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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二章(リーフ邸の皆とレオン、ドノバンとの出会い、モルトとニールの想い)

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76 お勉強……何十年ぶりかな?

(リーフ)


「ふわあぁぁ〜……。」


お腹がいっぱいになったことで睡魔に襲われ、つい大あくびをしてしまい慌てて飲み込んだ。


おおっと!いけない、いけない。

これから家庭教師さんによる座学の授業が始まるので、絶対に眠るわけにはいかないぞ!


再び襲ってくる眠気を吹き飛ばすように、俺はカッ!と目を見開いた。


現在いる場所は座学専用のちょっとした勉強部屋のような場所で、本来は俺や他二人の兄弟も共同で使う前提で作ったため、学校の教室くらいの広さがある。

学校なら、部屋の中にズラリと30個くらい机が並んでいるが、現在あるのは机と椅子が一脚と、黒板と教卓のようなものが一つづつ。

そして周りを囲うのは、大量の本がぎっしり詰まった本棚だ。

 

「沢山あるねぇ〜本、本、本……。」


その数を見ただけで若干心が挫けそうになったが、すぐに首を横に振って心を奮い立たせる。


悪役がお馬鹿さんでは脅威度がガクンと下がってしまうので、ここは頑張りどころだ!


俺は気合を入れるため、パチン!と両頬を叩いた。


前世では、頭トリさん、性格イノシシ、外見はネズミの一人動物園男と呼ばれていた俺……多分、人の10倍……いや、100倍は頑張らないとあっという間に落第点を取る。

机の上に置かれた分厚い教科書らしき本を見て────ゴクリっと唾を飲み込んだ。


基本貴族は、義務教育の8歳まで家庭教師さんによる英才教育をみっちり受け、更に授業が本格化する中学院までは、学院の授業終了後に、引き続き家庭教師さんの授業を受ける。


まさに勉強、勉強、勉強!

青春イコールになる程の、お勉強漬けの毎日を送っているらしい。


「────で、俺も貴族……なんだけどねぇ〜。」


過去に自分がしてきた事が一気に頭の中で蘇り────頭を抱えてしまった。


俺も勿論小さい頃から家庭教師さんがいたのだが……途中からギャンギャン泣きわめき、授業をひたすらボイコット!

その結果、残念ながら頭の中の知識は飛び飛びになってしまっているため、その統合からになりそうだ。

そんな面倒な作業に目眩がしたが、ありがたいことに一般常識的な知識は、前世で熟読していた<アルバード英雄記>のお陰でそれなりにある。


読んでて良かった<アルバード英雄記>!

そんな何かのCMにありそうなフレーズを呟き、更に今後の事も考える。


最強の悪役を目指す一番の目的は、レオンに立ちふさがる最強の敵になってその強さを引き出す────が大前提。

それプラスもう一つのサブ的な目的として、レオンにボコボコにされ失脚した後の人生の為でもあったりする。


俺は不敵に微笑み、目をキラッ!と輝かせた。


高学院にてレオンハルトにボコボコにされた後のリーフは、高学院中退、家の没落、遠方に追いやられる、などなど……まさに踏んだり蹴ったりの散々な最後を迎える。

更に、その時の挿絵やその後のストーリーから、最終的には平民に降格させられたのでは?と匂わせる描写が多く描かれていた。


その場合、生きていく為の学力とある程度の強さがあれば、就職するのに困ることはなし!

例え世界が絶対に消えてしまう運命だとしても、俺は最後まで幸せを諦めない。


理想のむっちんむっちん女性と結婚する未来を想像しニタニタ笑いながら、目先の未来である本日からの予定を続けて確認する。


俺の勉強スケジュールは、基本は午前中に座学、午後に実技。

つまり、これから座学の授業を受ける予定の俺は、部屋に唯一置かれている椅子に座りながら家庭教師さんの到着を待っているというわけだ。


俺はノートと教材を机の上にきっちり揃えてから、チラッと後ろを振り向いた。

そこには手をきっちり後ろで組み休めの体制をとるレオンの姿があり、相変わらずの無表情でひたすら俺を睨みつけている。


俺の服を着て、一般的な装いを手に入れたレオン。

しかし、何せガリガリのおチビさん体型の為、服はダボダボのブカブカ。

袖を折りまくってなんとか着ている状態だ。

しかも俺がゴロンゴロンした影響を色濃く受け、シワシワヨレヨレ仕様にもなっている。

パッと見、普通の平民に見えるくらいに格好の改善はしたと思うのだが……睨みつけてくるところを見ると、レオン的に不服を感じているらしい。


「…………。」


怒ってらっしゃる……。


俺はレオンから視線を逸らし、ゆっくりと視線を前方へと戻す。

ある理由により、座学の授業中ずっとレオンには俺の背後で立っててもらう事になったのだが、恐らくそれがトドメの一発になった。



「座学の授業では、レオン君は座らず、リーフ様の後ろに控えてもらった方が良いでしょう。」


汚いレオン用の椅子を持って行こうとしたのだが、そこでカルパスからの待ったがかかる。

何で〜?と言わんばかりの俺に、カルパスはとっても丁寧にその理由を教えてくれた。


「本来従事者を、主人の隣に座らせるのは御法度です。

座学の先生であるマリアンヌさんは、そういったルールに特に厳しい人なので……従来通り後ろに立たせた方が角が立たないと思いますよ。」


「へぇ〜。なるほどね。」


そんな有り難いアドバイスを頂き、大いに納得してしまった。


確かに前世的に言うならレオンの状況は、新入社員さん(レオン)が、社長(俺)の隣に座らせられる様なもの……確かに気まずい!


状況を正しく理解し、レオンには授業中は立っててもらおうと決めた。


レオンには、どうしても俺と一緒に授業を受けてもらわないと困るため、ここで先生のへそを曲げない方がいいだろう。


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