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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二章(リーフ邸の皆とレオン、ドノバンとの出会い、モルトとニールの想い)

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77 英雄お助け作戦その5とマリアンヌ

(リーフ)


<レオンハルトお助け作戦その5>


知識をつけよう!(俺も!)


英雄のスキル<叡智>は持っているだけでは駄目で、知識ゼロではその恩恵は受けれない。

そのため早い内からこうして俺と共に授業を受ければ、恐らくは物語のレオンハルトより賢くなれるはずだと思われる。


知識は、あればあるだけ良し!と頷きながら、俺はもう一度レオンの方へ視線を向けた。


「いいかい?レオン。下僕があまりお馬鹿さんだと、主人の俺が恥をかいてしまう。

だから必死で勉強するんだよ、分かったかい?」


「────!!はいっ!」


無表情だが意気込みを感じる返事に感動してしまい、グスンっと鼻を啜る。


レオンは素直、本当にいい子!


理不尽な境遇に怒りや悔しさがあっても、それを乗り越え努力しようとし、意地悪してくる相手にもきちんと返事を返す。


さすが俺のヒーローだ!


気を抜けば流れそうになる涙を飲み込み、目元を押さえて感動している様子を誤魔化した。


レオンの現在の実力は不明だが、今は俺の方が頭はいいに違いない。

だが、だからといって手を抜いたりなどはせず、このまま俺はぶっちぎりの最強悪として英雄の前に立ちふさがってやると誓う。


『うおおおお────!!』と心のなかでメラメラしていると……。


────コンコン……。


控えめなノックの音が聞こえ、その後カチャリと扉の開く音が続いた。


中に入ってきたのは30代前半くらいかな?

痩せ型でシャンッという音が聞こえてきそうな凛とした姿勢で立つ、文句のつけようがない立ち姿を見せる女性。


シワひとつ見当たらない落ち着いた藍色のドレスを身につけ、髪は乱れ一つなくしっかりと上にアップと……そのイメージは、まさにザ・淑女。

前世的に言うと、学級委員や風紀委員とかにいそうなタイプのキッチリさん代表のような人だ。

更に彼女はこれまた完璧とも言える美しい礼を見せ、そのまま俺に挨拶をし始めた。


「おはようございます、リーフ様。

カルパス様よりお聞きしましたが、なんでも大変やる気に満ち溢れてらっしゃるとか……。

わたくし大変嬉しゅうございます。微力ながらお力になれればと思います。」


そう言い俺にニコリと笑みをうかべた後、一瞬レオンの方へ非常に不快そうな表情を見せたが、直ぐにそれを引っ込めて笑顔に戻す。

レオンについてカルパスに事前に聞いていたのか、その後は特に何も聞かれなかった。


実はこのマリアンヌさんは、物語の中にもリーフの座学の家庭教師としてちょこちょこ登場する人物である。


彼女の爵位は<男爵>

実家は身分差あれどメルンブルク家と懇意にさせてもらっており、それが縁で彼女はリーフの家庭教師を任されることになる。

元々家も彼女自身もゴリゴリの身分至上主義を掲げていた為、リーフには崇拝に近い感情を持っていた。


高い身分、そして神を連想させるほどの美貌に彼女はメロメロ。

リーフの命令にホイホ〜イと喜んで従い、悪の道へと足を踏み入れていった。


そんなわけで、作中のリーフとの関係は良好であったが、確実に彼女がメロメロにならない外見の俺とはどうなるか分からない。

一応悪役サイドだし、少しは警戒した方がいいかもしれないが……彼女もモルトとニール同様、リーフが命じなければ派手なアクションは起こせない人間だったので、最終的にそこまで気にしなくていいだろうと考えた。

今後は『リーフ』に惑わされることなく自身の人生を謳歌していただきたい。


「今まですみませんでした。これからよろしくお願いします!」


ビシッ!と背筋を正して今までの非礼を詫びると、マリアンヌさんは満足そうに微笑み、早速授業を開始する。


そんなマリアンヌさんの授業はとてもわかり易く、こちらのペースにも合わせてくれて、俺的にはとても助かる授業であったが……授業が終わるまでの間、彼女は一度たりともレオンを見ようとはしなかった。


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