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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第五章

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219 あれを着るのか……

( レオン )



確かにリーフ様が遊ぶには、周りがうるさ過ぎる。



俺はリーフ様にコクリと頷き返事を返した後、視線を正面に戻すと────そこには全身を紫色に染め上げた男の姿があった。



「 ????? 」



まるで山ベリーでも被ったかのような姿に多少驚きはしたものの、リーフ様のご命令を叶える事が最優先……と、直ぐにその存在を頭から追い出す。



「 死ねぇぇぇ!!!このイカサマ野郎っ────!! 」



雄叫びを上げながらスローモーションで襲ってくる男達。


その心音に注意しながら、慎重に空気を指で弾き全員気絶させた。



" リーフ様は無用な死に心を痛める。だから殺しては駄目。 "



これは大前提のルール。



そのため最大限に力を緩めながらなんとか気絶に留め、すぐにリーフ様のところに飛ぶと、後はひたすらリーフ様が遊び終わるのを待つ。



” リーフ様が楽しんでいる時に手は出さない。 ”



これも大事なルールの1つ。



以前紫のもじゃもじゃとの実地訓練時、リーフ様に群がるモンスターをことごとく倒していったら、頭を抱えたリーフ様にこう言われてしまった。



” レオンが全部倒しちゃったら、俺の修行にならないんだよ。


ほら、ゲームも見ているだけじゃつまらないだろう?


俺、難しくてもなんでも自分でやりたいんだ。 ”



その言葉を聞いて俺は全てを理解する。



” リーフ様はゲームが好き。 ”


” ゲームは自分でやりたい。 ”


” 難しいゲームも楽しい。 ”



つまり、戦闘時は自分で戦いたいと、そういうことらしい。



だから俺は手を出さずに楽しそうに戦う彼を見守る、これが俺のすべきことだ。


改めてそれを自身に言い聞かせ満足そうに頷いた、その時────……。



「 クピャァァァァ────!!!! 」



非常に騒がしい声と共に、あのヒヨコもどきがしゃしゃり出てきたため、ムッ!とした。



邪魔な黄色い奴が来た……。



俺は舌打ちをしながらレイピアに手を掛けたが、予想に反してリーフ様の目は好奇心に輝いているため、それをなんとか収める。


すると、そのヒヨコもどきは首を振り、その後また何処かへ飛んでいってしまった。



「 …………。 」



うっとおしさに思わず舌打ちすると、更にそれに追い打ちを掛けるように、あれよあれよとうるさい冒険者連中共まで現れリーフ様に群がってくる。



「 皆さん、無事で良かったです!


実は指名手配中の盗賊達がかなりの数潜伏していたみたいで……。


どうやらボスの毒使いの男が、認識阻害を起こさせる特殊な毒を撒いていたようですね。


しかし、まさか堂々と大会に出場していたとは思いませんでした。


────で、えっーと……それで、これは一体何があったんですか?? 」



まるで光に群がる虫の如し……。



モヤモヤはさらに加速したが、とりあえず様子を伺っていると、リーフ様がバックから突如あの紐のようなものを取り出し広げて見せた。



「 俺、< ダンス大会 >で優勝しちゃったんだー!


これ、優勝賞品! 」



そこで俺は、改めてその紐もどきをジッと見た。


下着にしてはその役目を果たしていないのでは?と疑うほど少ない布面積、ヒラヒラとその横についている透けてるフリル達……。



リーフ様はこれが欲しかったから大会に出た。


つまり、これから着たい、着る予定があると……そういう事だ。



「 …………! 」



一瞬でそれを着たリーフ様が頭の中に浮かぶと、ドキドキと心臓が荒ぶり始めた。



そ、そんな裸同然の格好を、公衆の面前でさせるわけには……!!



途端に嫌な気持ちも湧き上がったが、それはある一つの名案を思いついたせいで突然ピタリと止まる。



二人の時なら別に問題ないのではないか?


朝の体操の時とか、修行の時とか……。



「 …………。 」



名案中の名案に、キラリと目を輝かせ大きく頷いた。



そもそも俺は、リーフ様の裸なら割としょっちゅう見ている。


なぜなら森での特訓時、リーフ様は川さえ見つければ即座に全裸になって泳ぎ始めるからだ。


そしてだいたい魚を取ってきては、そのまま全裸で焼いて食べているし、その際はあぐらまでかくものだから何処も隠れていない。


その全てが丸見えだ。



なんだか見てはいけない神聖なものを見てしまった気分になるため、ドキドキしながらできるだけ見ないよう務めているが、その際これを着たらどうだろうか……?



裸よりは多少マシになるはず。


お尻は丸出しだが……。



「 …………? 」



しかし、その姿を想像すると何故か裸より見てはいけないものを見てしまった感が凄くあり、なんとも漠然としたモヤモヤ感に苛まれる。


そんな荒れ狂う正体不明の心を抱えたまま、チラッチラッとその紐の下着に視線を送っていると、リーフ様はそれをうるさい連中の一人に渡した。



「 あげるよー。 」



そうきっぱり言い放った、間違いなく。



「 !!!? 」



その瞬間、それを着たリーフ様の映像はフッと煙の様に消えてしまい、俺の思考は停止した。


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