上げる。


「で、でもぉ〜ドロティア帝国が今もあるって事はそいつをどうにかして倒す方法があるって事でしょ?それをまたやれば大丈夫なんじゃないの?」


確かに!


それに気づいた全員の表情は明るくなり、俺もホッと息を吐いてリリアの方へ視線を向けたのだが────リリアの表情は青ざめたままであった。


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