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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第四章

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160 クラン戦闘開始

※  グロ注意ですm(_ _)m 


( 傭兵の男 )



「 くそっ!!小賢しい真似しやがって!!


毒を使うたぁ〜随分卑怯な手を使うじゃねえか!


お前はゆっくり刻みこんでぶっ殺してやるからなぁ!! 」



「 ふふっ、そんな大人数で無作法に侵入してくる人に言われたくないかな?


でもいいんだよ。


僕は沢山いた方が嬉しいんだ。 」



こいつの資質は < 毒花人 > 


忌み嫌われる生産型下級資質だが、唯一毒に関してだけは油断できない────が……。



俺は、静かに佇む優男を見て、ニヤッと笑った。



俺の資質< 耐重士 >は、耐性に特化した戦闘系下級資質。


その中には毒の耐性スキルがあるため、こいつの能力は役に立たない。




<耐重士の資質>(先天スキル)


< 毒耐性 >


毒に対する耐性を持つ


自身のステータスによりその強さが決定する




「 ぎゃーはっはっ!!!


どう足掻いてもお前のそのゴミ資質じゃ〜俺には敵わねえっつーの!!


調子に乗りやがって、この貧弱男がっ!! 」



俺が魔力を解き放つと、それは黒い霧になって体を覆っていく。


これが俺のスキル!< 鉄人のアーマー >だ!




< 耐重士の資質 >( ノーマルスキル )


< 鉄人のアーマー >


自身のもつ耐性を更に1.5倍Upさせる強化系戦闘スキル


体力、防御力が高いほど効果が上がる


(発現条件) 


一定以上の体力、守備力を持っている事


一定回数以上状態異常に罹り、その術者の命を奪うこと




黒い鎧を纏った俺の耐性値は1.5倍!


これでどんな強毒にも耐えられる!



「 ど〜だ?この黒く覆われた最強のアーマーは!


凄いだろう?


これでお前の攻撃は一切俺には届かなくなったぜ〜?


ほらほら、どうすんだぁ〜? 」



自分の身を包む最強アーマーを撫でながら、挑発してやったが……優男は未だ穏やかに笑みを浮かべていて、月の下でそれが不気味さを醸し出す。


更に、いつの間にか地面には恐らくは毒花だろうか?赤い花が花畑の様に咲き乱れていてそれを加速させる。



「 ……なんだぁ?恐怖でおかしくなったのか?


勝てる見込みはゼロだっつうのになに笑ってやがる? 」



「 そうですねぇ?


今度はどんな ” 個性 ” を持った子に会えるのか、それが楽しみだからでしょうか? 」



薄気味悪い笑みを浮かべたまま、意味が分からない事をほざく優男。


唯一お得意の毒が効かず、更に防御力まで爆UPした俺に敵う事は不可能にも関わらず、この態度は、恐らく精一杯の虚勢だろう。


そう考えた俺は、ハッと鼻で笑った。



「 はぁ〜? お前何いってんだ?


恐怖で気でも狂ったか?ばっかじゃね〜の。


まっ!素人のくせにノコノコ出てきたお前が悪いんだから、恨むなよな。


とりあえず、お前をここで痛めつけてこの空間から無理やりだしてもらうぜ。


お前はもう終わり、ジ・エンド。はい、さよ〜なら〜。 」



俺がバッと飛び出し優男の腹にパンチを食らわすと、面白いくらいに奴は吹っ飛び空に打ち上げられる。


それを見上げて笑った、その瞬間────……。



────パッ……!



なんと、優男の体が弾けて真っ赤な花びらとなって飛び散ったのだ!



これは……分身か!?



ヒラヒラと舞う赤い花びらを手で振り払い、その場で怒鳴り散らす。



「 ────くそっ妙な技使いやがって!


本物はどこだ!! 」



「 はい。こちらですよ。 」



突然気配なく背後から聞こえる声に慌てて振り返れば────……やはり穏やかな笑みを浮かべて立つ優男の姿があった。



「 ────っ!!クソっ!! 」



直ぐに近づき、顔めがけてキックをヒットさせたが、またしても優男の体は赤い花びらとなって散ってしまう。



「 ……っ!!やっぱりスキルかよ。


< 毒花人 >で、こんなスキル見たことねぇぞ!────もしかして魔道具か?! 」



「「「「 いいえ〜?安心して下さい。魔道具はつかってませんよ。」」」」



沢山の重複する声に、慌てて周囲を見回せば……沢山の優男の姿がそこら中にあった。




<毒花人の資質>(ユニーク固有スキル)


< プリンセスの夢の中 >


その場に ” 腐肉花プリンセス ” がいる時に発動することができる状態異常系スキル。


花への愛情度が高いほどその効果は強くなり、花から術者への愛情が高いほどその効果は更に跳ね上がる


(発現条件) 


一定以上の毒花への愛情を持つこと


一定時間以上毒花と触れ合うこと


一定以上、毒花からの愛情、信頼を得ること


腐肉花プリンセスの栽培に成功すること





優男達全員の顔には穏やかな笑みが浮かんでいて、それにゾッとしたが……こんな生産型資質にビビる必要はないと気を引き締める。



「 いい気になるなよ?


状態異常攻撃は俺には効かねぇし、こんな小賢しい分身なんざ全部吹き飛ばせばいいだけなんだよ!


消えやがれ!!! 」



剣を持ったままその場で回り風の竜巻を発生させると、周りにウジャウジャいる優男の集団に向けてそれを放った。




< 耐重士の資質 >( ノーマルスキル )


< 旋風 >


剣により風の竜巻を作り出し敵を攻撃する広範囲の攻撃系スキル。


自身の攻撃力が高いほどその威力は上がる



(発現条件) 


一定以上の攻撃力を持っている事


一定人数以上の人間の命を一度に奪うこと





俺の攻撃により、優男達はみるみる赤い花びらになって散っていき、その場に立っているのは一人に……。


それを睨みながら、ニヤァ〜と口元を大きく歪めて笑う。



「 くっくっく……たかが生産型資質が、戦闘系資質様に敵うわきゃねぇだろ?ば〜か!


さぁ、じゃあお楽しみタイムといきましょうかね?


俺は男の尻には興味ねえから、まずは指を一本一本切り落としていくか────……あ、あれ……?? 」



勝利を確信した俺が、喋りながら優男にゆっくり近づいていくと……途中でガクンと力が抜け、そのまま前に倒れてしまった。



い、一体何が??



驚き、自分の足の方へとゆっくり視線を移していき────目に映った光景にギョッ!をする。




俺の足が…………足が溶けだしているっ!!!!!




「 な……な……ん……。 」



原型を失い、まるで溶けていく蝋燭の様にドロドロになった自分の足。


それを凝視したまま、パニックを起こし、ハァッ……!ハァッ……!と息を乱した。


そして────……。



「 う……うわぁぁぁぁぁ────!!!! 」



我に帰った俺は、獣のような叫び声を上げて、どうしてこんな事になっているのか考える。



なぜ?


どうして、俺の両足はなぜ溶けだしているんだ???



ガタガタと震えながら、必死に自分の足に手を伸ばそうとしたその時……スッと月の光が遮られ視界がやや暗くなった。



「 …………? 」



直ぐに視線を自分の足から外して、正面を向くと泥がついている男性の靴が見える。


そして視線を更に上へと上げると……そこにはうっすらとした笑みを浮かべが優男の穏やかな目があった。



「 プリンセスは、どうも悪人が非常に好みのタイプみたいで、直ぐにこうやって会いに来ちゃうんですよね。


自分たちの子供を産んでもらうには、悪人のほうが安産になる確率が高いみたいで……。


う〜ん、毒という性質と悪の心……なにかしらの相性があるのかもしれません。 」



優男はスッと屈むと、地面に咲き乱れる赤い花を、まるで恋人に触れるようになで上げる。


するとそれに ” 嬉しい、嬉しい! ” と答える様に、赤い花達は一斉に揺れ始め、優男を喜ばせる様に赤い花びらをふわっと宙に散らせた。



それがまるで血の雨のようで、今まで ゛奪う物 ゛であった ゛死 ゛が、ベッタリと自分に絡みついてくる様に感じた。



「 ……はっ……たったのむ……助けてくれよ……。


もっ、もう二度とここには近づかねえからよぉ〜……!


よ、傭兵からも足を洗うから!!


だから────頼む……っ!! 」



俺は必死に懇願しながら優男の足を越え、倒れ込んでいる仲間達の方へと目線を向けると、奴らの足もいつの間にか溶け始めている事に気づき、背筋は凍る。


優男は、そんな俺を静かに見下ろしニコッと笑った。



「 元気な子供を産んでくださいね。


そして産まれた子供はとてもお腹が空いているから、最後はその体をその子達へプレゼントしてあげて下さい。


今度はどんな ” 個性 ” を持った子が生まれるのかなぁ。


とても楽しみです 」



そう言って、優男は続けて俺の頬を恐ろしい程優しく撫であげた。




< 腐肉花プリンセス >


外見は小さな美しい赤い花。


性格は獰猛で攻撃的な面が多く見られる。


肉を溶かす先天の酸毒を持っており最初は無痛性の弱酸毒を、そして獲物が動けなくなったら有痛性の強酸毒を駆使し使いやすい形に変える。


また子孫繁栄により新たな能力、ステータスUPが可能、進化型の猛毒花


( 進化能力あり、子孫繁栄型植物 )




ニコニコと笑う優男の顔を見て、絶望が体を支配する。


そこら中から聞こえる、仲間たちの悲鳴と苦痛を訴える叫び声……。


それを近くで聞きながら、自分の体を走る激痛と肉の腐りゆく酷い匂いによって────俺の思考は二度とまともに働く事はなかった。



< 傭兵の男 VS クラン >


クランの完全勝利




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