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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第五章

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263 最強の悪役登場

( リーフ )


「────あ、俺の出番!」


やっと来た自分の出番に、ガッツポーズ!


直ぐにレオン達に「いってきま〜す!」と伝えリングへ向かった。


そうして呼ばれたリングの上に上がると、リングの外で控えている教員が、長剣型の木刀を渡してくる。


「ありがとう!」


よって渡され、それを握り試験官の男性と向き合った。


相手の試験官はまだ20代前半くらいの若いお兄さんで、先ほどのジュワンという教員と違い悪い印象は全く受けない好青年だ。


「よろしくお願いしま〜す!」


これから対戦してくれる教員に対し頭を下げた後、直ぐに木刀を構えると、遠くからモルトとニールの「「リーフ様〜!ファイトで〜す!」」という声援が聞こえてきた。


それに向かって手を振ると、他の受験生達が一気にざわつき始める。



「さっきの人だ!」


「本当に強いのかな?」


「外見は強そうに見えないよな〜。」



などなど、どうやらかなり俺に対し興味津々のご様子。



まぁ、あれだけ煽ったのだ、本当かどうか実力拝見!ってとこかな〜?



俺は一度深呼吸して息を整えると、ぐっ!!と気合を入れ直した。



ここは絶対負けられない。


なんたって俺は最強の悪役、リーフ・フォン・メルンブルクで、常に英雄レオンハルトの前に立ちふさがる彼を強くする為の壁的存在だから。


悪役が弱いと絶対駄目なのだ!



「では───試験、始め!!」



開始の合図が聞こえると、俺は身体強化を掛けそのまま試験官に向かって飛んだ。


すると、それをとっくに呼んでいた試験官は直ぐに剣を構え俺を迎え撃つ用意をしたが、俺は急にふっ……と、身体強化を解く。


それにより、予想される攻撃の道筋が一瞬で消え、試験官は、あれっ??と戸惑い、前のめりに。


そこで、すかさず俺はもう一度身体強化をかけ、そんな試験官の懐に飛び込むと、体制を崩した彼に怒涛の攻撃ラッシュを打つ。



それに周りからは、おおっ!!!という歓声が聞こえたが、やはり流石はナンバーワン中学院の教員……そんな複雑な動きにも冷静に直ぐ体制を立て直し、俺の攻撃の軌道に慣れてきた様だ。


そうしたら、次の手!───と、今度は足だけ身体強化を解いた。



「───!??な…なにっ!?」



すると足の運びと手の動きがちぐはぐで、次の動きが読めなくなった試験官は明らかに動揺を口に出したが……やはりその動きに冷静に対応しようとしてくる。


しかし、俺はそれに対応されてしまう前に後ろに飛んで一瞬身体強化を解いた。



───今がチャンス!



そう思った試験官は最大限の身体強化をかけ、こちらへ一瞬で移動し剣を振る───がそれが俺の狙い!


───コツッ。


こっそり身体強化を掛けていた片足で、その攻撃が届く前に試験官の足を素早く払う。



「───くっ!クソっ!」



足を払われた試験官の身体はグラッと大きくバランスを崩し、何とか体勢を整えようと足の位置を踏み込む形で動かした。



『わざと隙を作って、相手がそれに食いついた時が最大の攻撃チャンス!ってやつだ。』



ドノバンのわかりやす〜いその隙とやらに、何度と無く引っかかった事で学んだこと。


今日は俺がそれを使う方だ。


地面に足をしっかりつけた試験官相手が体制を立て直す前に、俺は再度全身に身体強化をかけ距離を一気に詰めると、剣を持っている彼の手を掴みそのまま〜…………一本背負い!!



「───うわっ!!??」



───ドス〜ン!!!



短い悲鳴をあげる試験官の彼の背を、そのままリングの上に叩きつけた。



一瞬のその出来事に、シ〜〜〜ン……と場内は静まり返り、誰一人動かない。


しかし、俺が試験官から手を離した、その瞬間───……。



『わあぁぁぁぁぁ──────!!!!』



大きな歓声が、まるで嵐の様にあちらこちらから上がった。



「す、すげぇっ!!なんだよ、今の!」


「あんな動き見たことない!何あれ?」



そう叫んでいる受験生達に加えフラン学院長達も目を見開き、審査員席から全員立ち上がってこちらを見ている様だ。


そしてその後直ぐに、はっ!としたフラン学院長は、他の審査員達と共に俺の合計点数を発表、その点数は、なんと───95点!



歴代最高点が80点だったので、それを大きく上回っての点数に周りの興奮は最高潮に。


モルトとニールは飛び上がって喜んでくれているし、レオンも穏やかな笑みを浮かべ拍手をしてくれている。


俺が、よっしゃっ!と思わずガッツポーズをすると、投げられた試験官が困ったような表情を浮かべながら、トンッと軽く飛んで起き上がった。



「まさか負けてしまうとは……。


まんまとやられたー!くそ〜悔しいな。


でも凄く良い勉強になったよ。


まさかあんな身体強化の使い方をするとはね。


これは完敗だ、恐れ入った。」



そう言って俺の肩をポンポンと叩く試験官のお兄さんに俺は「ありがとうございました!」と頭を下げながらお礼を告げる。


これは対レオン用に考え抜いて作り出した技、その名も───【身体強化フェイント】!



人間の目はどんなにスピードが早くても、それが続けば順応してしまい、ある程度の動きの予想ができるようになってしまう。


しかし、逆にその速さに強弱をつけることで、次の動きが全く読めなくなるのだ。


それを利用したこの技は、ドノバン相手ではやはり通じなかったが……かなり好印象だったようで、こいつぁ〜クソほど戦いにくい!と大絶賛。


そのため俺は思考に思考、練習に練習を重ね、今では無意識に使いこなす事が出来るようにまでなった。


身体強化は、均等に掛けられれば掛けられるほど最強と言われている中、この型破りなやり方は俺の武器になる、それが今証明されたというわけだ。



これからさらなる精進をしなければ!



そう心に誓いながら未だ続く拍手に見送られ、俺はリングの上から降りレオン達のところへと向かった。


ちなみに肝心のレオンに対してだが、先ほどの戦いより更に何十……下手したら何百という身体強化フェイントを掛けて挑んでも一回も攻撃が当たった事はない。



せめてレオンの髪の毛1本でもかすれるようになりたいものだ……。



そう考えながらにこやかに笑うレオンの髪の毛を睨みつけていると、次の受験生の名が上げられた。



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