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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十一章

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785 作戦開始

(ザップル)


「…………。」


それきり黙ってしまった俺を見て、ヘンドリク様は突然フッと笑った後、背中を軽く叩いてくる。


「そうしょぼくれるでない。確かに考えられていた事態としては最悪なものであったが、十分に準備する時間を稼げた事は大きい。

奴らにとって、これは大誤算のはずじゃ。

これで高みの見物を決め込んでいるはずじゃったクズ共に、天誅を下してやる事ができるぞい。」


ニヤッと悪い笑みを浮かべたヘンドリク様はそのままニコラ王とエルビスの方へ視線を向けると、二人も笑みを溢す。


「その通り!!大誤算中の大・大・大誤算さ!

まさか孵化するまで1年弱も掛かるとは夢にも思わなかったみたいで、今まで大慌てだったみたいだねぇ〜。

だけどそのお陰でこちらは『代償の選択』をする準備が整った。

後は【聖令浄化】を使うギリギリまで、何とか連中に気づかれずに持ちこたえるだけだ。」


「『代償の選択』……??」


またしても聞き慣れない言葉を聞き首を傾げたが、ニコラ王の続けて話された内容に、サァァ──……と血の気が引いていった。


「私は35歳を区切りに、それ以上の年齢の者達を『代償』にする事を決定した。

グリモアは勿論の事、その代償の範囲内に入るであろう街の35歳未満の若者達は、予め教会内に用意しておいた長距離型の【転移陣】を使い安全地帯まで一旦飛ばす。

辛い選択だが、これ以上はどうすることもできぬ。

無論そうした場合、【聖令浄化】を使うには王都にまでその被害は及ぶため、コチラで高みの選択をしようとする輩共は全員がその『代償』となる。私も例外なくな。」


目を限界まで見開き、ニコラ王を見つめた。


ニコラ王は、エドワード様とエドワード派閥の重鎮を全員道連れに死ぬつもりだ。


「そっそんな……。国は……国はどうするおつもりですか?

ニコラ王まで『代償』になってしまったら、この国はおしまいです……。」


「なぁに、心配には及ばぬ。エドワードとその支持者達の大半は、死ぬからな。

万が一を考えたらしいカールが、王宮に転移陣を仕掛けていた様だが……内密に潰しておいたから、誰も逃げる事はできない。

その後は、アーサーが国を正しき姿に導いてくれる事だろう。

私は国の未来の礎となるだけだ。

この国はきっと更に強く立ち上がるだろうと私は信じている。

あと気になるのはドロティア帝国の動きだが……エルビス、そちらはどうだ?」


「それは心配ございません。

ドロティア帝国にいる()()()が、しっかり情報操作してますからね〜。

彼らも呪いに関しては酷く慎重です。

確実な情報が入るまで動くつもりはないようですね。」


俺の心配など大したことではないかの様に進んでいく会話。

エルビスの返答を聞いた王は「そうか……。」と言って一度目を瞑り短い息を吐く。


「ならばもう思い残す事は何もない。エルビス、お前も何人か犠牲になるが構わぬか?」


「はい。問題はありませんよ。全員とっくに覚悟はできていますので。」


静かに告げられるニコラ王の言葉を受けたエルビスは、あっけらかんと日常の会話の様に答えた。

ニコラ王はそれを聞いた後、次はヘンドリク様の方へと視線を移す。


「ヘンドリク、貴殿は国を救ってくれた大事な恩人の一人だ。

改めてお礼を言わせて欲しい。

そして最後まで私についてきてくれるか?」


「何を今更。勿論最後までご一緒させて下さい。

若者達の未来のため、ワシも喜んでその礎となりましょう。

こんな老いぼれの命が未来を救うなど、人生最高の幕引きですじゃ。」


フォッフォッと笑うヘンドリク様からは、揺るぎない決意を感じた。

勿論それは、ニコラ王とエルビスからも。


もうとっくに死ぬ覚悟はできているんだ。


「…………。」


俺は静かに目を閉じ、現在の国の情勢について考えた。


もしソフィア様を犠牲にした場合、エドワード様とその派閥の重鎮達は生き残り一気に力を増して、更に追い風を得た教会のグレスター派は、エドワード派閥に加担する。

そうして、益々大きくなっていくエドワード派閥にアーサー派閥はやがて潰され、一強派閥で国は固められてしまうだろう。

そうなれば、国内の身分による差別化は加速し、人型種以外の獣人、エルフ、ドワーフ族は迫害、もしくは奴隷とされ、4カ国同盟は当然破棄される。

結果、それをチャンスとみたドロティア帝国は、次々に他国に侵略を開始するはずだ。


その先に待ち受けているのは世界大戦争。

一体どれほどの人々が犠牲になる事か……。


俺は頭を抱えて、首をゆるゆると横に振った。


これでは選択肢は、ないではないか!


そう理解した俺は、ゆっくりと目を開けニコラ王をまっすぐ見つめる。

するとニコラ王は穏やかな目を、ヘンドリク様や俺、同じく覚悟を決めたらしいエイミに向けた。


「では『代償の選択』をするため、これより各々動いてもらう事になる。

『呪災の卵』が孵化したと同時にまずはソフィア、続けて街の人々の転移を開始。

その後にグリモアに<聖浄結石>を送るので、指示した場所にそれを配置し街の若者の転移が終了し次第────【聖令浄化】を発動する。」



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