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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第五章

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236 えっ?……早くない??

( リーフ )


な、なんてこった!!


まさかこんなに早くメインヒロインと出会うことになるとはっ……!!



俺はこの衝撃的な出会いに、ただただ彼女をぼんやりと見つめ続けた。



馬車から出てきただけなのに、圧倒的な存在感!


やはり本物のお姫様はちがうな〜と思うと同時に、こんなめちゃくちゃ可愛い女の子にいたせり尽くせりされるとは……うちの子凄くない?という誇れる気持ちが、ニョキニョキと顔を出す。


流石は俺の永遠のヒーロー!英雄のレオ〜ン!!


ニヤッ!と笑った俺を見て、レオンの機嫌は反対に急降下した。


多分ソフィアちゃんに気を取られている様子が、セクハラ認定された様だ。


ヒョイッと持ち上げられた俺は、そのままその硬いお胸に顔を叩きつけられアナコンダホールドされてしまう。


そして極めつけはムギュンムギュンとその岩のような胸に顔を擦られる " 顔面おろし " でフィニッシュ。



痛い痛い、もうそれしか感想が出ないほど、本当に痛い。



「 ────っ!!モガっ!……モガガガ〜! 」



俺は必死にそれから逃れようともがき続けたが、レオンの制裁は全く緩まない。


更に、ひぃひぃ……と必死にもがく俺を気遣うように、ソフィアちゃんは恐る恐る話しかけてきた。



「 あ……あの……この度は危ないところを助けて頂きありがとうございました。


わたくしはアルバード王国第一王女< ソフィア・ランジェ・アルバード >と申します。


そして彼らはイシュル神に忠誠を誓いし【 聖兵士 】の皆様です。


先ほどは失礼な発言と態度をとってしまい申し訳ありませんでした。


彼らに代わってわたくしが謝罪を……。 」



「 ────なっ!!なりません!!ソフィア様!!


この様な何処の馬の骨かも分からぬ輩に謝罪するなど……!! 」



焦った様に叫ぶクールビューティー少女の声によって、ソフィアちゃんの言葉が途中で掻き消されてしまったが、とりあえず兵士の皆様はイシュル教会が独自に持っている戦力────。



【 聖兵士 】



────の皆様だということが分かった。



彼らはアルバード王国の為に動くことはなく、” 聖女 ” と神官達のトップである ” 大司教 ” 様に従って、身分や実力に関係なく、人々の平和とイシュル神の為に戦う誓いを立てた兵士さん達だ。


いわば国が持つ戦力とは別の独立している戦力であるため、もしイシュル教会が、この国から何かしらの攻撃を受けた場合、この【 聖兵士 】さん達が一斉に国に対して、攻撃を開始する。



国の戦力と同等くらいの戦力をもつ ” 力 ” 。


ましてや彼らのイシュル教会への忠誠心は凄まじく、流石のエドワードもおいそれと手が出せない。


つまりは────。



圧倒的数と権力を誇る【 第一騎士団 】


実力の高き者たちが数多く在籍している【 第二騎士団 】


そして全世界に影響力のあるイシュル教会専属の【 聖兵士団 】



主にこの3つの戦力によって、この国のパワーバランスが保たれている、というわけだ。



噂に聞く【 聖兵士団 】!


是非ともお話を……!



そう思っているのだが、クールビューティー少女が言った ” 馬の骨 ” にレオンは反応したのか、締め付けは悪化した。



「 ────〜っ!??! 」



苦しみもがいている間に、クールビューティー少女はソフィアちゃんに向かって続けて言った。



「 そもそも助けなど必要なかったのに、勝手に部下が緊急伝煙をあげてしまったのです。


ですのでソフィア様が感謝を述べる必要は……。 」


「 アゼリア、いけません。 」



ソフィアちゃんは、クールビューティー少女の言葉をピシャリと諌めた。



「 この方達に助けていただいたのは変えようのない事実……アゼリア、あなたの実力を一番良く知っているのはわたくしです。


でもどんなに強くとも怪我をすることはあります。


ここにいる誰が怪我をしても、わたくしは悲しいのです。


ですので、それを阻止して下さったこの方達には感謝をしましょう。 」


「 ────っ!!! 」



クールビューティー少女、アゼリアちゃんは、その言葉にクッと悔しそうな顔をしながらも、俺たちに向かい頭を深々と下げる。



「 申し訳ありませんでした────!!


この度は助けて頂きありがとうございました!! 」



クールビューティー少女が叫ぶと、それを合図に周りの兵士さん達も次々と頭を下げて叫んだ。



「「「 ありがとうございましたーー!!」」」



" いえいえ〜良いんですよ!俺、のっぽおじさんなんで! ”



そう返したいのだが、やはり口から出るのはうめき声だけ。



────ミチミチミチ〜!



締め上げられていく痛みに耐えながら、ジ〜ン……と感動に胸を震わせる。



流石は正統派ヒロイン、ソフィアちゃん。


すごくいい子!俺は感動した!



前世にてレオンハルトの次に応援していた、頑張るヒロインを前に、感動は次から次へと溢れ出す。



シャツにサインしてくれないかな〜。


ここはアルバード英雄記のファンとして見過ごせないチャンスだぞ!


そんな激推し、レオンのお嫁さん候補ナンバーワン!……なソフィアちゃんに、ここは絶対に悪い印象を与えるわけにはいかない。



……だから辞めない?


俺を締め上げてるこの状況本当に辞めない??


絶対印象悪くなるからさ!



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