表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第三章(3年後の話。資質鑑定からレオンを奴隷にするまで)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

130/881

120 花爆弾

(リーフ)


先ほどの事を思い出しぷっと小さく笑うと、レオンがやはり不思議そうに首を少し傾げるが、心なしかいつもより楽しそうな雰囲気が漂っている気がする。

本当はなにを思っているのかは分からないが、俺はレオンに対して街の人達の態度が柔らかくなったのを感じて、今とっても嬉しい。


いつも一緒にいるモルトは当然として、モルトの両親もお姉さんも、あの場にいた街の住人達も、黒マントを被った男がレオンだと気づいていた。

でも、特に騒いだりヒソヒソする人達がいなかったことは、大きな進歩だ。

それを考えると嬉しくて、俺の気分も自然と上向きになっていった。


多分呪いが感染しない事が、俺により証明されたのが大きいと思うが……それ以上にレオンの優しくて真面目な人柄が、小学院の子供達により伝わったお陰じゃないかな〜と思っている。

ニヨニヨしながら、以前、モルトやニールにその話題をふってみた時の事を思い出した。


『……まぁ、毎日家でリーフ様やレオンの話題が上がらない日はないですね。』


『そうっすねぇ。色々あるっすから……。』


そう二人は目を逸らしながら言っていたし……?

それに、周りの子供達も先生も、最初レオンにビクついてたのが夢の様に、今や空気と同類と言っても過言ではないほど、態度は普通になった。

多分子供達の話から、レオンが危険な人物ではないと分かったのだと思われる。


友達と呼べるのはモルトとニールくらいだが……まぁ、最初はそんなもん、そんなもん。

これからマイペースに色々挑戦してくれたらいいな!


口から漏れる程度だった笑いは次第に大きくなり、とうとう大声で笑い始めると、レオンは益々不思議そうな顔をした。

そんなレオンの様子を見上げながら、フッとついこの間の出来事も続けて思い出し────その笑いは苦笑いへと変わる。


「…………。」


今度はちょっとした不安に襲われ、笑いすぎて涙が滲んだ目元をグイッと拭った。


ついこの間、そんな友達作り訓練生のレオンの練習相手になってもらおうと、ドノバンにエッチな事を言われてレオンが手を……いや、剣を出そうとした時の事。

せっかくだからと、「手を出す前に、ドノバンと会話をしてみよう!」と提案してみた。


「…………?」


するとピンとこない様子のレオンは、不思議そうな顔で首を傾げたため、できるだけ具体的な案を、ツラツラとあげていく。


①とりあえずはその人の特徴を言ってみて、会話のキッカケを作る。

②自分がその人を見てどう思ったのかを言う。

③今後どうしてほしいかを伝えてみる。


────などなどを、手を出す前に口にしてみたらどうか?とアドバイスしてみたのだ。


『ドノバンは普段カッコいいけど(①)、エッチな事を言うときはカッコ悪いと思っている。(②)

今後はそういった破廉恥な事は自分の前で言わないでほしいな。(③)』


ちなみに俺の期待した答えはコレ。

しかし、レオンが考えた答えは────……。


「紫色のもじゃもじゃは駄目なものだと思います。(①と②?)今後はリーフ様の役に立て。(③?)」


全否定!


まぁ、確かにドノバンの髪は紫色のゆるふわパーマだし、紫色のもじゃもじゃはセーフ。

でもこれでは会話もクソもな〜い!


これは前途多難だなと、その時は大きなため息が出てしまった。


その時の事を思い出しまたため息をついてしまったが……人よりだいぶマイペースでも、きっとこういった小さな体験を経て、レオンの未来は少しづつ変わっていくはずだと気持ちを盛り返す。


例え結末が変わらないとしても、自分の心で沢山の思い出の中から自分なりの答えを出してほしい。

その為に俺はここに来たのだから。


俺が失脚した後、どうかレオンに幸せだと思えるような出会いがありますように〜!

そして、その人達と共に、少しの時間でも人生を歩く楽しさが味わえますように!


そう願う俺を、じっと見下ろすレオンにニコリと笑うと、レオンは少し驚いたような顔をした────次の瞬間……。


────バシュッ!!! 


大きな発射音が近くで聞こえると、一筋の白い煙が空へと上がっていった。


「花爆弾が上がったぞー!!!」


周囲から興奮した様な声が上がり、その直後、ポポポポンッ!!と大きな音をたてて何かが爆発する。


「いやっほ〜!!」


「うわぁぁぁぁ〜!!」


沢山の声と拍手が至る所から聞こえる中、今度は空から沢山の色とりどりの花が降ってくると、盛り上がりは更に増していった。


<花爆弾>とは、日本で言う花火みたいな物で、魔力で作った花を空で爆発させる魔道具だ。

かなり高度な魔力操作と魔道具の知識がないと作れない代物で、数年前に発明されて一時期騒がれていたらしい。

魔力で作った花は少ししたら消えてしまうが、空で爆発した後、花が降ってくる様はとても幻想的で、まるで天国に迷い込んだ様な景色を見せてくれる。

そのため、花爆弾はお祭りなど祝いの場では必ずと言っていいほど打ち上げられる、必須魔道具らしい。


「うひょ────!!」


それを初めて目にした俺は、感動のあまり、直ぐに飛び起き感動の雄叫びを上げた。


キラキラ光る色とりどりの花たち。

それが真っ青に晴れ渡った青空に散りばめられている光景は、まるでお空の花畑のようだ。


「うわぁ〜……。凄い……。」


ポカンと口をだらしなく開けて、只々その夢の様な空に魅了されていると、落ちてくる花は全てうっすらと透けていて、更に淡い光に包まれている事に気づいた。


『魔力で出来ているからだろうか?』


『暗くなったらもっと綺麗なんじゃないか?』


そんな事を考えながら、真上に落ちてきた花を掴もうと手を伸ばした瞬間────……。


────バシッ!!


突然伸ばそうとしていたのと反対の手を強く掴まれ、そのまま、あっ……と言う間もなく後ろへと引っ張られてバランスを失う。


「あ……っ!」


そのせいで花を掴もうとしていた手は空を切り、身体は後ろにいるレオンに衝突する勢いで倒れ込んでしまった。


おおお???何だい?何だい?


突然された事に驚き、直ぐに起き上がろうとしたが……ぶつかった先にいるレオンに後ろから結構な力で抱きしめられて動けなくなる。


「??急にどうしたんだい? 花爆弾にびっくりした?」


驚いたまま問いただしたが、レオンは一向に手を緩めてくれず、ただ「……いえ。」と答えるだけ。

俺がマヨネーズだったら中身が全部出る!と、断言できるほど物凄い力で締め上げてくるレオンに苦しさを訴えようとしたが……触れている背中越しに、レオンが震えているのに気づき、慌てて口を閉ざした。


レオンは何かにとてもビビっている。

そして俺は超苦しい。

ほんとにちょっと何か出ちゃうかもしれない。


スキル:<石男>で必死に耐えながら、レオンが怖がっているものは一体なんだろう?と必死に考えていると、降り注ぐ綺麗な花を見て一つ思いつくものがあった。


ついこの間の事だ。

花が咲き乱れる庭にできた正体不明な巨大な巣を、何かな何かな〜?と木の棒で面白半分でつついていた時の事。

突如大きな羽虫がそこから出てきたかと思ったら、出てくるは出てくるは有象無象の羽虫の大集団が。

そして、そのまま俺は随分と長い時間、その集団に追いかけ回される羽目になったわけだが、それを無表情でボンヤリ見ていたレオンは実は凄く怖がっていたのかもしれない。


花=羽虫を思い出してこんなになってしまった?


その可能性に気づいた瞬間、俺は、はは〜ん?と非常に納得して軽く頷く。


ちなみに俺はめちゃくちゃ怖かった。

まさかあんな大量の羽虫が出てくるとおもわなかったから。


ってことは、さてはレオン────虫苦手系男子なんじゃないの〜?


ぷぷぷぷ〜と笑いをこそこそ隠しながら、ジェネレーションギャップなるものにほのぼのと心を温めた。


俺の子供の頃は、虫と共に生きてきたから『怖かった〜。』で済んでるけど、最近の子供は虫離れがすすんでいるらしいからね。

繊細なレオンには強烈過ぎる思い出だったということか。


思わぬ苦手属性判明でによによしていたが、未だ締め付けが凄いがだんだん落ち着いてきたのか徐々に緩む拘束と、更にレオンのポカポカ体温とふんわり香る花の匂いに心地よさを感じ────俺はそのままぐっすり眠ってしまった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 今回も面白かったです。 レオンが何を思ってるか気になります。また次回楽しみに待ってます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ