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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第五章(ウォッカ編、試験前日、冒険者との出会いとレオンの成長と勘違いと)

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190/881

180 初めまして


(リーフ)


◇◇◇

「グギャッ!!!」


カエルの断末魔のような鳴き声と、プンッと鼻につく悪臭に、俺の意識はゆっくりと浮上していく。


「…………?」


まだハッキリしない意識のまま、ソロ……と目を開けると、目の前にはレオンの顔があった。


あれ?さっきまでは、救助される溺れた人スタイルだったのに……?


対面式で抱きしめられている事に驚きながらも、モゾモゾと収まりのいい場所を探して細かく動く。


何々〜?もしかして、床ずれの心配かい?

そんなにやわじゃな〜い!


心の中でハハッ!と笑いながら、寝ぼけ眼を擦った。


「もう着いたのかい?俺どれくらい寝てた?体勢変えてくれてありがとう。でも、俺はその程度で床ずれしないよ〜。」


「起こしてしまって申し訳ありません。眠りについてから、三時間と三十八分二十六秒です。到着はまだ掛かると思われます。」


そっかそっか〜!


レオンの落ち着いた声を聞きながら、フッと周りを見て────動きを止める。


まず俺、レオンに片手で抱っこされてる。

収穫した麦袋を担ぐ農民さんと、全く同じスタイル。

そして、視線は地面へ。

そこには、ひたすら赤い大地が広がっていて、その上に沢山のゴブリンの首と、首のないゴブリンの身体があった。


「…………。」


それを見下ろしたまま押し黙ると、攻撃的な気配を背中に感じ、ソロ〜と後ろを振り返る。

するとそこには、相当お怒り状態のゴブリンの大ボス、ゴブリン・キングがこちらを睨みつけた状態で立っていた。



<ゴブリン>

体長50cm〜1m程の人型Eランクモンスター。

知能はやや高く群れなどの集団で行動し、武器を駆使して人間を襲ってくる。

一匹では大した事ない強さではあるが、集団で来た場合討伐難易度は跳ね上がる。

またゴブリン・キングと共に現れた場合は更に上がるため注意が必要。



<ゴブリン・キング>

体長3mを超える人型Cランクモンスター。

ゴブリンを率いて時に堂々と人間の集落を襲う事もあり、非常に攻撃性の高い獰猛な性格をしている。

大剣や巨大斧を使い圧倒的パワーで物理攻撃をしてくる上、高い体力、防御力、更には物理攻撃耐性(大)と魔法攻撃耐性(小)を持っているため集団での討伐が推奨される。



「お……?────おおおぉぉ????」


寝てる間に迎えていた修羅場に、ちょっと思考が追いつかない。

『えっ……せ、戦闘準備────。』と思うより早く、今度は突如ゴブリン・キングが消えた。

いや、正確に言うとゴブリン・キングが消えたんじゃない。

レオンが(多分)動いて、一瞬でそのモンスターの首を刎ねると、そのまま馬車の方へとフッと戻っただけの様だ。


俺の動体視力じゃ、追えなかった。

だから、ゴブリン・キングが消えた様にしか見えなかったのだ。


「????」


お、俺が寝ている間に一体何が……?


やっと完全覚醒して狼狽え始めた俺の目に、のんびり馬車の外でお茶をしていた様子のモルトとニール、そして御者さんが映る。


────パチッ!

そして、優雅にお茶を飲むモルトと目が合うと、モルトはこちらに近づいて来て、手に持つバラ茶をスッと差し出してくれた。


「おはようございます。リーフ様。どうぞ、淹れたてのバラ茶でございます。」


「あ、うん。ありがとう……?」


レオンに担がれた麦袋のまま受け取って、ふぅふぅしてから飲む。

すると、フワッとバラの良い香りが鼻から抜けていった。


あっ、おいし〜い!


薔薇の濃厚な香りを楽しみながら、口当たりの良い液体を飲み込むと、胃全体に爽やかな風が吹いたような気さえする。

モルトの家のバラ茶は、今年も売り上げ右肩上がり。

我がリーフ邸によくお裾分けとして持って来てくれるのだが、飲む度にこれは売れる!と納得させられる出来なのだ。

そのまま素晴らしいお味に舌鼓をうっていると、モルトがここまでの出来事を説明し始めた。


なんでも俺が寝てから三時間半くらいが過ぎた頃、馬車の進行方向におよそ30匹以上はいるであろうゴブリンの群れが現れたそうだ。

基本、街にはモンスター除けの結界や侵入を防ぐ防壁がある為、おいそれと街への侵入は出来ないようになっているが……街から街への移動の際に通る道には、当然そんなものはない。

運悪くモンスターと鉢合わせしてしまえば、戦うか逃げるかのどちらかしか選べない。

だから移動の際は、必ず護衛を雇うのが一般的らしいのだが、今回そゆな同行者はいなかった。


てっきり馬車に、なんか凄いモンスター除けがついてるのかと思ったんだけど……??


状況を聞く限り、どうやら違った様だ。

────で、結局エンカウントしたゴブリン達を、俺を担いだレオンがお外に出てパパッと首を刈りに行ったと……そういう事らしい。


いやいや、起こしておくれよ〜……。

悪役が背負われる麦袋とか、ホントにカッコ悪すぎるからさ!


「────あぁ〜……。うんうん……レオン、ありがとう。」


内心バツが悪かったが、とりあえずモンスターを倒してくれたレオンにお礼を言って下ろしてもらう。

するとレオンは「次回は防音魔法をかけますね。」と言ってニコリと笑った。

いや、起こして?と思いながら、俺はバラバラになっているゴブリン達の死骸を見下ろす。


この大量のゴブリン達の死骸。

燃やすか土に埋めてから出発しないと、他のモンスター達が血の匂いでよって来てしまう。


「う〜ん……燃やすか。」


火属性魔法を使って焼こうとしたその時────……。


「あぁ────!!!!!!」


耳がキーン……とする様な、女性の大きな声が聞こえた。


「────ッ?!んん〜?!」


直ぐに声のした方向を振り返ると、コチラを指差し口を大きく開けている女の子の姿が目に映る。


ピンピンと外に跳ねた長いピンク色の髪に、黄色いバンダナを巻いたヤンチャそうな少女だ。

多分見た目からして、まだ10代後半くらい?幼さを色濃く残した顔をしている。

格好は斥候などのスピード重視型のラフな戦闘服のようで、恐らくは何かしらの戦闘職についていると思われるが……果たして?


その少女を無遠慮にジロジロ観察していたのだが、どうも彼女の視線は俺たちにないようで……その指の先には、倒れているゴブリン・キングの死骸があった。


「こ、こ、こ、これ!!ちょっとちょっと!ゴブリンキングじゃない!

緊急討伐依頼が出たからいち早く探しに来たのに……ねぇ、君達!コレ誰が倒したか知ってるかな?」


「えっ?誰って……。」


俺、モルト、ニール、そして御者さんが一斉にレオンを指差す。

するとピンクの髪のお嬢さんは、いつの間にか深くフードを被っているレオンをジーッと見て……勢いよく吹き出した。


「あはははー!流石に君達くらいの子供に倒せるモンスターじゃないよ。

こっちのお兄さんも、そりゃ〜体格は悪くないけどまだ子供みたいだし!ソロで倒せるほどCランクは甘くないの。

もしかして何処かの高ランクパーティーが討伐したのかしら?

でも【瘴核】も取って行ってないみたいだし……。」



瘴核しょうかく

モンスターの心臓部に当たる部位。

非常に高いエネルギーを秘めている為様々な用途に使える。

一般的に小さな宝石の様な外見をしていて、強い個体ほど大きくエネルギー量も大きい。



────えっ?Cランクってそんなに強いの?


正直レガーノには滅多にそんなモンスターは出ない為、正直強さとかはよくわからない。

だから首を大きく傾げたが、とりあえずレオンは凄い!という事でいいと思われる。

ちょっと誇らしげな気分になっていると、遠くの方から「お〜い!」という、今度は男性の声が聞こえたため、そちらを振り返る。

するとそこには、新たに三人の人物が走ってくる姿があった。



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