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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第二十章

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758 開け!ゴマ!

(クラーク)


「ランクAのマジシャン・ウッドか〜。それは強敵だ。さて、どうしようか……。

────あ、せっかくこんなに沢山の人数で戦うんだから、騎士団とかみたいに、担当をバッチリ決めて戦ってみない?

か、か、カッコいい〜!!『薙ぎ払えっ!』な〜んちゃて!」


リーフ様が、扉をビシッ!と指差した瞬間、直ぐにそれを実行しようとした化け物に、リーフ様は飛びつき、それを阻止する。

そして「嘘嘘〜♬」と歌いながら、リーフ様は化け物レオンにしがみつき左右にゆっさゆさ揺れていた。


「…………。」


それに化け物レオンはご満悦な様子で止まっていたので、にっこり笑った頭脳担当であるソフィア様とリリアが、作戦の提案を出した。


「まずはスタンダードに盾などの防御系スキル持ちが最前列の前衛、そしてその後ろが攻撃スキルを持った前衛班……。」


「後衛はデバフやバフ特化のサポート班と攻撃魔法メインの魔法班、そして最後尾は回復メインのスキルを持った回復班……それ以外の前衛から後衛まで幅広く動く諜報やトラップなどの特殊系スキル持ちの人達は、特殊班に分かれるのはどうでしょう?」


二人の提案を聞いたリーフ様は「いいね!」とあっさりGOサインを出したので、各々自身に適した班へと迅速に動き配置に着く。


「俺は攻撃もできるが、まずは盾班としての出陣だ。

様子を見ながら攻撃もできっから、前衛全般は任せろ!」


守護大剣を大盾に変えたレイドがドンッ!と胸を叩くと、それに負けじと他の盾班の者達が「レイドの出番なくしてやるよ!」「私の盾は硬いわよ〜?」とメラメラと闘志を燃やす。


「私は回復もできますが、それはジェニファー様にお任せしてバフとデバフ班に加わります。

皆様のサポートをしつつ、チクチクチクチクとモンスターに嫌がらせして差し上げましょう。」


王女とは思えぬ発言に多少ギョッとしたが、それを言われたジェニファー様はツンッとしながらもまた耳を赤らめる。

そしてその発言に対しゴホンっと小さく咳払いをしたのは、アゼリアだ。


「ソフィア様……どうか第一王女として相応しい戦いをよろしくお願いします。

私は前衛の攻撃班に加わります。

このアゼリア、必ずやお役に立ってみせましょう。」


アゼリアの挑戦的な目にグワッと湧き上がるのは負けたくない!という気持ちで、更にそれに引っ張られるようにワクワクした気持ちまで外に引きずりだされた。


「ふん、一番活躍するのは魔法班のこのクラークだ。魔法こそ攻撃の要、お前の出番などなくしてやろう。」


「おやおや、後ろからこそこそと攻撃するハチ男がどう活躍するのか見ものだね。

せいぜい魔力切れの役立たずにならない様祈っておくよ。

私の多種多様な攻撃で相手を混乱の渦に陥れてやりましょう。

このマリオンに全てお任せを。」


嫌味全開で割り込んできたのは陰湿の塊、魔道具作りが趣味の引きこもり男のマリオンであった。

無言でアゼリア、俺、マリオンが睨み合っていると、エルフの男サイモンがハイハ〜イ!と手を挙げた。


「ボクはぁ〜特殊班かな〜?ちょこちょこ動いて皆のお役に立ちま〜す!

リーフ様に褒めてもらうために、さっちゃん頑張っちゃうぞ♡」


「兄さん……。」


キャッキャッとはしゃぐサイモンにリリアはため息をつくが、周りにいる男子生徒達は「「「さっちゃ〜ん♡」」」と叫んで大騒ぎ。

そしてそんな騒ぎの中、後衛の攻撃班からギラッ!とした目が見え「……メルが一番活躍する……。」というボソッとした声が聞こえた。

何だか今から本当に強敵と戦いにいくのか?という陽気な空気に……。


多少それを咎めてやりたいと思ったが、その中でリーダーのリーフ様が一番はしゃいでいるため、ピチッと口を閉じた。

リーフ様はムスっとした化け物レオンに羽交い締めにされながら、「じゃあ、俺も特殊班!!」「蝶の様に〜ゴキブリの様に動くから!」と必死にアピールしながら唯一自由がきく指先をクイクイと動かしている。


「…………。」


ミチミチミチ〜……!


戦う前から瀕死だ……。


ものすごいレオンの締め付けっぷりに若干心配になるが、その近くにいる側近候補のモルトとニールは全く心配する素振りもなく、その隣でワイワイとお喋りをし始めた。


「じゃあ、俺は後衛のデバフとバフ班に入ろうか。たまに魔法攻撃もできる。」


「じゃあ、俺は前衛の最後尾につくっす。変則的な動きで前衛のお役に立てると思うっすよ〜。」


それに対してリーフ様はヒィヒィ言いながら「よろしく!二人共〜!」と言ってお互いピッ!と親指を立てた。

そうしてチーム分けが終わると、作戦を提案したリリアが前に出てリーフ様に向かって軽く頭を下げる。


「リーフ様、情報の統括、状況に応じた作戦の指示に適した資質の者が一学年にはおりませんので、私が変わりを務めさせて頂きます。」


「あ〜!そういえばそうだったね。じゃあ、悪いけどお任せするよ。リリアちゃん。」


それにニコッと笑顔で答えたリリアは、また後ろに下がる。

すると、それに合わせてリーフ様は化け物レオンの腕から上ににゅるっ!と飛び出てると、俺達が並ぶ方へ顔を向けた。


「じゃあ、ライトノア学院一年生!全員でマジシャン・ウッドを倒そう!!

開け〜〜ゴマッ!!」


謎の呪文を唱えたがそれを今更気にする者達はおらず、普通に扉の前にある解除ボタンを前衛にいるレイドが押す。

すると───……。


───ゴゴゴゴゴ…………。


大きな音を立てながら、ゆっくりと扉は開いていった。


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