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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第四章(メルンブルク家の様子、大樹の過去と結婚式について、リーフ邸襲撃事件)

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145 レオンの私物

(リーフ)


雲一つない青空、ポカポカと暖かい気候。

今日は絶好のお出かけ日和────ということで、俺はレオンを連れて街の商業店が立ち並ぶいわゆる商店街をぶらぶら歩いている。


中学院の入学院試験に受かれば、俺たちは晴れて寮生活だ。

すでに受かる気満々な俺は、早々に荷物を纏め始めているのだが、そんな俺の私物は、仕事のと〜っても早いカルパスがほとんど纏めてくれていた。


日常の事は全部自分で!────が基本なカルパスだが、なんだかんだで、こうやって色々世話を焼いてくれる。

そのため俺が整理しているのは、レオンがちょこちょこ拾ってはくれるピカピカの石とか、何かの角とか……この間の花爆弾の結晶とか、いわゆる宝物箱の確認くらいしかなかった。

そしてそんな中で、ハッと気づいたのが、レオンの私物があまりにも少ない事だ。


この四年間、大体のものは共有して使っていたためうっかりしていたが、レオン個人の私物はほぼ無いに等しい。

最初のうちは一応レオン用のものも結構買っていたのだが……教科書などは一度ペラペラ〜と見て完全暗記。

食事の際のマイスプーンやマイフォークは、俺が食べながらレオンの口に突っ込むから必要なし。

剣や防具など、爪楊枝と紙で装備しても変わらないくらい強いから、普通に私服と練習用木刀で事足りる。

そして何より、レオンが何か欲しいと言ったことは皆無だったし『じゃあ……。』と、お小遣いを渡せばやたら仰々しく返してくるだけだったため、本日までうっかり放置してしまったというわけだ。


あちゃちゃ〜!


やってしまったと気付き、大いに反省した。


現在レオンの手元にあるのは、服が数着に金ピカのお皿、床に引いてあるフカフカ絨毯、そしてこの間あげた砂ネズミのおもちゃだけ。

やっぱり少なすぎると改めて確認しながら、その絨毯にな〜んか見覚えがあるなと記憶に引っかかった。


「────あ!まさか……。」


薄ぼんやりと覚えている記憶の中……アレは昔、自分がレオンに強引に押し付けたモノだったと思い出す。


実はこれ、俺が屋敷にあった絨毯と温度調節してくれる魔道具をくっ付けて即興で作ったモノで、小学院に通い始めて直ぐの時、レオンの家にお布団がない事を聞いて慌てて作ったものであった。

その時期はもうだいぶ肌寒かったのもあり、直ぐに汚れた服のまま、その上をゴロンゴロンしてわざと汚す。

そして、それをレオンの前にその汚れを見せつける様に広げて大きなため息をついた。


「あ〜あ!これ汚れているしダサいからいらないな〜!俺の住むゴージャスな家にこんなモノは似合わない!」


そうしてあーだこーだと自分の家の素晴らしさを大げさに語り、自然な流れで絨毯をレオンに押し付けたのだ。

そんないや〜な記憶と汚れがこびり付く絨毯を、レオンはどうやら相当気に入ったらしく、ベットがあるのにずっとこの絨毯の上で寝ているという。


レオンはベット派ではなかった様だ。

床に敷いた方が寝やすいんだろうか……?


その結果、ベットが無駄なスペースとなり、今は何故かその中央に俺があげた砂ネズミのおもちゃが鎮座している。

そして何故かその前にあの金ピカのお皿が置かれていて、その中に日替わりでお花が入っていると……。


お、おままごと……??


その行動に少しだけ不安がよぎったが、まぁ、何であれレオンが遊ぶという行為を楽しんでいるなら良し。

だって家でいつも壁を見ていると言ってたし……。


一応は、それは納得している。

しかし、やはりこれだけでは……。


────チラッ……!

俺は機嫌が良さそうに歩くレオンを見上げ、バレない様に頭を抱えた。


ちゃんとした私物をもたせてあげよう。

持ち物だって個性を表現する大事なモノだ。


そんなこんなで、俺はカルパスに無理やり持たされたお小遣いを手に……いや、お金が入った袋を首から下げているから首に?持ち、本日はレオンの私物を買うため、街に買い物に来たのだ。


「我が忠実なる奴隷のレオンよ!俺はそれはそれは優しくて素晴らしいご主人様だから、奴隷になった記念になにか買ってあげよう!

さぁ何がいいかな〜?」


「ありがとうございます。でも俺は、こうして一緒に歩くだけで充分幸せです。」


そう答えてレオンは嬉しそうに笑った。


歩くだけで幸せなのは、お散歩するワンちゃんのセリフ!


複雑な想いを持ちながら、レオンが奴隷になった時の怯え様を思い出して青ざめる。

多分この間のレオンの元家消滅事件から察するに、レオンは奴隷という立場にとてもとても恐怖心を抱いている様だ。


元々自我が薄かったレオンは奴隷になってそれに更に拍車が掛かり、もはや笑顔に余裕すら感じる様になった。


『下手に欲しいものとか言ってしまうとお仕置きされるんでしょう?』


『馬とか椅子とか強制してくる暴君に、下手な事を言えば何をされるか分かったもんじゃない。』


『言うことを聞こう……そしてそれを幸せだと思おう。』



『これこそがこのレオンのあるがままの世界であると────……。』



────却下!!


俺は、両手を交差させて大きくバッテンを作った。


<強制力>が強力すぎる!

なんとかして軌道修正しなければ……!!


「そ、そっか〜!じゃあ歩いている内になにか欲しくなったら買おうね。とりあえず服屋に行ってみようか。」



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