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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第五章

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248 仲良しかい?

( リーフ )


「 なっ、なんでお前がここにいる!?


ここは受験生しか入れないはずだぞっ!!


────……はっ!!!リーフ様!!まさかこいつも試験を!? 」



いつもどおりの完全無視を貫いているレオンを、ビシッと指差すマリオン。


もの凄い剣幕でそう言ってきたので、俺はそれに圧倒されながらもコクコクと素直に頷いた。



「 えっ?……うん、うん。そうそう。 」



とりあえずその通りだと答えると、マリオンは目元を手で覆い、天を向く。


そして突如、カッ!!!と目を見開き、俺に向かって大声でまくし立ててきた。



「 リーフ様っ!!!こんな奴隷如きを中学院に通わせるなど正気ですかっ!?


奴隷が、奴隷が、奴隷がっ……!!!中学院に通うなど前代未聞の大事件ですよ!?


────……やはり以前から怪しいと思っていたが、今、分かったぞ!


貴様、リーフ様を洗脳系スキルかなんかで操っているのだろう!!


そうに決まっている!! 」



わーわー!ニャンニャンにゃにゃーん!


いつもどおり噛みつき出したマリオンに、今度は俺が目元を覆う。



マリオンは、ぶっちぎりトップのレオンが本当にほんと〜に気に食わない。


こうして状況だけ考えれば、ここもライバル関係と言えるわけなのだが……如何せん、レオンの完全無視っぷりと、そのあまりの実力差により、子猫がライオン相手に猫パンチを繰り出しているようにしか見えない。



とりあえず、ギャーギャーニャンニャンと激しくじゃれつくマリオンを、レオンからそろそろ引き離そうかと、子猫の首元を掴み持ち上げる映像が頭に浮かんだ、その時……。



「 貴様の事は以前より気に食わんが、その事に関してだけは同感だ。 」



静かな怒気を込めアゼリアちゃんが、ザッザッとこちらに近づいてくる。


マリオンはそんな彼女に気づくと、チィィッ!!!と物凄い大きな舌打ちをした。



────えっ?マリオン、今舌打ちした??


も、もしかして知り合い?



とりあえず状況がわからないので黙っていると、マリオンはスッ……とお澄ましさん顔に変わり軽く微笑む。



「 やぁ、久しぶりだなアゼリア。


今まで俺の気分は絶好調だったのだが────……。


こいつとっ!!!


君のっ!!


……出現によって、たった今、台無しになったところだよ。


ハハハッ。 」



マリオンは、レオンとアゼリアちゃんに殺気ムンムンの視線を向けながら、交互に指を指した後、同じく近づいてくるソフィアちゃんへ視線を移す。



「 これはこれは、ソフィア様。


ご挨拶が遅れて申し訳ございません。


私はマリオン・オブ・スタンティン、爵位は ” 伯爵 ” でございます。


以後お見知りおきを……。 」



その直前の様子が夢幻の様に、ソフィアちゃんには非常に丁寧な挨拶をした。


するとそんなマリオンに対し、今度はアゼリアちゃんがおすまし顔になって、先程のマリオンそっくりの笑みを浮かべる。



「 ははは。本当に今日の貴様とは気が合うな!


私もたった今────……。


こいつとっ!!!


貴様のっ!!


……せいで、気分が絶不調となったところだ。


相変わらずナヨナヨと、スライムの様な男だな、貴様は。 」



アゼリアちゃんが先ほどのマリオンと全く同じ視線、行動を見せると、二人はバチバチと睨み合う。


そして突然始まった< 子猫 > VS < チワワ >のガチンコ嫌味バトル。


子猫はチワワに猫パンチを繰り出し、チワワはわんわんキックをお返し────と、激しい嫌味バトルが始まってしまい、蚊帳の外の俺とソフィアちゃんはどうしたもんかと、とりあえず黙って見守る。


しかしそんな白熱する戦いの中、絶対王者のライオンレオンは完全無視で突然俺に話しかけてきた。



「 リーフ様、どちらでランチを召し上がりますか? 」



こんな険悪な雰囲気の中、ものすご〜くマイペースに聞いてくるもんだから、二人は恐ろしい程の殺気を放ちながら同時にレオンを指差す。



「「 貴様が一番気に入らないんだ────!!!!」」



そして見事にハモりながらレオンに向かって怒鳴り散らした。



完全無視をしているライオンに果敢にも攻撃を繰り出してくる子猫とチワワ……。


俺はこの短い間に、この動物園のような人間関係を完全に理解した。


「 …………。 」


「 …………。 」


まだまだ続くモフモフ達のじゃれ合いに、俺とソフィアちゃんはお互い目を合わせニコッと笑う。


そして即座に、俺はマリオンを後ろから羽交い締めにし、ソフィアちゃんはアゼリアちゃんの口を後ろから塞ぐ。



「 ────〜〜っ!!!??? 」


「 〜っ!!〜っ!!??? 」



動きを封じられた二人は、予想外の事態に固まり、じゃれ合いはこれにて終了。


そしてもう大丈夫かな〜?と開放してあげたマリオンは、真っ赤な顔をしながら遠くで待機していたお友達さんのところへ行ってしまった。


それをニッコリとしながら見送った後は、「「 終わりました〜? 」」とのんびりした様子のモルト、ニールがこちらへとやってくる。



どうやら教室を覗いた瞬間、マリオンとレオンがいることに気づき、マリオンの周りを囲む友達さん達となんとも言えない気まずい雰囲気を漂わせながら、一緒に離れたところで待機していたらしい。


そして、やってきたマリオンにギロリっと睨みつけられ、いつもの営業ニッコリスマイルをしながら、こちらに来たのだそうだ。



「 なんだかんだと、マリオンとの腐れ縁は続きそうだね。


また学生生活が刺激的になりそうだ。 」



今までの強烈な思い出を振り返ってハハッ!と笑うと、モルトとニールはムンクのような顔で " 嫌! " を表現してくる。



「 ほらほら、女の子との出会い出会い〜。 」



テンションがガタガタに落ちてしまった二人にヒソヒソ耳打ちすると、面白いくらいにゴッ!と燃え上がった。


そしてそんな二人を見て俺も同様に燃え上がる。



午後は実技の試験!


中学院NO・1【 ライトノア学院 】の本領発揮はこれからだ!



そのまま三人で噴火する様に燃えていると、ソフィアちゃんがアゼリアちゃんの口元から手を離して、俺達に向かって話しかけてきた。



「 あの……実はわたくし、この学院には何度か訪問した事がありまして、お勧めの場所があるんです。


よろしかったら、ランチをご一緒しませんか? 」


「 是非お願いしま〜す! 」



片手をあげて返事を返すと、モルトとニールが女の子との初・相席!!と土下座しようとしたので、俺はそれを阻止。


そして両脇に二人をセットし持ち上げると、そのまま案内をし始めたソフィアちゃんについていった。


ムッとしながらソフィアちゃんをチラチラ見るレオンと、そんなレオンを殺気を込めて睨みつけるアゼリアちゃんと共に……。


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