33 最初のズレ
(リーフ)
とりあえずはリーフに生まれ変わって良かった点を考えよう。
そこでパッと浮かぶのは、親、兄弟がいる事!
俺は前世で家族は誰もいなかったから、これは純粋に嬉しい。
次に【公爵家】という非常に高い身分を持っている事。
ここアルバード王国は身分に重きを置く国である為、高い身分を持っている俺は大抵の無茶が通るからこれは本当にラッキー!
そしてそして────!
俺はカッ!!と目を見開き、興奮しながら鼻息を吹き出した。
何と言ってもリーフといえば、輝くような金色の髪と透き通った青い目を持つ極上の容姿!
頑張っても通行人の役程度な俺とは違い、外見だけなら主役級、顔面だけなら完全無欠のイケメンヒーロー……そんなスーパーイケメンであるあのリーフになったのだ。
平凡の代名詞の自分がイケメンに……。
思わずニンマリと笑みが溢れる。
そんなにイケメンなら、前世で死ぬ間際に密かに片想いしていたパン屋のみち子さん(49歳、未亡人、むちむち豊満ボディー)の様な魅力的な女性といつかお付き合いできるかもしれない!
それに気づいて『やっほ〜い!』と喜び手を叩くと、先程持ってきてもらった洗顔用の洗面器の存在を思い出した。
せっかく持ってきてくれたのに、湯が冷めてしまったら申し訳ない。
そう思って顔を洗う為、ひょいっと湯を覗き込み────ピタリと動きを止める。
仄かに湯気の出る水面、そこには7〜8歳くらいの自分の姿が写っていた。
前世の<森田 大樹>そのままの顔で。




