253 次いこう次
(リーフ)
男の欲望丸出し!な願望を聞いて、固まってしまったアゼリアちゃん達。
仕方がないので「ちょっと先に行くね〜!」とだけ伝え、顔をプレスされたまま次の試験会場まで、ご機嫌のレオンに連れて行ってもらう事に……。
後ろからテクテクついてくるモルトとニールが親指を立てて『どんまい』って言ってくるのがなんだか悲しかったが、レオンが悪者にならなければ何でもいいのだ、俺は。
「……性癖だって個性、個性。平凡な俺の大事なプロフィールぅ〜……。」
そう呟きながら、俺達は着替え専用部屋にて洋服を着替えて次の試験場へと向かった。
◇◇
これから行われる中学院の実技の入学院試験は、大きく分けて3つ。
純粋な身体能力が物を言う<剣体術>
魔法を使うためのテクニックに必要な魔力操作の能力を見る<魔力操作術>
純粋な魔法の能力を見る<魔法術>
この試験を順々に行い、その総合点と午前中の筆記試験の合計点で試験の合否を決定するというわけだ。
ちなみに、そういった戦闘系スキルなどを持たない、いわゆる商人さんなどに多い特殊な資質持ちの子達は、筆記の追加テスト、スキルによる試験、そのスキルの実用性、実技……と別枠試験が用意されているらしい。
勿論、俺もレオンも戦闘系資質なので、この<剣体術><魔力操作術><魔法術>の3つの試験を受けるわけだが、生産型資質でも魔法や攻撃スキルを持つ者はこちらの試験を受けるため、モルトとニールも同様にこれを受ける。
「要は何であれ、自分の特化している能力を審査員にアピールできればいいわけか……。」
モルトとニール、レオンと共に剣体術の試験会場へと向かいながら、よく馴染んでいる自分の服装を見下ろす。
試験時の服装は自由。
自分の能力を最大限にアピールするため、俺とレオンはいつもの動きやすい修行時の服で挑むことにした。
俺の方はラフな白シャツに焦げ茶のベスト、黒いズボンに茶色のブーツという平民さんのスタンダードな服。
対してレオンは、顔をすっぽり隠したNEW黒マントに灰色に近い白のチュニック、それに黒いズボンと焦げ茶のブーツ、そして腰辺りには太めの腰ベルトが巻かれている護衛兵士さんスタイルの洋服だ。
腰に手を当て不敵に笑いながら、チラッとモルトとニールの方を見ると、二人も馴染みのある格好をしていた。
小学院の実技の時と同じ、モルトは落ち着いた赤色のチュニックにニールは深緑のチュニック、それを腰辺りでゆるくベルトで縛り一応貴族らしく胸元にフリルがついている形の洋服を着ている。
そしてやる気満々で手をグッ!グッ!と伸ばしている二人を見た後、今度は周りへと視線を走らせた。
近くを歩いている子達も殆どが俺達と同じ様な格好をしていて、平民は俺と同じ格好、貴族はモルトとニール同様の格好をしている。
これから最初に行われる試験<剣体術>では動きやすい格好は必須なはずなので、つまり皆気合十分、やる気は満々ということだ。
ピリッとした程よい緊張感を感じながら、やる気なら負けないぞ!と拳を握った。
試験会場は学院の敷地内にある専用の【闘技場】。
そこで実戦形式で試験審査員の教員たちと5分間戦うそうだが、その戦いっぷりで点数が付けられるらしいので、別に勝つ必要はないそうだ。
「格上の相手との実戦か……。」
見えてきた闘技場らしき大きな建物を前に、悶々と厳しくなりそうな戦いをイメージする。
本気の実戦形式で行われるこの試験、激しい戦いになることは間違いないので、ここである一つの魔道具が使用される。
物語の中でも大活躍していた特殊な魔道具────あの有名な<仮想幻石>だ。
それが使用できる特殊な魔法結界が本日に限り張られているため、受験生達はピアス型の仮想幻石レベル1を付けての試験になる。
ようは間違って死んじゃっても、一度はちゃんと生き返るよ!という事。
流石はナンバーワン中学院、試験で死ぬこともあるのか……。
ゴクリと喉を鳴らしながら、とうとう到着した【闘技場】へ、俺達は足を踏み入れた。
◇◇
「おおお〜……。」
「なんと……!」
「ひ、広いっすね〜。」
俺、モルト、ニールは、同時に感動の声を漏らしながら、キョロキョロと中を見渡す。
東京ドームの形に似ている全体的に丸い感じの形をしている闘技場は、中はかなり広くて、端の方を見るには望遠鏡が必要なくらいあった。
そしてそんなアホみたいに大きな空間には、正方形の大きいリングが一定の距離で沢山並んでいる。
「う〜む……どうやらあのリングの一部を使っての試験になりそうだね。」
皆も俺と同じ事を思っているのか、もう既に到着したらしい沢山の受験生達は、とりあえずと言った様子で、部屋の中央辺りに集まっているのが見えた。
「ずいぶんたくさんの人達が受けるんだね。」
「そりゃ〜何てったってNo. 1中学院っすからね!全国の猛者達が一気に集まってくるっす〜。」
「それに他国でも一番人気の中学院ですから、多種族の者達も沢山受けにきているみたいですね。」
中々故郷ではお目にかかれない程多くの子供達、しかも多種族もいるとあっては緊張する様で、モルトとニールは周りを見回し、緊張をほぐそうと何度か深呼吸をした。
「確かに、他種族の子達も凄く多いんだね。」
それぞれの種族特有の外見をしている子達を見ては感動していると、なんとその中に、先程出会った獣人族の少年レイドと青いフードの少女を発見する。
「────あ、さっきの……。」
思わずジッと見つめていると、レイドの方はこっちにいち早く気がつき、ブンブンと手と尻尾を振ってくれたのだが……俺の後ろにいるレオンを見ると、ピャッ!!!と全身を震わせ青いフードの女の子の後ろに隠れてしまった。
「…………。」
隠しきれない大きな体を振るわせ、ふわふわ尻尾を丸めている姿は、わんちゃんそのものだ。
その縮こまった尻尾をジッと見ていると、青いフードの子はふ〜……と息を吐き出し、俺達にまたしてもペコリと礼をした後、レイドを引きずってその場を去っていった。
それをぼんやり見送りながら改めて他種族の子達の様子を伺うと、獣人族らしき受験生達はレイド同様、何となくレオンに近づかない様にしていて、ただ何故かは本人たちも分からず不思議そうな顔をしている。
「……獣人族の直感力って、本当に凄いんだな〜。」
感心しながら歩いていると、注意力散漫だったせいで、俺は前から歩いてくる誰かに突然ぶつかりそうになってしまった。
「────あっ!」
ぶつかる!と思ったが間一髪!
レオンが俺の腰を掴んで、高い高〜いしてくれたお陰で回避に成功した。
「────キャンっ!」
しかしその結果、前から歩いてきた何者かは可愛らしい悲鳴を挙げながらそのまま前に倒れてしまう。
「君!大丈夫かい?」
べちゃりと地面に倒れてしまったその子は、そのままゆっくりと上半身を起こし、ぺたんと座った状態で俺を見上げてきた。
淡い金色の掛かった髪に、サラサラふわふわの肩より少し短めのボブカット。
陶器のようなきめ細やかな肌と華奢で小さな身体に、くりくりパッチリお目々のエメラルドアイ……その姿は本当に可愛らしく、まるでこの世の可愛いを全て大集結したような少女であった。
「「────っ!!?」」
その子を見たモルトとニールの息を飲む声が後ろから聞こえ、二人揃って慌てた様子でレオンの影に隠れたのが目の端に映ったが、その絶世の美少女が俺をジッと見つめながら突然ポロポロと泣き出したため、そちらへ全意識が集中する。
「ご……ごめんなさい……。」
「えぇ!?どうして謝るんだい?怪我でもしちゃったかな?」
レオンに下に下ろしてもらい、その子の状態を確認しようとしゃがみ込んだその時────後ろからスタスタやってきた人物が、その少女の頭をスパ──ンッ!!と思い切り叩いたのだ。
「おおお???!!」
またしても驚かされ、俺はその叩いてきた子の方へ視線を向けるため上へ視線を上げると、俺の目には大きな2つの山々が見え、盛大にハテナが頭上に飛ぶ。
……??2つの山??
一瞬思考が停止したが、その山の間からヌッと顔が出現し、「大丈夫ですか?」という声がかかりその山々の正体を知った。
「………………。」
スィ〜と体を離すと、2つの山……いわゆるオッパイで邪魔されていたその人物の顔がしっかり見えたため、直ぐに頷き無事を伝える。
するとレオンの後ろから半分くらい赤い顔をコソッと出したモルトとニールも、何故か俺と一緒に頷き、その後は2つの山に目が釘付けになっていた。
新たに出現した少女は、とにかく同じ年とは思えないほどのご立派な山々を胸に持った、スーパーセクシー美少女。
腰までくらいのウェーブが掛かった茶色い髪に、切れ長でスッと通った鼻筋を持つ彼女の纏う空気感は、非常にクールだ。
格好は全体的に落ち着いた白いシャツに全体的に落ち着いた黒と紫の線が入った巻きスカートで、スリット部位からチラチラと見えるブーツを履いた足が、更にセクシーさを演出している。
ゴツくて太いベルトは魔導書を装備できる作りになっているようだったので、恐らく魔法使いか錬金系の資質持ちだと思われる。
「……ふ〜む?」
膨らんでいく予想を楽しみながら、先ほど叩かれた美少女と並んで見つめる。
何だか全く真逆の印象を相手に抱かせる子達だが……友達同士なのかな?
そう予想していると、ぺたりと座っていた少女の方が、突然身軽な動きでトンッと飛んで立ち上がる。
その動きが非常に軽やかだったので、ちょっと驚きながら俺は改めてその少女の格好にも注目した。
おヘソが見えそうな短さのピチッとしたノースリーブトップスに黒いオペラ・グローブ。
下は短パンという軽装に加え、太めのベルトにはタガーなどの小さめの武器を装備できる作りになっている。
こっちの子は恐らくスピード特化の盗賊系資質とみた!
またもや予想しながら見つめていると、その子はセクシー少女に突如怒鳴りだした。




