表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第十九章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

720/831

718 トラウマ根深い

(リーフ)


「…………。」


多分俺の今の気持ちは、母親が初めて息子のエチチ本を発見したときと一緒。


『まぁ〜あの子も成長したもんね〜!』


な〜んて穏やかな気持ちを抱いたまま、ペラっとページをめくった瞬間、目に写るのは────……。


スーパーハード・ド鬼畜SMプレイ!!

あふれるほどの人数で入り乱れた大乱交!!

そして登場人物全てがガチムチチ〜のゲイ本だった!!────のと同じ感じだと思った。



好きなら別に良いけど、 せめてそこにいくまでワンテンポ置いて欲しかった……っ!と思うやつ。

突然のテロの犯行予告の様な発言に加え、脅迫までしたレオンに、俺はびっくり仰天だ!


これは困ったな、どうしよう……。


結構重要な局面に突然立たされ、俺はう〜ん……?と考え込む。


確かに毎日何かしらゴネてはいるがここまで酷いのは初めてで、戸惑いながらその原因を探った。


優しさ100%のレオンが、本心でこんな事を言うはずない。

だから絶対何か原因がある。


「う〜ん、う〜ん……。」


唸りながら考えている俺の視界に、突如ドレスの裾が目に入り────ピンッ!ときた。


もしかして、恥ずかしいから怒って誤魔化そうとしている……?


これだ!と言える原因を見つけ、俺はニヤッと笑った。



『男の子なのにお人形遊びが好きなの、恥ずかしいな……。』


『そんな僕の事見て引かれちゃったかな?気持ち悪いって思われたかな?』



そんな想いが根幹にあった中、ちょっと力の加減を間違えて即死ホールド!

死にかけた俺が『いやいや〜!』したため、俺が気持ち悪がったと勘違いしてガガ──ン!とショックを受ける。



『や、やっぱり気持ち悪いと思っていて……だから嫌がった!?』



ショックと恥ずかしさから、犯行予告からの〜脅迫!

要は────……。


『誰かにこのことを喋って僕のイメージを壊さないでね?

じゃないと、恥ずかしくて死んじゃうから!』────って事かぁ〜……。



「あ〜……。」


なるほどね!


それなりにありがちなパターンに、大いに納得した。


正直、人のちょっと変わった趣向など9割くらいの人間が『へぇ〜』程度だが、本人にしては(多分)死活問題だ。


それにレオンの場合は特に……。


困った様に眉を下げ、レオンの悲しい過去の数々を思い出す。



レオンは多分母親の件以降『捨てられる』という事に敏感なのでは?と思う所がよく見られる。


多分、あの死ぬほど気持ちいいマッサージも、それを恐れての回避策の一つで、『気持ちいい』で役にたっている内は捨てられないと思っているに違いない。


だから、その不安な気持ちを利用したくなくて自分で洗おうとしたのに────あっという間にド修羅場だったよ。うん。


断った時の修羅場をまた思い出して、ブルっと身を震わせた。


トラウマって根深い。

だから変わった趣向も、きっと捨てられる可能性を生み出すと思って必死に隠そうとしている。


ジッと見つめてくるレオンから視線を逸らし、自分が着ている白いドレスを見下ろした。


コレがレオンの好きなモノか……。


その『好き』を理解しようとして、とりあえずドレスの裾をペロペロ〜と捲って弄ぶと、レオンが猫じゃらしを見た猫の様にその裾を凝視する。


その様子を見て、本当にドレス好きなんだな〜と思いながら、沢山の『もしも』を考えてみた。



もしもレオンがこれからドレスしか着ないって宣言してムキムキ女装しだしても……。


ブクブクに太っちゃってぽっちゃり英雄様になっても。


将来カッパさん剥げになっちゃって髪の毛がなくなっても。


ハードSMゲイプレイが大好きだと暴露されても。


手とか足とか無くなって一人で動けなくなっても。


目とか鼻とか全部なくなってレオンがレオンって視認できない状態になっても────……。


やっぱり俺のレオンへの想いって何も変わらないんだよ、増えていくだけで。



改めてレオンハルトに元々持っていた憧れと、新たに増えていくレオンという存在への『好き』を想い、そう確信した。



嫌いになんてなるはずがない。

だからそういうの……別に隠さなくても大丈夫なのにな。



ペロンペロンと裾を動かし続けると、それをひたすら目で追い続けるレオンを見て、また一つレオンへの想いが増えて優しい気持ちが芽生える。


何だかんだで、にゃんにゃんレオンはまだまだ可愛いものよ。



「フォッフォッフォ〜!」


突然笑いだす俺にムッ!として軽く睨んでくるレオンだが、うっすら赤い首元、そしてチラチラッとこちらを気にする素振りからも、隠しきれない罪悪感が滲み出ている感じだ。


俺は、そんなレオンの首の後ろに手を回しグッと引き寄せると、すかさずレオンの上半身をお辞儀する様に大きく倒した。



「────!?」


レオンが驚いた隙に、俺は地に足をつけ、もう片方の手を素早くレオンの膝裏へ差し入れると、そのままレオンを上にポ──ン!と放り投げてやる。


空中でポカンと驚いているレオンは、凄く可愛い。


それに癒されながら、俺はそのまま落ちてくるレオンをお姫様抱っこでキャッチしてやった。


そして可愛い顔をしたまま俺を見上げる……いや大きさ的には見下ろしてくるレオンを見ながら、その体をゆっすゆすと揺らす。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ