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天寿を全うした俺は呪われた英雄のため悪役に転生します  作者: バナナ男さん
第三章

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106 おじさん

( リーフ )



「 ぶわっふぉっふぉっwwwひっ〜ひひっww


はぁ、はぁっ腹いってぇっwww!!! 


おっおじさんってwww!!!


────ぶはぁっはっふぁっ〜www!!! 」



いつもの授業場の広場にて、ドノバンが死ぬほど笑いながらゴロゴロと転がりまわるのを見て────俺はハァ……と大きなため息をついた。



シーンと静まり返ってしまった教会から、家に帰ってきた俺とレオン。


そのままいつもどおり、ドノバンの授業前に2人でストレッチしていた。


すると、それからまもなく、のっそりのっそりと現れたドノバンに先ほどの鑑定結果について報告したのだが、ぶほっと吹き出してこの始末……。



俺はその様子をレオンと共に眺め、楽しそうだな〜と冷静に思った。



まぁ、俺的には勇者とか魔王とか?なんか物凄い資質を思い浮かべちゃったもんだから、恥ずかしくて、笑ってもらえた方が気が楽かもしれない。


それに、頭が冷えた今となっては、平凡に生きた実に自分らしい資質だと納得もしている。



むしろ< ハゲ師 >とか< 加齢臭人 >とかじゃなくて良かった!



思わず遠い目で物思いにふけっていると、やっと落ち着いてきたらしいドノバンは、まだ荒い息を吐きながら俺に視線を向けた。



「 いや〜ひっさしぶりにこんな笑わして貰ったわ。


────で?その< おじさん >つう資質はどんな資質だったんだよ?


スキルは? 」



「 あ〜……なんかね、読めない文字が多くて詳しくは分からないらしいけど、スキルはいくつか発現しているみたいでさ。


なんか……前向きになれるやつと、すこし我慢強くなるっぽいスキルがあるみたいだっていってたよ。 」



それにドノバンはまた吹き出したが、今度は転がりはせず笑いながら話を続けた。



「 いやwwなんじゃそりゃww!


要するに精神に作用するような資質って事か〜?


名前からして戦闘資質っぽくねえし、多分性能的には下級資質か────……分かっているスキルだけ聞くと、下級資質の< 村人 >に近い感じはするよな。


まぁ、魔術騎士っー上級資質はあったんだから、おまけ程度とかんがえていいだろうよ。


他の発現しているスキルも気になるところだが、未知の資質が文字化けして読めねえ事は結構あるらしいからな〜。


仕方ねぇか。」



ハハハ〜!と軽い調子でそう言うドノバンに、俺はウンウンと頷く。



それなりに多くの人が持つ下級資質である< 村人 >。


どうも、それに類似しているのではないか?と神官長は最後に言っていた。



「 そうだね〜。まぁ、おまけでも貰えるなら嬉しいことさ。


前向きな事と我慢強さは、人生を楽しむ為に必要なものだしね。


他の発現しているスキルが気になるところだけどわからないんじゃ仕方がない。


────あっ、ドノバンから見て俺なんかそれっぽいスキルとかありそう?? 」



ドノバンはう〜ん……と、考え込む仕草を見せる。



「 どうだろうなぁ?


そもそもその< おじさん >に起因しているスキルっつーのが分かりにくいんだよな〜。


すげえ抽象的っつーかよ〜……。


────あ、お前じじくせぇじゃん?


それってスキルなんじゃね?


朝やたら早く起きるらしいし、発言と行動が年寄くせぇし、何より女を見る目に性的なもんを感じねぇし!


せっかくこの俺がエッチなお姉さん特集持ってきたって家族アルバムかよって感じなんだもんな〜。


枯れすぎじゃねぇ? 」



そりゃーそうだよ。


だって俺、今70才だからね?



むっ!と眉を顰めて、心の中で抗議した。



そもそも、10代や20代のお嬢さんを見て性的対象になるはずがない。


娘どころか孫にしか見えない年齢の女の子など、ワンちゃんやネコちゃんに感じるのと同類の可愛いね〜くらいしか感想を持てないぞ?


しかし……。



────カッ!



限界まで細めていた目を突如変え、大きく見開いた。



枯れているとは心外!


俺だってそういう感情は勿論あって、ギリギリで40代後半くらいから!


それ以上の年齢のムッチリナイスバディの女性がいたら、俺はうひょ〜ってなる。



────めちゃんこなる!



モワモワ〜と思考をピンク色に染めながら、フンッ!と鼻息を荒くした。



ドノバンが良く持ってくるエッチな若い女性の写真集も、年齢層上げてもらえばすっごい食いつくから持ってきて!


芸術品とも言える二の腕のはみ出たセクシーなお肉!


マシュマロ顔負けの背中から伺える柔らかそうな肉壁!


大好き!


お好みの女性像を想像し、ついニンマリしていると、それに全く気づいていないドノバンが、俺とレオンを交互に見る。



「 俺がお前達くらいの年齢のときにゃ〜可愛い同級生のチラッと見える二の腕や太ももに興奮したもんだがなぁ。


そんで甘酸っぱい恋心に翻弄されたもんよ。


特に年上のお姉さんにはドッキドキだったぞ。


それをお前らは修行、修行って────……。


────そうだ!


せっかくだからこのイケてるお兄さんが、ちょっとエッチなお店に連れてってやろうか────……。 」



────と、ドノバンが言葉を締めるその前に……ストンッとドノバンの真横に生えている木に木刀が深々と突き刺さった。



全く動きが見えなかったが、どうやら隣に座るレオンが投げたようだ。



相変わらずレオンのスピードは早い!


思わず感心していると、レオンは固まってしまったドノバンの横を、ゆったりと歩いて通り抜け、そのまま木刀が刺さった木の前で止まる。


そしてそれを引き抜きながら一言。




「 手が滑った……。 」



それを聞いた瞬間、ドノバンはサァァァ────……と青ざめていった。



「 やっべえ!しょんべんタ〜イム!! 一旦自習!! 」



そして、やたら大声でトイレ宣言をすると、さっきのレオンに負けないくらいの速さでビュンッと屋敷に向かって走り去る。


それをポカーンとしながら見送った俺は、ドノバンという男について考えた。


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