７４０　アウト

（リーフ）

「…………？」

白いドレスを着ていたはずの自分を思い出し、更に続けて、なぜ今別のドレスを着ているかの記憶を必死に掘り起こす。

昨日の夜────耳かきしてあげた後、お返し！とばかりにそのまま全身マッサージをされてしまい、俺は情けないドロドロおじさんになった。

その結果、レオンがボソボソとつぶやく話を全て「うん、良いよ、良いよ〜。」と答える様になる。

すると、突然着せ替え人形の様にこれを着させられ、パックリ開いたスリットをペロンペロンと何度も捲られ遊ばれてしまったのだ。

まるで猫じゃらしで遊ぶ猫の様〜！

そう思いながら、快楽に震える手で捲られていた裾を自ら持ちペロロロロ〜♬と動かして遊んであげると、レオンはそのまま、スリットからごっそりでている俺の太ももに頬をつけてきたので好きにさせておいた────ら、今。

朝だよ、朝。

あのまま寝ちゃったのか〜と思い出しながら、極上マッサージのお陰で今日もサッパリな体に大満足だ。

「よ〜し！早速、修行修行〜！」

いつものシャツに着替えるため、俺は足首辺りまで続く服の裾に手を伸ばし、そのまま上に勢いよくババッ！！と持ち上げ脱ごうとした────が……？

これもウエディングワンピ同様、中々脱げない。

「…………〜〜っ？！もっ！……モガが〜っ！？」

そのため無理やり脱ごうと右へ左へバサバサと動きなんとか脱ごうとしたが、突っかかって、脱げない脱げな〜い！

このままではドレスの中で散歩を拒否るワンちゃんの顔になってしまう！

そう危惧しながら、左右の動きに加えて前後の動きも加えて見ると、前にいるレオンの存在をすっかり忘れていた。

フンッ！と前に腰を突き出すと、その先にはレオンがいる。

「────おふっ！！」

当たり前の様にレオンに激突し、俺のお腹にレオンのお高い鼻が突き刺さった。

地味に痛い……。

少々のダメージを受けたせいで、握っていたドレスの裾が手から離れると、ドレスの中にレオンの顔がIN。

中は苦しいのかブルブル、ガタガタと震え始めてしまった。

「あ、ごめんごめん。ちょっと脱げないからさ〜後ろ、外してくれるかい？」

レオンの頭の上にテーブルクロスの様に乗っているドレスのスカート部分の布をペロロンと捲って言うと、レオンの耳は真っ赤っ赤。

ギギギ……と錆びついたブリキの様な動きで、そのまま俺の背中へと手を伸ばし、震えながら背中のジッパーを降ろしてくれた。

それを見届けてスポ──ン！！とドレスを豪快に脱いで投げ捨てると、体はスッキリ爽快だ。

そのまま、んん〜！と大きく伸びをしたところでやっと────自分がパンツを履いてない……いわゆるスッポンポンな事に気がつく。

「────あっ！！！」

朧げな記憶を手繰り寄せ、昨日お風呂から出た後の事を思い出した。

レオンの用意したウエディングワンピースに意識がいってしまっていた俺は、そのままパンツを履かずにそれを着込んで……？

つまり────？

俺のお腹にくっついたまま動かないレオンを見下ろす。

『全裸で体当たりしました。

その結果、憧れの英雄様の美しい顔に危うく俺のぷにぷにボールをくっつける所でした。』

「…………。」

お腹でセ────フ！！！レオンが大きくて良かった〜！

もう少し小さかったら大惨事！もしかしてお口にINしてたかも！？

ぞぞぉぉぉ〜と背筋を凍らせながら、震え続けるレオンを冷静に見下ろす。

コレ、ギリギリセ──フ────……。……セーフ……だよね……？？

口を閉じたまま心の中でそう問いかけたが……耳が赤く、ガクガクプルプルと震え続けるレオンを見れば、セクハラなんて目じゃない程の破廉恥行為にレオンが大激怒している事を確信した。

やっちゃった☆

その後直ぐに、上半身と下半身がさようならする程強く、腰をホールドされる。

「ぎゃああああ────！！！」

断末魔の様な悲鳴が口から飛び出ると────その声は家を越え森の方まで駆け抜けていった。