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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第五章

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249 流行ってます

( リーフ )


◇◇


その場所は試験会場から10分ほど離れた場所にあり、大きな大樹を中心に緑が生い茂る、公園みたいな場所であった。


そこにはいくつかテーブルと椅子が設置されており、確かにランチをとるならもってこいの場所だなと、心地よい風に吹かれながらそう思った。



「 すごく良いところだね。教えてくれてありがとう。 」



素直に感謝を伝えると、ソフィアちゃんは照れくさそうに微笑みながら、スッと大きな大樹を見上げる。



「 わたくしにとって " 大樹 " は、とても思い入れのある存在ですから、側にいるととても落ち着くんです。


この世界で人型種が存在出来ているのは【 イシュルの聖大樹 】のお陰ですから。 」



【 イシュルの聖大樹 】


それは物語の中で、英雄レオンハルトがたどり着いた終着点……そして世界の裁定が行われた場所だ。



それについての詳しい記載は特になかったため、どの様な場所で、一体何があったのかは分からない。


ただ、この世界に生まれて知った事がいくつかあって、一番驚いたのは、この【 イシュルの聖大樹 】は、世界の中心地であり、それを囲むように全ての人型種が住んでいる事だった。



その加護から外れた最外周に、人型種は住めない。



だからこそ【 イシュルの聖大樹 】は、世界中の人々にとって無くてはならない特別な場所だが、そこへ辿り着けた者は現在はいないとされている。


どうやら特別な ” 何か ” が " イシュルの聖大樹 " を中心としたある一定領域を覆っていて、誰一人入れないようになっているからだそうだ。



多分その場所に入れるのは、この世でただ一人< 英雄 レオンハルト >だけ。



これからレオンハルトに襲いかかる数々の試練を思い、やるせない気持ちでレオンの方を見ると、なんとムッとした顔でソフィアちゃんの胸を凝視している!



「 …………?! 」



俺はすぐさま、そんなレオンのフードに隠された目元を両手で覆った。


そのお陰か、ソフィアちゃんとアゼリアちゃんには何処を見ていたのかはバレていない様子で、ホッと息を吐く。



今後レオンには女の子の胸部を見ない様、ちゃんと言い聞かせないと、最悪 " おっぱいヒーロー " とか " むっつり英雄 " など、不名誉なあだ名がついてしまう可能性がある。


残念ながら、女性のおっぱいでジロジロ見ても許されるのは牛さんのおっぱいだけ!



「 ……そうそう。牛さんなら触り放題だし………しゃぶりついてもいいし…………。 」



レオンの目元を隠したままブツブツと呟いていると、他のメンバー達は四角い6人掛けテーブルを見つけ、それぞれソフィアちゃんアゼリアちゃんと並んで座り、アゼリアちゃんの隣がニール、ソフィアちゃんの隣がモルトという席順で着席した。


そして、ソフィアちゃんとアゼリアちゃんのちょうど正面にある2つの椅子は、空いている。


そこが俺とレオンが座るイスだ。


ちょこんと座ったモルトとニールは、女の子との相席という状況にデレデレと鼻を伸ばしていたが、そこにアゼリアちゃんの冷たい視線がブスリと突き刺さる。



「 本来ならば、近づくことも許されぬお方だ。……わきまえろよ? 」



殺気混じりの視線を受けた二人が、スン……と一瞬でマリオンを相手にする時と同じモードに切り替わったのを見て、俺はふ〜む…と考えた。



もしかしてアゼリアちゃんって、あのマリオンと喧嘩できるくらいだし、身分は ” 伯爵 ” なんじゃないかな〜?



そう考えながら俺はレオンの目元を覆っていた手を外し、レオンに「 俺達も座ろうか。 」と言って空いてる席に向かう。



現在俺の手元には、あの馬車の< 多次元収納庫 >と繋がっている付属の< 多次元バック >なるものがあり、なんとここから持ってきたお弁当を自由に取り出すことができる。



流石は高級馬車、こういう痒ういところまで手が届く仕様なのは本当に素晴らしい。



感動しながら< 多次元バック >を眺めていると、空いてる椅子にまずはレオンが座った。


そして俺は何のお弁当にしようかな〜と考えながら、続いて先に座ったレオンの上にストンと座る。



やっぱりココは大抵の子供は大好き、チーズ・イン・ハンバーグ弁当にしよう!



迷いに迷ったが、それに決めてそこから人数分のお弁当を取り出し机の上に置いた。



「 良かったら二人共食べてね〜! 」



そしてソフィアちゃんとアゼリアちゃんの前までお弁当を押して移動し、目の前へ置いてあげる。


そしてモルトとニールにも同様に渡し、三人揃って「「「 頂きま〜す 」」」と元気よく言った後、パカッ!とお弁当の蓋を開けた。



するとまず目に飛び込んでくるのは、トロトロチーズがこれでもかと上に乗っかっているスーパービックハンバーグ。


そんなインパクトが大な主役の横には、ポテトサラダとカリカリ野菜チップス、そしてスタンダード丸パンが2つ入っている。



美味しそ〜!



最高に美味しそうな料理たちがズラリと大集合したこのアントン特性お弁当は、まさしく最上級のお弁当であると自信をもって断言できる!!



俺は早速ハンバーグにフォークを入れ、その飛び出る肉汁を逃すまい!とハンバーグに齧り付くと、口の中でジュワッと溢れる肉汁!そして何かの香辛料のピリッとした刺激が同時に舌を刺激する。



お、美味しすぎる〜……!



モルト、ニールも同時にその旨味にやられたらしく、ジーンと感動するように目を閉じその旨味を噛み締めているようだ。


俺は後ろにいるレオンにもその感動を味わって欲しくて、直ぐにその口にハンバーグをひょいひょいといれてあげると、レオンは上機嫌でそれを食べる。



やっぱりアントンの料理に勝るものなし!



パクパク、サッサッと自分の口、レオンの口、と交互にお弁当を食べ勧めていると、目の前に座るソフィアちゃんとアゼリアちゃんが、全くお弁当に手を付けていないことに気がついた。


同時にモルトとニールもそれに気がついたようで、モルトが二人に対し「 いかがされました? 」と声を掛けたが、聞こえていない様子で微動だにしない。



「「 ???? 」」



モルトと二人で首を傾げていると、ニールがサッと俺の耳元に顔を近づけ「 女の子にはパスタだったのかもしれません。 」と教えてくれた。



────なるほど!



的を得た意見に納得し、新たなお弁当を出すため多次元バックに手を入れた、その時────アゼリアちゃんが意を決した様子で口を開く。



「 あの……実は私は世間の流行に対しだいぶ疎い方でして、ぜひご教授頂きたいのですが……。


そのお食事方法は……その……流行ってらっしゃるのでしょうか? 」



その瞬間、レオンを除く俺、モルト、ニールの3人の目はカッ!!大きく開き、ピタリと動きを止めた。



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