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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第十九章

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739 終焉の世界

(リーフ)



「…………っ!??」



その内容を目にした後、ゴクリと喉を鳴らした。



恐らくあの謎の人物が言っていた『目』とはこの事に間違いない。


自身の存在している『世界』は、このアルバード王国が存在している世界の事。

そしてその運命を『理』から覗くという事は────先程見た出来事が、これから起こる予定の未来の映像であったという事だ。



『先程の恐ろしい出来事が現実に────。』



それを考えたらゾワッ!と恐怖が体を襲い、完全に目が覚めた。



反教会組織の結成、そしてその後に起こる教会と反教会組織の戦いは、恐らくグリモアでの事件が発端だ。


親友のメルちゃんを亡くしてしまったレイド。

双子の妹リリアちゃんを亡くしてしまったサイモン。


その二人がその組織を立ち上げ、同じ様に大切な者達を亡くした同志達を集めてその組織ができた……。


そう考えると、今現在はそんな組織はないというのが合点がいく。


更に分かる事は、反教会組織がかなりの巨大な組織であった事からも、多分被害はグリモアだけに留まらなかったのではないか?という事。

            

理由は分からないが、多分、国中で()()()()()()、沢山の犠牲者が出たに違いない。



「う……うぅぅぅ〜っ。」


唸り声を上げながら、レオンの胸にゴリンゴリンと頬を擦り付けて、グリモアの正門の前方にいた黒くて巨大な『何か』を必死に思い出した。


  

多分、()()がその事件の元凶になるはずだ。



それに気づき、カッ!!と目を見開いた後、レオンの腰に手を回して突然飛び起きそのままベッドの上にレオンを放り投げた。



だったら俺にできることは一つだけ。

あの『何か』を、俺がぶっ飛ばす!



昨日に引き続きボールの様に投げられてしまったレオンは、空中でキョトンとした可愛い顔で俺を見つめてきたので、それをまっすぐ見返した。



「レオ────ン!!今日から修行はいつもの100倍だ!!!俺についてこ〜い!!」



レオンが不思議そうな顔をしたままベッドにバウンドしたので、俺はそんなレオンをしっかり下でキャッチ。

そして顔を覗き込むと、レオンは直ぐにニコッと控えめな笑顔を見せて「はい。」と、いつも通りのイエスマンな答えを返してきたので、俺も笑顔で返事を返した。



あの元凶が何かは分からないが、第二騎士団が全滅していた事からも相当強いのは確実。

なので、今のままでは絶対に俺の負けだ。


だから強くなる事、これが最優先。



俺はゆっくりレオンをベッドの上に降ろし、ポクポクとトンチ少年の様に他にも今の時点で分かった事を考えた。



俺が最大限に恐れているのは大きく『運命』を変える事で起こりうる<補正力>。

これが働く事でより多くの犠牲が出るかもしれないと、以前レーニャちゃんに忠告されたわけだが────……。



「いや、コレどう見ても最悪な形の未来だよね……?」



ボソボソと呟きながら、多分この事件の後で、レオンハルトが旅立つ直前の出来事らしい映像もあった事を思い出し、そうか……と一つの事実を知る。



『アルバード英雄記』は、悪役達が勝利した世界の終焉を描いた物語だったのだ。


誰も幸せになれなかった世界だったんだ。

勝利したはずの悪役達も……。



俺の脳裏には、高らかに笑っていた世界一幸せそうに笑うエドワードの姿が浮かび、何とも言えない気持ちを抱いた。


手が届きそうだった理想の世界は、その犠牲にして心を壊されたレオンハルトによって跡形もなく消えてしまったのだから。



因果応報。何とも皮肉めいた話だなぁ……。



降ろされたベッドの上でちょこんと可愛らしく座り込んで大人〜しく俺を見上げるレオンを見下ろし、ため息をついた。


結局はどんなに安全な所にいたって、川を汚し続ければいつかは巡り巡って自分の口に入ってくるのだよ。


よ〜ちよち!


目の前に座るレオンの頭を撫でながら、もう一度現在の状況をしっかり確認していく。



本来ここにいないはずのレオンハルトが、今はこのグリモアにいる。

つまり、その事件が起きてしまえばレオンハルトの正規の運命は大きく変わるわけで……人生が終了するかもしれない……??


すると、一つの可能性がプカプカ〜と浮かび上がり、一気に血の気が引いた。



た、た、大変だ!!

このままじゃあ、物語は強制終了してしまうかも!!



レオンの頭を撫でていた手を外し、ニョキニョキと飛び出してきた焦りに挙動不審な動きを見せる。



も、もしかして鉱山にいたほうが安全だったって事……?

あれ、めちゃくちゃ劣悪な環境だったけど、実はセーフティーゾーンだった……とか?



ガガ────ン!!


ショックで倒れそうになりながらも、カカッ!と目を見開きその場で踏ん張る。

そしてゴッ!!と燃え上がった俺は、拳を強く握って心に誓った。



あの元凶を倒してレオンを守る!

悪役枠は俺!あんな黒い変なのと同じ土俵など御免被る!



気合満々になった俺はそのまま着替えようとしてフッ……と自身の格好を見下ろすと、肩と背中がパックリ、下はスリットが股間部スレスレまで入っているよ!的な、冬に優しくないぴっちり紺色のセクシードレスに包まれている自分の体があった。



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