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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第三章(3年後の話。資質鑑定からレオンを奴隷にするまで)

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(カルパス)135 共に立ち向かいし相棒と

(カルパス)


「────はぁ?当時侯爵家の次期当主様の俺を容赦なくぶん殴った子爵様は、偽善者って言わねぇだろ〜。

いつも思うがよ〜……お前偽善者の意味本当に分かってる??」


「失礼なことを言うな。殴ったのはお前があまりにも傲慢で愚かな男だったからだ。

目に余る行為を殴って止めた。当然の事だろう。」


「……あ〜……うん、そうかぁ〜……。」


ハハッと諦めたような表情で笑うドノバンに、私は仕方のない男だと、ため息を吐き出した。

そしてついでとばかりに、リーフ様とレオン君に対しての日々の卑猥な言葉の数々に苦言を申し立てると、奴は苦々しい表情で耳を塞ぐ。


「分かった!分かったから!全部俺が悪い!すまんすまん、次から気をつけますぅ〜!

────まぁ、結局俺が言いたいのは、偽善者だって何だって救われる奴がいるならなんでも良いだろうってこと!

それによ〜俺は欲望に素直で忠実なドノバン様だぜ?

そんな俺が未だに親友してるんだから、お前の言う偽善者はそんな悪りぃもんじゃねぇから安心してこれからも偽善者してろよ。人生はかる〜く明る〜く行こうぜ!」


ニカッと昔から全く変わらない笑顔でドノバンは笑い、それを見た私の肩からは力が抜ける。

こいつは昔からこうして私の気持ちをふっと楽にしてくれる。

それはこうしてお互い歳をとっても全く変わらないものだ。


微笑を浮かべながらゴホンと咳払いをした。


「そうだな。お前の百分の一くらいは軽く考えたいものだ。

……さて、話を戻すが、傭兵にやらせるなら恐らくは強盗に見せかけて襲ってくるだろう。

リーフ様は金銭目的の強盗に運悪く見つかり殺されたとなれば不自然ではないからな。

屋敷にいる時なら、相当な実力者が来ない限り我々で対処できる。

特にイザベルは自身のテリトリーを守ることに特化した資質、屋敷内はなんら心配はいらん。後は外出時だが────。」


「あー大丈夫、大丈夫。なんたって、くっそ強ぇ護衛様がついているからな。」


ドノバンは色々とその人物の事を思い出した様で、ブルッ!と体を震わせる。


『呪われた名無しの化け物』と、街で呼ばれていたレオン君。

その人物の外見は、まるで呪いの化身の様な姿をしていて、その姿は見るもの全てに恐怖を与える。

しかし────実際はただ親に捨てられ世に捨てられた哀れな子供であった。

そんなレオン君は、この四年間でとんでもない進化を遂げていく。


リーフ様と同じ鍛錬をしていても汗の一つ掻かず、息も乱れたところは見たことがない。

更に一度見た動きは全てコピー……いや、上位互換してアッサリと使っているのも何度も見た事がある。

最初から強かったが、その時は何かあればリーフ様を連れて2人で逃げられる程度の実力があれば……などと思っていた。

だが、アレではもう本職の者を軽く超えるほどの実力はあるとみていいだろう。

実際の実力がどの程度のものか……それすら私には測ることができない。


複雑な心境を誤魔化す様に今度は腕を組むと、ドノバンもまた眉をよせ難しそうな顔で考え込む。


「実際あいつどれくらい強いんだろうな?正直全く分からん。

剣は一級、しかも魔法までピカイチときた。

資質鑑定しなかったらしいからなんとも言えねえが、全属性魔法の適正もあるのを考えると……恐らくは俺の【魔法剣士】やリーフの【魔術騎士】と同類の戦闘系資質じゃねえかな〜。」


「まぁ、そうだろうな。そうでなければあの強さの説明がつかない。

平民で上級資質だった者は非常に稀であるから、レオン君がそれを持っていたのは我々としては幸運であった。」


「確かにな〜。」


ドノバンは大きく頷いたが、すぐにハッとした様子で私に言った。


「そうそう、レオンばっかり目立つから目がいきにくいが、リーフもめちゃくちゃ強いからな。

あいつ根性あるしタフだし、とにかく型に嵌らないトリッキーな動きをしてくる。

う〜ん……俺はリーフも結構おかしいと思っているんだよな〜。だが、どうにも緊張感に欠けるから視界には入ってこない。それがまた奇っ怪なんだよ。」


変だ〜不思議だ〜と唸り続けるドノバンに、私も少し考え込む。


「……確かに不思議な子だと思う節はある。

────これは誰にも言っていないのだが……リーフ様が生まれた瞬間、それなりに歳をとっていそうな男性の声が、突然耳元で聞こえたんだ。

『ありがとう』……と。」


「はぁ?そのへんの従者が言ったんじゃねぇの?」


「……いや?あの時周りは半ばパニックだったからな。私の周囲に人はいなかった。

それに……小さい何かが背中に飛びついてきた感覚まであったんだ。

まるで赤子をおぶさったような……?」


「おいおい、お前大丈夫か〜?ほどほどに休めよ。まじで。

とりあえず、あと三ヶ月で俺の役目は一旦おしまいだ。王都の方へ戻ったら、奴っこさんの見張りは任せとけ。」


そう言ってドノバンは私の肩を軽く叩いてきたので、私は辞めろと言わんばかりにその手をペシッとはたき落とす。


「お〜怖ぁ!」


ドノバンは大げさに払われた手を擦って揶揄う様に笑ったが、私は真剣な表情で言った。


「────ドノバン、二人を育ててくれてありがとう。」


心からの感謝を込めて伝えてやれば、ドノバンは居心地が悪そうな様子で頭をポリポリと掻く。


「おいおい、止めろって!お前が素直に言うとこえ〜んだよ。」


チッ!と舌打ちした後、静かに拳を突き出してきたので、私はその拳に自身の拳を合わせた。


「頼りにしているぞ、相棒。」


「……へいへい。」


私の言葉にドノバンは、また昔から変わらぬニヤッとした笑みを浮かべると、私もいつの間にか同じ笑みを返していた。


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