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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第五章(ウォッカ編、試験前日、冒険者との出会いとレオンの成長と勘違いと)

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190 レオンの出たい大会

(リーフ)


「モルトもニールも出たい大会決まったみたいだね。レオンは何か興味があるのあった?」


レオンはいつもと変わらず無表情で、全く興味に刺さっているものはなさそう。

しかし一応……と思って尋ねてみたが、やはり返ってくるのは「リーフ様の望むものなら……。」というお決まりのセリフだ。


やっぱり予想を裏切らない無気力な回答を返してきた……。

遠くで目の前の宝物に夢中!なモルトとニールへ視線を向けて、その違いに嘆く。


「そ、そう……。じゃあ、俺がレオンが得意そうな大会を選んであげるよ。何にしようかな〜?」


そう言いながら<睨めっこ大会>と書かれたプレートを指さそうとした、その時────レオンの足が突如ピタリと止まった。


────お??


俺はその変化に驚きながら、直ぐにレオンの隣に移動し視線の先にあるモノを追う。

するとそこには『力のベルト』と書かれたやたら派手な……例えるならチャンピオンベルトのような形をしている黒いベルトが飾られていた。

よく見ると、中心には魔法陣が描かれた丸い銀のプレートがついている。


「こ、これは────まさか……!」


俺はそれが飾られたガラスケースにベッタリと顔をつけ、飾られている商品をまじまじと見た。


やっぱり間違いない。

魔法付与が施された魔道具だ!


キラっ!と目を輝かせ、舐める様にその魔法陣を睨みつける。


通常、魔法が付与された装備は、普通の装備より物凄く高い。

しかもどうやらこのベルトに付与されているのは『自身の攻撃力が上がる』という強化魔法の様で、戦闘職の人達にとっては喉から手が出るほど欲しい効果つき……かなり値がはるお宝商品とみた!


ジロジロ〜!と更によ〜くその商品を見ていると、それを証明するように、その商品の上には『本日の目玉商品!!』と書かれたプレートが付いている。

そして下の方には、子猫ほどの大きさの砂ネズミの縫いぐるみが置いてあり、可愛らしい白いドレスを着た格好で何かが書かれている立て札を持っていた。


「え〜と、なになに?『きゃー素敵〜!君も今日から女の子にモテモテ!』────か……。

商品のPR的な感じで置かれているっぽいな。」


立て札の文字を確認してからレオンへ視線を戻すと、その視線はどうやらそのPR文へ向いている事に気づき、俺は意地悪く笑う。


はは〜ん?

俺、分かっちゃったぞ〜?


思わず笑いが漏れそうになり、慌てて口元を両手で隠した。


まずはこのチャンピオンもどきベルト。

男の子なら一度はやったであろうヒーローごっこ────の変身ベルトだね、あれは!


大きく頷きながら頭に浮かぶのは、子供の頃に流行ったバッタに似ているヒーローの姿と、それに憧れマネして遊ぶ子供時代の思い出だ。


『変身!!』

そう叫びながらあの真ん中の丸いお皿みたいなやつに手を触れると、ギュルギュル〜!!と勢いよくそれが回ってヒーローに変身できるやつ。


ま、俺は通行人の役しかした事ないけど〜!


ハハッ!と笑って、悲しみを吹き飛ばしておいた。


そして極めつけはコレ。

『女の子にモテモテ』、『素敵』、言われたら嬉しい、よってレオンも嬉しい、多分。

つまりこのガラスケースの中は、男の子の『かっこいい』が全て詰まっている夢の箱というわけだ。


ひたすらその商品を凝視しているレオンをもう一度チラッと見上げ、ホッコリ笑みを浮かべた。


何と言ってもレオンは、結婚式にやたら過剰反応していたことから、恋愛についての興味を持ち始めている様子。

もしかして街に連れ出した事で、何か思うところがあったのかもしれない。


『おじさん』が好き。

結婚いいなぁ……。

女の子に素敵っていわれたい!

かっこよくなりたい!!


────いいね、いいね!

その第一歩になるのがこの変身ベルトなら、俺はいくらでも付き合おう!

そう誓った。


ただし!今度は救出される通行人ではなく、ヒーローに立ちふさがる悪役のボスとしてだ!

例えごっこ遊びでも、俺はヒーローレオンを容赦なく追い詰める!


『こんにゃろこんにゃろ!』


妄想の中のヒーローレオンを突きながら、通行人、および人質役はモルトとニールにやってもらおうと考えた。

後はカルパスに悪の知将役〜イザベルに悪の大将役〜……などと、正義のヒーローごっこ計画に花を咲かせていると……。


「……これ、全部貰えるんですか?」


レオンが突然ボソッと呟き、チャンピオンベルトの下にある砂ネズミを指さす。


「うん!貰えるよ。」


変身ベルト!


しっかり返事を返すと、レオンは「これに出たいです。」と強い光を宿した目で言い切った。


レオンが自分の意思を出す。

今日は赤飯だ!(ないけど。)


俺が両手で大きな丸を描くと、レオンは嬉しそうにしながら、ひたすら砂ネズミをじっと見つめ始めた。


────あれ?でも、何の大会なんだろう?


うっかりそれを見てなかった事に気づき、直ぐに俺もその下の方に注目すると、白いドレスを着た砂ネズミの足元には────<腕相撲大会>と書かれた白いプレートが置いてあった。


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