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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第五章(ライトノア学院試験編、ソフィアとアゼリア、レイドとメル、リリアとサイモンとの出会い)

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260 よくない大人

(リーフ)


俺は改めて、その失礼無礼な試験官をじっくり観察した。


年齢は30代後半くらい。

褐色を帯びたくすんだ黄色い髪を清潔感漂うオールバックにしていて、面長に切れ目、シュッと尖った鼻筋を持った、わりと清潔感がある顔立ちをしている。

しかし、鋭い眼光とピリピリ相手を刺激してくる嫌な感じのオーラと、神経質そうな雰囲気により、あまり近寄りたくない感じの男性だと感じた。

更に、袖がヒラヒラした白いシャツに、見てすぐわかる様な高級感漂う黒みを帯びた赤色のベスト、そして胸元やポケット部分にこれでもかとついているフリル達と、沢山ついてる装飾品達などなど……。

他の教員達が、全員白いシャツに茶色いベストというラフな格好をしているのと比べると、少々浮いている感がある。


「んん〜???」


中学院は身分よりも実力重視!────なアーサーの理念の元運営されているため、こういった、いわゆる『周りと一線引きたいな〜!』的な感じの人物は、あまりいないはずだが……。


どういう事……?


首を傾げながら、彼のここまでの試験官っぷりを振り返ると、他の教員が『実力を測る』目的で受験生達と戦っているにも関わらず、彼だけはその目的がぶれているような気がする。


とりあえず一貫した動きを見せずに、悪く言えば人によって態度や行動を変える感じ?


評価はフラン学院長達により正当にされていたため黙っていたが、どうしてそんなことをするのかは分からない。

うう〜ん?と考え込んでいると────……。


「【ライトノア学院】剣術担当教師<ジュワン・ベレーン・ゲレンズ>。

35歳、爵位は<子爵>、バリバリの身分至上主義で有名な人、以前奥様に酷い暴力を行い離縁して以来ずっと独身────っていう完璧なハズレ物件ですよ〜。

あえて長所をひねり出して言うならぁ〜?

剣術に関してはこの学院でNO.1の実力を持っていて、Bランクモンスターもソロで倒せる位の凄い実力を持っている事くらいかな〜?」


きゅるるんっ!

そんな効果音でも出そうなウルウル、キラキラお目々で俺を見上げてくる人物がいつの間にか直ぐ隣にいて、その問題の教員の情報をペラペラと話す。

その人物は、先ほど出会った【エルフ族】の少女……いや、少年の<サイモン>であった。


「────〜〜っ!!??」


気配が全くなかったことに驚き、思わずあがりそうになった悲鳴を必死に飲み込む。


「リーフ様ぁ〜か・わ・い・い〜♡」


口元を押さえて耐える俺を見て、サイモンは嬉しそうに笑いながらもたれかかってこようとしたが、肩が触れる前にレオンが俺をヒョイッと持ち上げた。


「キャンっ!」


それにより、寄りかかる先をなくしたサイモンは、尻尾を踏まれたワンワンのような悲鳴をあげてそのまま倒れてしまう。

ドキドキしながらそれを見下ろしていると、後ろの方から彼の双子の妹の<リリア>ちゃんが、ボインっボインっと2つの山を揺らしながらこちらに走り寄ってきた。


「もう……また兄が申し訳ありません。

兄さん、リーフ様のご迷惑になる事は辞めて。不敬罪で首が跳ぶわよ?」


「いやいや、しないよ!そんな事。驚いただけだから大丈夫だよ。

むしろ色々教えてくれてありがとう。サイモン、大丈夫かい?」


首が飛ぶと言う物騒な言葉を慌てて否定した後、倒れたままのサイモンに声をかける。

すると彼は横たわったまま、またきゅるる〜ん♡とキラキラお目々で見上げてきた。


「う〜ん、駄目かもしれないですぅ〜♡」


サイモンはしおらしく肩を揺らしてそう言ったが、、ため息を吐いたリリアちゃんに容赦なく首を掴まれ無理やり立たされる。

そんなぞんざいな扱いにもかかわらず、全くめげる事なくサイモンはにっこり笑うと、後ろで見ていたモルトとニールは男と分かっていながらもその可愛い笑顔に真っ赤な顔になり、レオンの後ろに隠れていた。


「リーフ様のためならぁ〜何でも情報を持ってきま〜す!僕の得意分野なので♡

ちなみに大好きなものは『お金』で、好きな言葉は『玉の輿』で〜す!」


はいは〜い!と元気よく手を上げてそう言い切るサイモンに、隣りにいるリリアちゃんはドン引きだ。


────清々しいっ!

もうカッコいいと言っていいレベルで清々しい子だな、サイモンは。


その潔さに対し感心していると、リングの上から突然────……。


ガツンッ!!!


何かが当たる大きい音がしたため、直ぐに視線をリングの上へ移す。

すると、あの青色のフードの少女がリング外のだいぶ離れたところまで吹き飛んでいて、お腹辺りを押さえながら膝を付いて震えていた。


一体何が?!


急いでその子のところまで行こうとしたが、不快全開な「はぁ〜〜〜っ!」というため息がリングの上から聞こえてきたため、一旦足を止めてそちらに注目する。


「全く……汚らしい平民の、しかも臭くて仕方がない獣のガキがうっとおしい戦い方をしないで頂けますか?

ここは【人族】様の、しかも選ばれし者だけが通うことの許される崇高なる学び舎な〜ん〜で〜す〜。言葉、通じてますかぁ〜?」


あの感じが悪い試験官、<ジュワン>が馬鹿にしたように鼻で笑いながらそう言い、更にはくるくると指を回しながら自身の頭を指した。


そのあまりの言いようと、状況から察するにあの青いフードの子は、この男の手加減なしの攻撃によって場外へ飛ばされたようだと気づき、『こんにゃろ〜!』と、おじさんの怒りはマックスへ!


よっしゃっ!このジィジが鉄拳を食らわせてやる!

意気揚々とリングの上にあがろうとした、その時────……。


「────てっめぇっ!!!メルに何すんだ、こらぁっ!!次は俺が相手だっ!!」


そんな怒号と共に、レイドがジュワンへと飛びかかり、剣を思い切り振った。


────ガキィィーンッ!!!!


大きな音をたて、交わる剣と剣!

その火力もスピードもかなりのレベルにもかかわらず、ジュワンは全く動じることなくその攻撃を片手であっさり受け止めてしまう。

レイドはギリギリとジュワンを睨みつけながら、そのまま連続で攻撃を繰り出すも、その全ては全く当たらない。


「全く次から次へと……汚らしい獣風情が。家畜は家畜らしく、大人しくそこらで草でも食べててく〜れ〜ま〜す〜か〜?」


そう言い終わったジュワンは、レイドとの間合いを一瞬で詰め思い切り顎を蹴り上げた。


「……っ!!がっはっ!!」


顎を蹴り上げられた事でレイドが仰け反ると、ジュワンは手に持つ木刀で、がら空きの胴体部分を思い切り打つ。

その結果────レイドは大きく飛ばされ場外へ。

そして、離れた場所のリングへと叩きつけられ、そのままバタンと倒れてしまった。


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