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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十一章

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764 続きはいつか……

(リーフ)


今朝も今朝とて日増しに激しくなっていく修行を終え、俺はヘロヘロ〜になりながら朝ごはんを食べに森の恵みへと歩いていく。


少し前までは事あるごとにゲロロしていたが、最近はだいぶ吐かなくなってきた!


確かな手応えを感じつつフッと思えば、もうライトノア学院に通いだして早9ヶ月が経過し、何ともうすぐイシュル神様の日を迎えるのだから────時の流れは流れ落ちる滝の如しだなぁとしみじみしてしまう。


レオンを奴隷にしてもう一年が経ってしまうのか……。


フラフラ、ヨタヨタ……。

まるで要介護者の様に歩く俺を、心配そうに見つめるレオン。

そんなレオンを見て、何度も味わってきた覚えのある感情が湧き、思わずしみじみとしてしまった。


俺の様なオジジとは違い、レオンはそんな刹那の時の中、今まで見送ってきた子供たち同様にあっという間に変わっていく。

大空へ飛び立つには、あとはきっかけだけだ。


「きっかけか……。」 


それを考えると、ある感情は更に大きくなっていき、何となくジメジメ〜とした気持ちに……。

身体からは力が抜け、へんにょ……と膝から崩れそうになったが、俺は思い切り反対の足を踏みしめ転倒を阻止!

フンッ!と勢いよく鼻息を吹き、そのジメジメを吹き飛ばす。


レオンのキッカケは、俺をフルボッコにすること!

だからまずはへんてこな黒い影を倒してグリモアを守るぞ!と決意し、今まで必死に修行してきたのだ。


辛い!痛い!苦しい!のトリプルコンボを、うおおおお────!と叫びながら見事乗り越えてきた俺。

そんな俺に神様がご褒美をあげようと思ったのか、先程修行後の水浴びの時とんでもない物を見つけてしまう。


「……ふ……ふふふっ……!」


俺は両手に持つ、リボンがついたキラキラと白く輝くモノを見下ろし、一人でほくそ笑む。


女性に会うのに汗臭いのはNGというポリシーの元、俺は修行後に膝上ほどの深さの川で水浴びをしていたのだが、そんな俺の目の前をスィ〜と眩しい程に輝く何かが泳いでいった。


なんとそれは幻とされる< イヤモンド・フィッシュ>であった!



< ダイヤエデン・フィッシュ >


素材ランクSSSの幻とされる魚型Gランクモンスター。

体長は20cm程でダイヤの様な輝く鱗を持ち、泳いでいる姿はまるで巨大なダイヤモンドが泳いでいる様にすら見える。

その身を食べるとあまりの美味しさに天国に行けるとまで言われているが、大昔に一度大量発生して以来一度として人里に姿を現した事はない。



ちなみに<食材ランク>とは、素材の入手レベルによって分類されているものであり、手に入れにくい順に【SSS、SS、S、A、B、C、D、E】ランクまで存在している。


このランクSSSともなれば現在入手不可、もはや歴史が生み出した作り話では?レベル。

もしくは物語のレオンハルトを襲ったポイズン・ヒートマッシュの様にただでさえ見つからない上、見つかっても危険素材として即処分されてしまうモノなどが挙げられる。


そんな幻の素材が目の前に!!?


俺はカッ!!と目を見開き、ヘロヘロだったのも忘れ死にものぐるいで追いかけた。

顔を川に突っ込み、右へ左へバッシャバシャと大きな水しぶきを立てて。


そして見事両手でワシっ!とダイヤエデン・フィッシュを鷲掴みでき、「やった────!!!」と叫びながら、水面から顔を上げたその先には────……視線を不自然に逸し顔を真っ赤に染めたレオンの姿があった。


「…………?」


ビチビチと跳ねるダイヤエデンフィッシュを掴んだまま、俺がフッと下を見下ろすと、そこには見慣れたチビ象ちゃんが鎮座……つまり俺は全裸。

かつ今の今まで俺は肌色一色のまま、川に上半身を突っ込み水しぶきをあげながらお尻をブンブン!!と思い切り振ってそこら中を暴れ回っていたという事。


レオンから見れば、暴れているお尻の映像はさぞ面白かった事だろう。


ブルブルと震えている事からもそれが良く伝わり、知らずとはいえ純粋な少年にそんなどうしようもないオジジのセクハラお尻芸を見せてしまった事を後悔した。


「ご……ごめんなさい……?」


とりあえず、顔色が信号機止まれ色のレオンに謝っておいた。


そんなレオンにとっては朝からドキツイ映像を見せられ散々な朝でも、羞恥心がミイラな俺にとっては大したことないため、スポンっとその出来事は遥か彼方へ。


もはや俺に今残っているのは、確かなツルツルの感触と光り輝く身を持つこのダイヤエデン・フィッシュを見事捕獲したという喜びだけ!

キラキラフィッシュちゃんをしっかり握ったままヤッホ〜イ!と飛び上がり、直ぐに巻いたリボンは解けてないか?を念入りにチェックした。


なんといっても、これは今までマリンさんに貢いできたモンスター肉の中でも断トツ一位の貢物!

これは絶対笑顔になるやつだ〜。


「〜〜♬〜〜♬」


ご機嫌に鼻歌を歌いながら髪の毛をサッサッと整えていると、レオンが俺のお尻は大丈夫?と心配しているのか念入りにお尻の部分を撫で撫でしてきて「……俺の前だけにしてくださいね?」と念を押してきた。


『そういった身体を張った変態お尻芸は、他の人に見せないで下さいね?

守備隊に通報されますから。』


────その通り!

急にさきほどやってしまったお尻芸が頭に舞い戻ってきてギャフン!


俺は直ぐに心配そうなレオンに対し「うん、わかった!続きはもう少し経ってからするね!」と返しておいた。



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