226 これは……アレだね!
☆ シモネタ・ちょっと背後注意ですm(_ _;)m
( リーフ )
ぶもぉぉぉ────────!!!!
何やら牛さんらしき動物の物騒な声で、ぼんやり意識が覚醒し始めると、物凄く馴染んだ感触を体に感じて意識は一気に現実に押し出される。
「 ……?むにゃ?? 」
昨夜はフカフカのベッドの中で寝ていたはずが、もはやご愛嬌とばかりの、ゴツっとした硬い感触の中。
とうとう迎えたライトノア学院の受験当日の朝、俺はレオンにガッチリ拘束された状態で目を覚ました。
頭の中で浮かぶのは、巨大アナコンダに巻き付かれ丸呑みされる寸前の人間のイメージ!
それにゾッとしながら、何とか脱出しようと軽く身体を動かそうとしてもびくともしない。
「 う、うう〜ん……。 」
少々困りながらチラッとレオンを見上げると、まるで赤ちゃんのようにぐっすり眠っているお顔が見えた。
おやおや、寝ている時の英雄様は本当に可愛いでちゅね〜。
その微笑ましさに、おじさんはニッコリ。
これでは無理に起こすのも可哀想だと思ったので、レオンが目覚めるまで待とうと思った、その時────……。
下の方にゴリッとした感触を感じ、笑顔のままビシッと固まった。
レオンのお象様がおっきしている……。
それはそれはご立派で、全然可愛くないお姿で。
焦りを必死に抑えながら、俺は物語の中のレオンハルトの事を思い出す。
レオンハルトは悪役リーフによって街中で " 裸になって呪われた身体を晒せぇぇ〜 ! " などなどの性的いじめをされ、EDになってしまった。
そしてそれは、最後まで改善する事なく物語は終了。
俺ほどのおじさんになれば大した事でなくても、思春期真っ只中の年齢では、特に細心の注意が必要で……まぁ、つまり結局何が言いたいかというと────。
今が、その細心の注意が必要な時だということ。
笑顔はスッ……と消え失せ、真剣な表情へ。
これはレオンの将来を分ける、大事な大事な分岐点の一つ!
ここで選択肢を間違えれば、多分レオンのお象さんの未来はお先真っ暗……永遠の闇に閉ざされてしまうに違いない。
あまりにも責任重大な状況に出くわしてしまい、頭の中で盛大に頭を抱えてしまった。
あ〜コレ絶対「 強制力 」だ〜。
リーフによってEDになる< 運命 >ってやつだ〜。
理不尽な運命ってやつに対して不満をブツブツ漏らしながら、頭をフル回転してこの状況を切り抜ける最もBESTな道を考える。
そして出た答えは、” 気づかないフリをしてあげる事 ” 。
────だったのだが……こんなアナコンダもびっくりなボールドをされていては、脱出は非常に困難、いや不可能だ。
ど、どうしよう……。
途方に暮れていると、突然もう一つの事実に気がついた。
────なんか濡れてる気がする……。
ジワッと何かの液体で下が染みている感触があり、その位置的にも恐らくは間違いないと、俺は真剣な顔を引っ込め菩薩の様な顔で微笑む。
あ〜……コレ、あれだ。
いわゆる ” 夢精 ” ってやつ。
大人の階段登っちゃったやつ〜。
────パパパ〜ンッ♬
とりあえず心の中で ” おめでと〜 ” とクラッカーを鳴らして喜んだ。
なんてったって、愛することが出来なかったレオンハルトの事を思えば、この出来事は涙が出るほどおめでたい出来事だ。
赤飯モリモリ炊いちゃうぞ〜!
………この状況でなければ。
また問題が振り出しに戻って、サァァァ〜……と顔から血の気が引いていく。
何てったって、下ネタで錯乱レベルのレオンのこと、今この状況で目覚めたらショックで死んじゃうかもしれない。
そんな恐ろしい想像をしながら、なぜ、今???と理由を考えた時、浮かびあがるのは昨日のダンス大会だ。
ほぼ裸と言ってもいいような若いお嬢さん達のプリンプリンボディー、それをこれでもかと振りながらの魅力的なダンスの数々……。
確実にアレだ!絶対そうだ!!
「 あぁ〜……。 」と唸りながら、頭の中ではバターン!と倒れ込む。
いかに健全の部とはいえ、その境界線が曖昧であったダンス大会は、俺から見ればお腹の冷えが気になる程度でも、成人前の少年にとってはちょっと刺激が強すぎた様だ。
俺は断然< 美熟女キッス大会 >のほうが……!
そんなけしからん妄想に花が咲きそうになり、慌てて頭をフルフルと振って煩悩を吹き飛ばした。
そんな事を考えている暇はない。
とにかくこの状況を打破せねば!
改めてゴリゴリと主張してくるお象様に神経を集中させると、その大きさと強度に結構ビビる。
かつては俺もこんなだった……と思いたい。
はるか昔すぎて覚えてないけど……。
すっかりすっぽぬけてしまった記憶に悲しみを感じながら、とりあえず少しづつ動いて少しでもレオンとの距離を空けよう、と行動を開始した。
よいしょ……うんしょ……どっこいしょ〜!
身体を細かく動かして、なんとかその拘束を緩めようと試みる。
しかし、レオンの拘束は一切緩むことはなく、無駄にモソモソと動くだけ……という残念な結果になってしまった。
もう駄目かも……。
絶望が目の前に広がったその時────お腹あたりにくっついているお象様が、ビクリと動いて大きくなったのを感じ、俺は直ぐに動きを止める。
「 …………。 」
息も同時に止めた事で、更にそれがビクビクと動く様をしっかりと確認できてしまい、思わずヒュッ!!と息を飲んだ。
ど、どうしよう……。
俺の頭の中では象さんがお水を鼻で吸い込みバシャ〜!と水を撒き散らす映像が、ブワッと広がる。
そのせいでアタフタとパニックになっていると、レオンの長くしっかりしたまつ毛がピクリと動き、そのままうっすらと目を開けた。
バチッ!と目が合い、もう駄目だ!と青ざめる俺に、レオンはぼんやりとした顔のまま、まるで幸せで幸せで仕方ないと言わんばかりの笑みを見せる。
おおお??
思わずキョトンとしてしまうと、レオンはかまうことなくグイッとお象さんを俺の体に強く押し付けてきた。
えっ??何?何??
驚きに固まる俺のお腹に、レオンはそれをクイクイと擦り付けてきて、体をこれでもかとくっつけてくる。
そのせいでレオンのお象様はビクビクと震え、更に控えめなグチっグチっという水音まで聞こえ始めたため、俺の思考は真っ白に。
しかし直ぐに、はっ!正気を取り戻し、再度脱出を試みたが────先ほどより拘束は強くなっていて一切動けない!!
どうする!?どうする?!
今まで全く経験がない修羅場にどうすればいいのか分からず、何故か走馬灯のように自身の人生の軌跡が流れ始めた頃────……。
「 …………っ……!! 」
何かに耐える様な吐息を吐き出すのと同時に、目をキュッと閉じたレオンが、更に強く俺の体を締め付けてきた後、下からジワッ……と温かい何かが滲み出してきたのを感じた。




