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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十章

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761 目的はそっち?

(フラン)


差別的な思想を持つ、貴族の生徒達や不満を常に抱える平民の生徒たち。

そんなただでさえ苦労する相手に加え、集団化してしまった高位貴族達のグループ達に、更にそれにとどめを刺したのは、エドワードが学院内に送り込んだ騎士<ジュワン>だ。


そんな荒波どころか、ビックサイクロンのような学院生活において、我々教員達は苦しい状況を余儀なくされたが、それを見事変えてくれたのが先程から話題にしていたリーフ殿であった。

勿論特に2、3学年生達は、それが気に入らず、ありとあらゆる手を尽くしリーフ殿に攻撃を仕掛けたが……逆にその全員がコテンパンに叩き潰され、まるで幼子の様にワンワン泣きながら撤退していった。

しかし、その中でも直ぐに引く様な素直な者達は少なく、復讐してやる!と更に酷いやり方で報復に向かっていった生徒たちもいたが───待っていたのは、心を抉るキツイ説教と、お尻を剥かれての尻叩きだ。

その勢いと気迫と怒気は、それなりの修羅場をくぐってきた教員たちも怖くて震えるほどで、私とて目の前で実際に見れば普段はのほほんとしている分、その変貌に固まってしまったほどであった。


大抵の者達はここで脱落。


今まで進んでいた道の上で止まり、別の道を模索し始める───が、それでも何度も何度もリーフ殿に報復しにいっては尻を叩かれる生徒がいる。


「フフフ〜。なんてったってリーフ君があの三年生達をフルボッコにしてから、本当に生徒たちは皆ガラッと変わったからね♡

もしかしてって期待しちゃうわよね〜。

まぁ、その変化が良いかどうか分からない子もいるけど〜。」


「「「「…………。」」」」


ニコニコしながらレナが話始め、その締めの言葉に全員が押し黙る。



リーフ殿に凄まじい説教と尻叩きを毎回されているのに決して懲りないのは、エドワード派閥内でメルンブルク家の次に名を連ねる辺境伯【ライロンド家】、その次男坊である<マービン>殿だ。


彼は、非常に過激な差別的思想を持つ母親の<ルィーン>殿の影響を色濃く受け、この学院に入った時から厄介な問題ばかり起こす一番の要注意人物であった。

そんなマービン殿に対し、まともな思想を持つ貴族生徒達や被害を受けたくない平民の生徒達はこぞって特級組を辞退。

更に触らぬ神に祟りなしと言わんばかりに遠巻きにする様になると、マービン殿の周りにはそんな彼に従い甘い汁を吸おうとする者達が固まってしまい、特級組を始めとしてその悪い状況は徐々に広がっていった。


それをなんとか止めようとしてもことごとく邪魔をしてくる<ジュワン>と、現在の国の法律と派閥問題によって中々上手くいかなかったが……ジュワンの失脚、そしてマービン殿の失脚が続き、やっと起死回生のチャンスを得たのだ。

───だが……。


「もうアレさ〜、復讐しにいってるんじゃなくてお尻を叩かれに行ってるんじゃねーの?

他にもリーフに挑んで、何分持つか賭け事までしてる奴らもいるしさ。」


ルーンの言った言葉にクルトとレナ、そしてセリナまでブっ───ッ!!と吹き出した。


一番予想外だったのはその失脚した後のマービン殿の変化で、彼は暇さえあればリーフ殿に突っかかりにいき、その度に盛大にお尻を叩かれるという行動を繰り返す様になった。


それこそルーンの言う通り目的がそっちではないか?と勘ぐってしまうほどに……。


お気に入りの魔道具を自慢しにきては貧乏人!!と罵って尻を叩かれ……高得点をとったテスト用紙を持ってきてピラピラ振って「全員俺より底辺!!」と罵っては尻を叩かれる……。

一体何をしているのかと頭が痛くなるが、今までの悪い素行はリーフ殿に対して以外ではなりを潜め、更に本人がとても楽しそうなものだから一応は静観する事にしたのだ。


「まぁ、何だかんだで悪い影響はないからな……。全力でぶつかって自分の感情を発散できて楽しいんだろうよ。 」


「分かる!分かりますぞ!己の全てをぶつけ、全力で返されるっ……!それは嬉しいってもんですよ。

リーフ殿の凄い所は相手の言い分を聞きつつその矛盾点を的確に突く所でしょうな。

まさに全てがクリティカル・ヒット!

俺も今度お尻を叩いて貰おうかと思ってます。」


「ぷぷ───ッ!!クルト、お前尻叩かれたいのかよ!?

じゃあ今度、教師 VS 生徒達で対戦してみようぜ〜。

負けたらクルトだけ尻叩きでどうだ?」


ワイワイ盛り上がり始めてしまったクルトとルーン。

そしてそれに釣られるように他の教員たちもワクワクキラキラした顔をこちらに向けている。


リーフ殿に挑みに来る生徒たちが団体の場合は、リーフ殿も他のメンバー達を集め大掛かりな団体戦になることもしばしば……。

その場合、真っ先にそれを止めるべき教員たちは密かに持ち込んだ酒やツマミを広げ、大声で応援や歓声を上げる始末。

勿論教員達には後日キツイ説教と締め上げをしてはいるのだが、反省しているのかしてないのか、その後何度も同様の場面を目撃してはその度に説教している。


それを思い出し思わずこめかみを押さえていると、ルーンが何かを思い出したのか急にニヤニヤ〜と笑い出した。


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