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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第五章(ライトノア学院試験編、ソフィアとアゼリア、レイドとメル、リリアとサイモンとの出会い)

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264 頑張ることが大事

(リーフ)


「では次!〜〜〜リリア、前へ!」


次に呼ばれたグループの中には、あのエルフ族のリリアちゃんがいたため、自然と視線はそちらに引っぱられる。


魔法特化型なのでは?

そんな先程思い浮かべた予想は当たっている様で、あまり剣体術は得意ではないような動きであった──────が、なんと俺の時以上の盛り上がりを見せた。


男性受験生達による応援で。


右に動けばそれについてくる2つのポヨンッ、左に動けばそちらにポヨヨ〜ン。

本体とは別の箇所の動きに試験官もタジタジで、試合終了後はフラン学院長に呼ばれてもの凄く怒られていた。

点数は平均点をやや下回る15点であったが、そうして惜しみない拍手を送られての終了となった。

しかし、俺が驚かされたのは、その後直ぐに呼ばれたサイモンだ。


「ほいほ〜い☆」


「──────!お見事!」


サイモンの軽々した身のこなしとトリッキーな動きに、試験官の動きにも熱が入る。

サイモンは完全なスピード型のようで、多分俺と同じテクニック型。

ちょこまかと細かく動き回り試験官を翻弄し続ける動きは中々のもので、女性受験生達はその動きに驚きの声を上げ、男性受験生達はその可憐な姿に見惚れている様子であった。

そのため点数は、堂々の60点!


「うおぉぉ!凄い!」


「可愛いだけじゃない!!」


一位の俺、二位のアゼリアちゃんとレイドに続き、三位に食い込む高得点に会場内はまたしてもざわつく。

中学院を受けようとする子達は、キチンと自身の特性を理解し、それを最大限に使って挑んでくる!

ワクワクしながらその後の試験も見守っていると、同じ小学院仲間のマリオンの名前が呼ばれた。

そのためキョロキョロとマリオンを探すと、マリオンはちょうど沢山の取り巻き達に見送られリングの上に立ったところであった。


「次はマリオンの番か……。」


自分を見つめている視線に気付いたのか、マリオンは俺の方を突然振り向き、ふっと余裕の笑みを浮かべたため少々驚いてしまう。


マリオンは小学院時代、魔法、特に魔力操作はずば抜けていたが、剣や体術はあまり得意ではなかったはず……。

これはもしかして、物凄い秘密特訓でもしたのかもしれないぞ!


ワクワクしながらマリオンの戦いを見守った──────が……?

見事にいつも通りのマリオンで、点数も平均点にちょっとだけ色をつけた25点であった。


「…………。」


とりあえず俺は拍手をしてその健闘をたたえていたら、マリオンはゼイゼイ、ハァハァ……と息を乱しながら、おぼつかない足取りでこちらに向かってやってくる。


「はぁ、はぁ…………っ……。ふっ……ふふふ……リーフ様、俺の剣体術のテクニックを見てくれましたか?

これで私の方が、そこのくっつき<チューチュー虫>達より優秀な事が証明されましたね!

圧倒的に私の勝利です!そうですよね!?リーフ様!! 」



<チューチュー虫>

モスキート型Gランクモンスター。

体長2〜3mmの小さい身体に無痛性の針が口についており、それを使ってモンスターや動物の血を吸って生きている。

好みにうるさく、一度決めた血は吸うまでずっと追いかけてくる事と、吸われた後に続く耐え難い痒みから、忌み嫌われている害虫モンスターに分類されている。



「「「…………。」」」


指を指されたモルトとニールはにっこり笑い、俺はうう〜ん??と悩ましげな顔になった。


とりあえず、相変わらずの意地悪発言にデコピンだ──────と、そう思ったが……。

『ゼイゼイハアハアしているし倒れちゃうかも……。』とか、『モルトとニールの20点と果たしてそこまで差はあるのだろうか?』などと考え込んでしまい、結局デコピンのため持ち上げていた手は下に下がる。


「とりあえず、お疲れ様。(平均点を上回って)凄いじゃないか。」


当たり障りのなさそうな言葉を選ぶと、どうやら満足したのかマリオンはニヤリと笑う。

そしてモルトとニールを鼻で笑い、最後にレオンをギロリッ!と睨みつけてから、ご機嫌で去っていった。

マリオンが見えなくなった途端、へっ!と鼻で笑い返すモルトとニール、そして何一つ目に入っていない完全無視のレオン……悲しくなるほどいつも通り!


「ヘイッ!俺達、幼馴染〜ズ!俺、リーフ!」


「……俺、モルト。」


「……俺、ニール。」


いつもの言葉を言いながら手を挙げると、モルト、ニールも続いて手を挙げ、自分の名前を言う。


「…………。」


その中で唯一、ポケ〜としてだんまりレオン。

俺は、そんなレオンの両手を掴み無理やり猫の手にすると、レオンの声真似をしながら「僕、レオンだにゃん!」と言って、掴んでいる手を招き猫の形にする。


「──────ブホッ!!」


「〜っ………っ……っ。」


モルト、ニールの二人は吹き出したが、当の本人であるレオンはご満悦だ。


基本的にレオンは寂しがり屋だから、こうして構っていれば特に怒りのポイントはない!

そうしてニャンニャンニャニャ〜ん♬と遊んでいる内に、レオン以外の受験生の試験は終了したようで、後残すはニャンニャンされて喜んでいるうちの子、レオンのみとなった。


さぁ、さぁ!ウチの子レオンの凄さを皆に見せつけてやろう!

なんてったって英雄様!俺の永遠の憧れ、ヒーロー様だ!

この戦いにより、もしかして……。


『凄い、つよ〜い!呪いなんて伝染らないならシールみたいなものね!』


『わぁ〜!こんなに強いなら、皆!レオンに色々教えてもらおうよ!

呪いなんてホクロみたいなもんだから大丈夫!』


──────みたいに、皆レオンを見直してくれる可能性だってあるぞ!


もわわ〜んと、頭に浮かんだ妄想にニンマリと笑う。


そもそも長期戦を見据えた人付き合いにおいて、人の外見など吹けば飛ぶ紙で出来たハリボテと同じ。

つまりはレオンの純粋で、素直で、真面目で、優し〜い人柄さえ見てもらえれば皆レオンを好きになる!

────絶対なる!!


ドヤ顔で鼻息を吹きながら、ズラズラ〜といる周囲の皆を見回した。


そのためには、まずは無駄に要塞化している外見の問題を吹き飛ばしたい。

それにはまずは、レオンの強さを見せつける事。

強くなりたいと願う志が高いなら、その強い部分を見せれば興味を持ってくれる可能性大……きっとここが大事な分岐点だ!


猫が戯れつくようにくっついてくるレオンの髪を、サッサッと手ぐしで整えたり、服のシワを手で撫で上げながら、名前を呼ばれる時を今か今かと待っていたが一向にレオンの名前が呼ばれない。


あれれ〜??レオンの出番まだ??


ソワソワしながらフラン学院長と他の審査員達の方を見れば、全員随分と深刻そうな表情をしている。

更にそこにはリング上にいたはずの試験官達、そして他の教員一同全員が集結していて、何やら揉めているご様子だ。


う〜ん……もしかしてあれかな?

さっきリリアちゃんのポヨヨンにたじろいじゃった試験官さんが、結構なインモラル問題になっちゃった感じ?


俺はそれに嘆かわしさを感じて、やれやれ……とため息をついた。


確かに子供の胸部に対するあの過剰反応は良くない。

この世界に児童相談所があったら、間違いなくフル身体強化をかけた職員が捕まえにいくね。

その犯人を。


全く仕方のないスケベ坊やめ!


俺はリリアちゃんの件で試験官を降ろされ、今は深刻な表情でその集まりに加わっている教員を睨みつけた後、先ほどまでリングに立っていた試験官さん達にも視線を向けた事で、やっと彼らの普通ではない状態に気づく。


明らかな怯え、恐怖を宿した目、そしてそれを忠実に現すように小さく震える手足……。

そんな異常事態の様な様子の試験官達を見て、何が起きているのか察してしまった。


剣体術の教員達は全員が実力高き戦闘のエリート。

つまりは──────『呪い』を心の底から怖いと思っているのだ。


「……あ〜……そうだった、そうだった。」


あの凄く強いドノバンだって、一番怖いものは『呪い』だと言い切っていた。

それを思い出し、戦闘に関わる職についている者達にとって、それはもっとも恐れるものだという認識を正しく理解する。


強い人ほどその恐怖は心に染み付いているはずなので、突然『大丈夫!』と言われても、直ぐに対応を変えるのは難しいはずだ。


これは俺の配慮が足りなかった……。

反省しながら、こうなったら次の魔法の試験に賭けるしか無いとレオンにその事を伝えようとした、その時──────……。


「やれやれ……これだから平民の三流剣士共は嫌なんですよ。」


そんな声が、フラン学院長達がいるところからやや離れた場所から聞こえてきた。


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