188 ポッポ鳥の習性
(リーフ)
「「「「馬車に乗ってしまって申し訳ありませんでした。」」」」
突然の4人揃っての謝罪を聞きながら話の続きも聞くと、どうやら4人は気絶する前後の事を覚えていないらしく、気がついたらキランキランの馬車の中にいたそうだ。
そして慌てて叫び声を上げ、それに気づいたモルトとニールがとりあえず馬車を止めたらしい。
このまま下手な事を言うのはやめよう……。
密かに決意しながら、俺とレオンはポッポ鳥から降りて、「乗せてくれてありがとう。」とポッポ鳥にお礼を告げた。
「クッペッ!」
すると、まるで『いいってことよ!』と言わんばかりにと鳴くポッポ鳥を見て、ジンさん達は顔を見合わせる。
「あの凶暴なポッポ鳥がそんなに懐くなんて、一体何があったんですか??──いえ、それより、今空を飛んできませんでした?」
シュリさんが驚きながら空を指差したので、俺はその理由を話した。
「それが急にポッポ鳥が木に登って飛んだんだよ。凄いスピードで駆け上がって行って、そのまま空にポーンって……。」
不思議そうに首を傾げるシュリさんに、その時の詳しい状況を説明すると、ジンさんとレイラさん、シュリさんは一斉にヘリオさんの方に視線を向ける。
するとヘリオさんはゴホンッと一度咳払いをし、無口な人というイメージを払拭するようにペラペラと話し出した。
「ポッポ鳥は群れで行動し、その群れの中で最も強い個体がボスとしてその群れを治めます。
そしてボスが気に入った雌が現れた時、群れの他の雄達は競う様に高いところから空を飛び、その雌に力を見せつけるんです。
つまりは────『こんなに凄いジャンプができる自分達、そんな俺達を従えるボスは凄いんだぞ!是非お嫁さんになってあげてねっ!』というアピールですね。
ポッポ鳥はスピードに関して最速と言われてますが、忠誠心や仲間意識に関してもモンスター内で一番と言われています。
だからもしかして近くにこの子たちのボスか、ボス候補がいたのかもしれませんね。
いずれにせよすごく貴重な体験ですよ。」
おぉ〜!!とヘリオさんの詳しい説明に一同拍手する。
要はあれだ、好きな女の子がいるけど恥ずかしくて話しかけれない男友達のため、その周囲の仲間達が────『こいつスゲー良いやつでさ〜!』とかわりにアピールするやつか。
春は出会いの季節……もしかして、道中このポッポ鳥のボスさんが婚活中だったのかもしれない。
ふむふむと頷きながら、レオンになぜか高速のメトロノームの様に頭を垂れているあの凶暴なポッポ鳥に『邪魔してごめ〜ん』と心の中で謝っておいた。
それから予定通り俺とレオン、モルト、ニールは馬車に。
冒険者の四人は来た時同様、ポッポ鳥に乗っていこうとしたのだが、あの凶暴なポッポ鳥が盛大にゴネた。
ジンさんを決して乗せるものかとゴネにゴネ、どうしようかと一同頭を抱えてしまった、その時────……。
「早くしろ。」
レオンの心底面倒くさそうな一言が炸裂。
それにガガ──ンッ!とショックを受けたらしい凶暴なポッポ鳥は、湿度が高そうな恨みがましい目をジンさんに向けながらも、渋々ジンさんを乗せてくれることになった。
それからは大きなトラブル無く進行していったが、途中一度だけEランクモンスター<大岩ブタ>が馬車を遮る様に出現し、ジンさん達が即座に動く。
「全員配置につけ!」
「「「了解!」」」
ジンさんの合図により、全員速やかに動いてポッポ鳥から降りると、それぞれの配置についた。
ジンさんが最前線で、レイラさんが中衛。
そしてヘリオさんとシュリさんが後衛のバランス型の配置の様だ。
「いつも通りの作戦で行くぞ!シュリ、頼む!」
「了解。」
ジンさんが真っ先に前衛に立ち敵を引き付け始め、その隙にシュリさんがダメージ軽減スキルを味方全体に掛ける。
そしてその直後レイラさんは直ぐにトラップでデバフ付与し、ヘリオさんが風魔法を打ってHPをごっそり削り取ると、瀕死になった大岩ブタにジンさんが高威力スキルを打ち込み止めをさした。
< 大岩ブタ >
体長5mほどのブタ型Eランクモンスター。
硬い表皮に覆われ、物理系攻撃耐性(小)を持ち、雷属性の魔法に関して高い耐性を持っている。
突進攻撃はかなり強力だが真っ直ぐにしか進めないため回避はしやすい。
「「「おぉ〜!」」」
その無駄のない一連の動きに、モルト、ニールと共に感動していたら、レオンが無言でレイピアに手をかけ馬車の外に出ようとしたので、直ぐ様レオンの口にニールママ特性チーズ揚げボールを連続して放り込みそれを阻止する。
すると、そのまま上機嫌となったレオンにほっとしながら、ひたすら目的地【ウォッカ】を目指した。




