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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十一章

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774 不戦勝は……

(リーフ)


冒険者ランクがCなら、その彼はかなりの実力者に違いない。


俺とレオンもついこの間なったばかりなのだが、Eランクから上へ上がるにはかなりの実力が必要である。

そのせいでその辺りで止まってしまう者が多い中、それを越えてCランクまで登り詰めるとは……レオンの婚約者さんは相当強い人だぞ〜?────と、そこで浮かび上がる新たな疑問。


何故彼は12歳という低年齢、かつCランクという高い実力に高収入を得ているというのに娼館の見習い?をしているのか……?


も、もしかして将来の夢が男娼さん……とか?


それについては少々複雑な想いを抱いたが、とりあえず緊急性は高くない&怖い大人達が無理に従わせようとしても返り討ちのボッコボコにできる実力はある事にホッとする。


本人的には、色々視野を広げたいと思っているのかも……? 


「そ、そ、そ、そうなんだね。じゃあ、彼は現在色々悩んでいる最中という事かな?

ま、まぁ、これからゆっくり自分の将来について考えていくつもりなんだろうけど、ちょっとまだ心配だね。

いくら強いとはいえ、まだ周りから影響されやすい時期だし、悪い大人が世の中にはわんさかいるからさ。」


「はい……。今は俺が一番と言ってはくれますが、いつも不安なんです……。

誰もが欲しくてたまらない魅力溢れる美しい方なので、やっぱり他にもっと好きな人ができたらと思うと……。 

────まぁ、許しませんけど。」


悲しげな様子で視線を下げた後、チラッと俺を見て薄暗い笑みを浮かべるレオン。


やはり絶世の美少年という事もあって、相当ライバルは多い様だ。

気持ちは分かる。分かるが……。


「レオン……。悲しいけど選ばれなかったらあきらめなきゃ駄目だよ。

自分が選ばれなくても他の人が幸せにしてくれるなら『ありがとう』って気持ちを持たないと、相手は勿論自分も悲しいだろう?」


そうそう。なんたってうちの子レオンは世界一!な、俺の大事な大事な英雄様だ。

そんな大事な英雄様が、叶わぬ恋に苦しむのは苦しい。

それならスパッ!とその思いを断ち切って、レオンだけをちゃんと愛してくれる人を見つけて欲しいな!

そう願うのが親心ってもの。


逃した魚はダイヤエデン・フィッシュだぞ〜?……と、会った事ないレオンの想い人さんに言ってやった、その時────。


ブワワワ〜ッ!!!


レオンから、麻痺効果つきの凄まじい殺気が発せられた!


────ガタ〜ン!!!


そのままレオンの上から転倒しそうになったが、レオンが見事に俺の体をキャッチ!

転倒は免れたが、俺以外の皆は椅子から落ちて倒れ込んでしまった。

唯一動く目でレオンを見上げると、そこには完全なる無表情で、めちゃくちゃお怒りのレオンの美しいお顔がある。


レオンのお怒りスイッチ押しちゃった〜押しちゃった〜♬

……これ何回目??


何とか動こうと必死に首に力を入れ、ウニウニと微細に動く俺を、無表情で見下ろすレオン少年。

静かなる怒りを内に秘めしレオンは、不自然にペラペラと喋りだした。


「俺、思うんですよ。

そもそも『選択肢』というものが他にもあるから、こう上手くいかないんだろうなって。

自由の代償ですよね。……うっとおしい。

それがなくなれば、とても幸せで平和な世界になる────ほら、例えば俺以外の『人』がいなければ俺だけですもんね?

選べるの。」


動けない俺の鼻先を人差し指でスイスイ触り、『……ね?』と同意を求めてくる、いや、強制してくるレオンだが……。


えええ──……俺、やだよ、そんな不戦勝みたいなの〜。


レオンの思ってもいなかった願いを聞いて、気分はゲンナリしてしまった。


男が全員滅んでしまった世界でモテてもなんか嫌〜。

なら俺、男の人も女の人も一杯の世界でモテないままがいいな!楽しいから!


ここでもくっきりとレオンとの価値観の違いがクローズアップされ、ギャフン!

とりあえず弱気なレオンは応援すべしと、俺は唯一動けるようになった首をキリンの様に振り、レオンの硬いお胸にガスガスッ!と容赦ない頭突きを食らわした。


「レオン!!何を情けない事を言っているんだ!!

そんな、『しょうがないからこの人で〜♫』で選ばれても悲しすぎるし、カッコ悪いぞ!

男ならライバル達に、正々堂々勝ってその座を勝ち取ろう!

そんなヘンテコな妄想をする暇があるなら、俺と修行をもっと頑張って魅力を磨こうよ。」


『カッコ悪い』


その言葉にガガ──ン!!とショックを受けたらしいレオン。

殺気が消えると俺の体は動くようになり、周りの子たちも同様に自由の身になった様だ。

ヨロヨロと起き上がり席についたので、ホッと胸を撫で下ろした。


「もっ……申し訳ありません……っ!俺が間違っていました。

多くから俺を選んで貰う事に、意味があるんですね。

そんな活用法もあるとは……おもちゃの重要性を舐めていました。」


「そうそう、競うのは楽しい。だから存分に競い合って楽しもう。

そしておもちゃを舐めては駄目だよ。汚いし間違って誤飲しては危ない。」


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