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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第十九章

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714 爆発スイッチ

(リーフ)


改めてそれを理解し、俺は「よ〜し!」と気合いを入れ直した。


このおじさんが、リアルお人形さんごっこに付き合って差し上げるぞ!


そう決意し、俺はドレスの下からスポッ!と勢いよく顔を突っ込んだ。


モソモソモソ〜!!!


そうして襟元を目指して進んでいくが、そのゴールに中々到達できない。


まさか……頭がウエスト部分を通らない!?



「な、なんのぉ〜……っ!」


フンガー!と悲鳴を上げながら、上半身を右へ左へとバサバサ振り、なんとか頑張ってウェスト部分に頭が通ったが、今度は肩が通らない事に気づき、断念した。


そこまでしてやっとズボンの様に下から履けばいいのかと思いつき、一度ドレスを脱いで今度は下から再チャレンジ!


ズボンを履く様に下からスーと上に持ち上げると、所定の位置にセットできたが────まだ後ろのホックが自分で上げられず背中がパックリと開いたままになっている。



「レオ〜ン。後ろ止めてぇ〜。」


仕方がないのでレオンに頼んだが、返答がない。



「??レオン?」


聞こえなかったのかと思い、名前を呼びながら後ろを振り向くと、視界は一面灰色に染まった。



おおおお???


鼻先が触れるほどの近距離にレオンがいたため、灰色のパジャマが視界いっぱいに広がっていたらしい。


気配なく真後ろにいた事に、思わずギョッ!!として飛び上がる。



「び、び、びっくりした〜。あのさ〜後ろのホックを上げてくれないかい?一人で着るの難しいね、これ。」



後ろを向いてクイクイとその部分に相当する場所を差すと、レオンは無言でジジ────ッ……とホックを上に上げていく。


それが完全に上がりきったのを確認し、改めて自分の着ているドレス風ワンピースを見下ろした。


ウエスト辺りはピチピチ。

でも胸の辺りはゆるっとしていて、何だか全体的に残念感が濃厚な感じの仕上がりになっております。



「せめて胸の部分にタオルでも詰めてみようかな。」



ハハハ〜と笑いながら、、籠に入ったタオルを取ろうとした瞬間────……。



────ドンッ!!!!


10トン級トラックが、後ろから衝突してきた様な……?

とにかく物凄い衝撃があったと思ったら、そのまま腰と首あたりに腕を回され完全ホールドされる。


そして〜……。


────メキメキメキ〜〜!!!


容赦ない締め付けに、意識は一気に飛びそうになってしまった。



「…………っ!!ちょっ……っ────!!!レ……レ……オ……っっ!!」



一番やばい首周りに回されているレオンの腕を掴み、必死に剥がそうとしてもびくともしないっ!!


しかも、そのまま足先は宙に浮き、首吊りの体制に移行してしまう。



「すごい……あぁ、凄いですリーフ様……凄い……凄い…………。」


俺は苦しくて痛くて、バタバタと足を動かして何とかレオンから離れようとするが、レオンはそんな感じの事をブツブツ呟いていて全くこちらの状態に気づいていない様だ。



そうそう、凄いから!この締め付け!

だから、は〜な〜し〜てぇぇぇ────!!!



このままだとレオン執行による絞首刑に処されてしまう!と、俺はなりふり構わずジタバタと動き続け、体全体を使ってその拘束から逃れようとした────が……?



「……何で俺から逃げようとするんですか?」



ピタッ……と突然締め付けが和らいだ瞬間、レオンの静かな声が耳元で聞こえた。



『苦しいから!死んじゃうから!』


そう訴えたくても首へのダメージが凄くて、声が出ずヒューヒューと弱々しい息しか吐き出せない。


そうしてヒュ〜ヒュ〜ゼイゼイ……と何とか息を整えていると、レオンは突然俺をパッと離した。



「────あひょ……??」


そしてそのせいでよろめいてしまった俺の二の腕をレオンは結構な強さで掴み、自分の方を向かせて引き寄せる。


突然対面させられた俺は、酸欠で青白い顔をしながらチラッとレオンの顔を見上げたのだが……何と無表情でジッと見下ろしてくるレオンの『爆発スイッチ』が入っていることに気づき、ヒョヒョっ!!?と息を飲んだ。



レオンの『爆発スイッチ』。


ゴネゴネモードの先にあることが多いが、稀にこうしてよく分からないタイミングで入ることもあって、こうなるとなだめるのは一苦労。


これが非常に分かりにくく、更にその気が済むタイミングもよく分からないのでほとほと困り果てている。



ご所望の着せ替えごっこに付き合って、絞首刑。

死にたくないからやめて〜したら、スイッチオン。


流石に理不尽過ぎるので、キリッ!とした顔のまま『俺は悪くないぞ!』アピールを見せると、二の腕を掴んでいるレオンの手の力が強くなった。



「俺に触れられるのがそんなに嫌なんですか?さっきまで気持ち良さそうにしていたのに?

……やっぱり体は駄目ですね、繋ぎきれない。そんな弱々しいもので満足しては駄目でした。

────で、どこに逃げますか?お風呂の時みたいに俺が見ている範囲なら少しくらいは多めに見ます。

アヒルも閉じ込めて育てるより広い草地で育てた方がお肉が美味しくなるって言ってましたもんね。リーフ様が。」


「…………。」



???

えっ??アヒルって何の話???


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