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第79歩目 ラズリさんの手紙②!フルール編


前回までのあらすじ


妖狐との模擬戦は最後まで掌の上で踊らされる結果となった


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


9/5 世界観の世界編!に一部追記をしました。

   追記箇所は、『種族紹介』の妖狐族・『奴隷』の⑨となります。


□□□□ ~ナイトさんは世話係?~ □□□□


妖狐との模擬戦を終えた翌日、つまりはフルールに滞在して5日目。

いよいよ王都に向けて出発する日となった。

わずか5日間しか滞在していなかったのに、とても濃密な時間を過ごしたような気がする。


その原因は当然・・・


『主、これからどこに行くのじゃ?』


この妖狐との出会いが大きい要因だ。

今はきつねのマフラーモードになって、俺の首に巻き付いている。


「冒険者ギルド。旅立つ前にちょっと用事があるんだ」

「はちみつタルトいっぱい買うんだよねー( ´∀` )」

「・・・」

『・・・』


冒険者ギルドに行くって言ってんだろ!

なんでそこではちみつタルトが出てくるんだよ!話を聞け!


隣を歩くアテナは相変わらずだ。

ちなみにアテナにもきつねモードの妖狐の言葉は聞こえている。

俺は妖狐に噛み付かれ痛い思いをしたというのに、当のアテナはなぜかその必要がないらしい。


これもまた女神ゆえの神秘性というやつだろうか?


「ねぇーねぇー。コンちゃーん」

『姉さま、なんじゃ?』

「歩ばっかりずるいーヽ(`Д´#)ノ私のマフラーにもなってよー!」

『う、うむ。.....姉さま、すまん。これは主だけの特別だと約束したのじゃ。だから・・・』


.....え?そんな約束したか?


「やくそくー?歩~そうなのー(。´・ω・)?」

『主、そうであろう?』


俺の首に巻き付いている妖狐が、まるでそう言えとばかりに首を絞めてくる。

しかし、くそ雑魚ステータスであるきつねモードの妖狐では全く痛くない。むしろくすぐったい。


いくら大好きなアテナでも、わざわざ嘘を付くぐらい、そこは譲れないポイントらしい。


「.....そう言うことだ。アテナはお姉ちゃんなんだから、妹の嫌がることはしないよな?」

『主・・・』

「ぶー(´-ε -`)歩いいなー」


どうやら引き下がってくれるみたいだ。

アテナはバカでどうしようもない駄女神だが、約束は大事にする子だから扱いやすい。


『それはそうと.....ドワーフの手伝いはしなくてよいのか?』

「あぁ~.....いいのいいの。下手に手伝うと怒るからさ」

『怒る?どういうことじゃ?』

「なんかこだわりがあるんだってさ。

 それにナイトさんはああ見えてかなりの強者だから、手伝う必要なんて全くないんだよ」


ナイトさんは現在旅の支度を一人でしている。

ただ旅の支度と言っても、酒樽を馬車に積んでいるだけだが・・・。


以前ガタツからこのフルールまでの旅の支度の時にも似たようなことがあった。

その時に実は手伝いをしたのだが.....こっぴどく怒られてしまった。

あの時にはかなり驚いたものだ。普段大人しく控えめなナイトさんが烈火の如く怒りだしたのだから。


どうやら酒の純度?発酵?にこだわりがあるらしく、最高のタイミングで呑んであげることが酒への礼儀となるらしい。

だからいい加減に積まれると、どの酒が呑み頃なのかわからなくなるため困るのだとか。


「セラフィ怒るとすごい怖いんだよねーr(・ω・`;)」


そうそう。普段大人しい人が怒るとなんとやらってやつ。


『ふむ。あのドワーフがの・・・。

 人は見掛けによらぬな。妾はてっきり便利な世話係かと思っておったのじゃ』


世話係って・・・。仲間!仲間!案外妖狐はきついな。


「そういう訳だから大丈夫だ」

『なるほどの。まぁ、元より手伝う気なぞなかったがの。そういうのは世話係がやるものなのじゃ』


じゃあ最初から聞くなよ!


「てか普通、そういう雑事こそ奴隷が率先してやるものなのでは?」

『何を言うておる。妾は主の奴隷であって、ドワーフの奴隷ではない。

 主の手伝いならしてやってもよいが、ドワーフの手伝いをする道理はなかろう?』

「なるほど。てか、俺の手伝いならするんだな?」

『当然であろう。妾は主の奴隷であるからな』


意外と忠誠心が高いようだ。感心した。


「私も歩のお手伝いするよー( ´∀` )」

「アテナが?.....じゃあ聞くが、何を手伝うんだ?」

「歩ががんばってる間はー、邪魔にならないようにコンちゃんとあそんでるよー!」

『ね、姉さま。さすがにそれは・・・』


アテナのびっくり発言に妖狐は呆れているようだ。


しかし・・・


───ぽふっ。ぽんぽん


「偉いぞ?アテナ。いいお姉ちゃんだ」

「にへへー(*´∀`*)私はお姉ちゃんだからねー!まっかせなさーい!」


頭をぽんぽんされたアテナは、いつものように八重歯を覗かせながらにぱー☆と微笑んだ。かわいい。


『な、なぜじゃ!?なぜ姉さまは誉められたのじゃ!?主はそれでよいのか!?』


俺の邪魔をしないこと。これに勝る手伝いはなし。


そこのところを妖狐はまだ理解していないらしい。

俺とアテナの付き合いの長さが成せる業だ。



俺とアテナの特殊な関係に妖狐がやきもきしつつ、俺達は冒険者ギルドを目指した。



□□□□ ~ラズリさんの心配~ □□□□


冒険者ギルドに着いた。

早速寝坊助のエシーネさんを通して、謝り癖のあるオシーネさんに手続きをしてもらう。


オシーネさんから渡されたプライベートボードにプライベートキーを差す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【ラピスラズリさんより預かりものがあります】


①100万ルクア

②手紙65通


【以上を受け取りますか? はい いいえ】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ちょ!?またお金があるんだが!?しかも増えてる!

ガタツで返信を出した時に断りを入れたはずなんだが・・・


結局今回も受け取らざるを得ない羽目となった。

こうなると、もう一度返信を出さないといけないだろう。

それに相変わらず毎日手紙を書いてくれているようだ。ちょっと気恥ずかしい。


所持金:1074000【↑1000000】



時間も惜しいので、早々と手紙を見ていく。


『二児のパパへ

 アユムさんが旅立って5ヶ月も過ぎてしまいました。

 長いようで長い日々を送っています。早く逢いたいです。

 それはそうと素敵な贈り物をありがとうございます。毎日嗅いではアユムさんを想い、拝んでは家宝としています。

 ただ気付いてしまったんですが、あれは新品ですよね?それでも嬉しいのですが、できれば使用済みが欲しいです。期待していてもいいですよね?

 あとお金の件ですが、貯蓄はしっかりしています。ですから仕送り感覚で受け取ってください。

 離れていても、何かしらの形でアユムさんのお役に立ちたいんです。これってわがままですかね?ごめんなさい。

 それとお母さんなのですが、婚活は順調みたいです。

 私も相手を紹介されたのですが.....どことなくお父さんに雰囲気が似ていました。でもお父さんではないんですよね。

 それにやっぱりお母さんは今でもお父さんを・・・。そう思うと、お母さんの婚活を素直に応援してもいいものなのかどうか悩みます。


 P.S.長男はアユト、長女はアユミと名付けました。いいですよね?

                                      あなたの妻ラピス♡』


ちょっと!ちょっと!ちょっと!?

二児のパパってなに!?アユト!?アユミ!?誰だよ!?それ!


『.....主は童貞であろう?なぜ子がおるのじゃ?』

「ひ、ひぃ!」


なぜかはわからないが、妖狐からとてつもなく不機嫌なオーラが漂ってきている。

はっきり言って怖い。


「歩はどうていだよー( ´∀` )」

『.....主?どうなのじゃ?童貞で間違いないのであろう?』

「.....ど、童貞です」


な、なんだろう?このやるせなさ。

どうして二人の前で童貞認定をしないといけないのだろうか?


『うむ!やはりそうであったか!ならばよし!』

「.....なんで嬉しそうなんだよ?」

『な、なんでもよかろう!となると.....子の件はどういうことなのじゃ?』

「かくしごってやつー(。´・ω・)? 」

「だから俺は童貞だって言ってんだろ!何度も言わせんな!」


───ざわざわ

───ざわざわ


「ぷー(笑)あいつ童貞だってよ」

「そう笑ってやるなよ。男にとってはプライドに関わることだろ(笑)」

「あんなにかわいい子を連れてるのに手を出していないのか?嘘だろ?本当に金玉ついてんのか?」

「ふーん。童貞なんだー。ちょっと頼りなさそうだけど、かわいいじゃない」

「ねー。男としてじゃなくて、ペット感覚なら飼ってあげてもいいかもー」


大声で童貞のカミングアウトをしたことで、ギルド内が騒然、もとい失笑の渦に包まれた。恥ずかしい。

弱冠聞き捨てならない発言もあったが・・・。


ちなみにアテナが隠し子なんてものを知っていたのは、愛と美の女神アフロディーテ様の付き神エロースから教わったらしい。

本当どうしようもないことばかり教えている付き神だ。


「子供の件は恐らく妄想の世界の話だと思う」

『妄想?妄想で既に二児も?.....た、たくましいのじゃな』

「.....はぁ。ラズリさんはそういう人なんだよ」

『そ、そうか。主も大変なのじゃな。.....ところで主は何を贈ったのじゃ?』


ぶふっ!?それ聞いちゃいます!?

あまりにも変態っぽいから話したくないんだが・・・


「それねー、歩のパンツだよー( ´∀` )最初は履いていたやつにしようとしてたんだよねー!」

「ちょっ!?おまっ!そんな大声で・・・」


───ざわざわ

───ざわざわ


「パ、、ンツ?パンツを贈っただと?」

「ないわー。パンツはないわー」

「そうかしら?私は素敵な贈り物だと思うけど?」

「マジか・・・。じ、じゃあ俺の贈ろうか?」

「あんたのなんかいらないわよ!彼氏や旦那のだからいいに決まってるでしょ!」


アテナのパンツ発言で、再びギルド内が騒然、もとい驚愕の渦に包まれた。やめてくれえええええ!

弱冠変なやりとりもあったが・・・。


しかし、俺がなによりも恐れたのは・・・


『.....主?どういうことなのじゃ?』

「ひ、ひぃ!」


さっきから首筋付近に漂うどす黒い殺気。

原因は当然妖狐だ。


「ど、どういうことって.....それが一番いいってアドバイス受けたんだよ」

『.....誰じゃ?誰がそんな助言をしたのじゃ?.....姉さまか?』

「んー?私じゃないよー(・ω・´*)」


おぉ!このおぞましい殺気を正面から受けても怯まない精神!

アテナは意外と肝が座ってるな!このまま俺を助けてくれ!


「コンちゃんはさっきからどうして機嫌がわるいのー(。´・ω・)?」

『べ、別に機嫌など悪くない。.....ただ主が節操ないのが悪いのじゃ!』

「んー?歩がわるいのー?コンちゃんは歩がすきなのー(。´・ω・)?」

『そそそそそんな訳なかろう!姉さまは何を言っておるのじゃ!姉さまは何を言っておるのじゃ!?』


.....何故に二回言った。動揺しまくりだろ。


妖狐が俺に好意を抱いているのかどうかはわからない。いや、多分ないだろう。

だが、アテナが妖狐の注意を引き付けてくれたおかげでこの話を終わらせることができた。


・・・。

・・・・・・。


次に見た手紙はナイトさんについて書かれていた。

これはナイトさんと旅に出る前日に書いた手紙となる。もっと早く手紙を書いておくべきだった・・・。


『世間知らずの旦那様へ

 お手紙拝見しました。

新しくドワーフの女の子と旅をされるそうですね。いいなぁ~。私だってアユムさんと一緒に旅をしたかったです。

浮気の心配はしていないですが、浮気をするぐらいならその女の子も一緒に囲っちゃってくださいね?

 さてここで、何も知らないアユムさんに一つ注意をしておきます。

ドワーフという種族はお酒をとても好んで呑みます。それはもう命の次に大切なものと思っているぐらいです。

特にドワーフの女性は伴侶として人気が高く、将来の相手に求めることは自分よりもお酒が強く、一緒に呑むことができる人。その条件さえ満たせば、どんな相手だろうと簡単に嫁いでいくと言われています。

 いいですか?むやみやたらと呑み比べなんてしないでくださいよ?

万が一勝ってしまった場合どうするんですか?私にもまだ手を出していないくせに勝手にお嫁さんを迎えないでくださいね?それこそ、その子の将来をちゃんと考えてあげた上で勝負を挑んであげてください。


 P.S.私の方が料理上手だと誉めてくれたことは嬉しいです!

                                    知恵袋ラピスより♡』


やっべ~。既に呑み比べしちゃってるよ・・・。

負けたからいいものの、もし俺が勝っていたらナイトさんが嫁いできちゃうのか?


『ん?確か.....主はドワーフと呑み比べをしたのではなかったか?』

「!?」


マズい!ここは誤魔化さないと・・・


「したねー!ズルい手を使ったのに負けちゃったんだよねー( ´∀` )」


オワタ・・・。しかも卑怯な手を使ったことまでバラされた。


『.....ズルい手?どういうことじゃ?卑怯な手段を使ってまで、あのドワーフを手に入れたいと言うのか?』

「ち、違う。俺はそれを断って、代わりに愛名を求めたんだ」


呑み比べで勝つことができたら、ナイトさんが嫁いでくると言っていたのを断って愛名を貰うことにしていた。

愛名が特別なものだとは知っていたが、それでも嫁よりかは別にいいかなって軽い気持ちだった。


『.....愛名を?それは真か?』

「ほ、本当だ」

『.....はぁ。主は本当に何も知らぬのだな。愛名などを貰ってもみよ。一生ドワーフが付いてくるというものじゃ』


.....え!?愛名ってそういうものなの!?


「ま、待て。ラズリさんが言うには、愛名は結婚とか恋人とかとは全然違うと言っていたぞ?」

『ふむ.....なるほど。上手い言い回しじゃな。確かにその通りなのじゃ』

「う、上手い言い回し?」

『確かに夫婦であろうとなかろうと、恋人であろうとなかろうと問題はない。

 ただ一度でもその者に愛名を許したら、一生その者に束縛されるとも言われておる』

「そ、束縛!?」

『詳しくは妾も知らぬ。でも愛名はそう簡単に許してはならぬと、この世界では常識とされておる』


.....えー。なにその不安なシステム。一生束縛しちゃうってどうなん?


ラズリさんとは次回出会ったときに愛名を呼ぶ約束をしている。

あの時、ラズリさんの愛名を呼ぶことを断ったのは正解だったと今なら思える。

まだラズリさんへの気持ちを固めてもいないのに、一生束縛することなんてできない。


.....危うくラズリさんの罠にかかるところだった。きれいな顔をして、本当に油断ならない人だ。


とりあえずナイトさんへの呑み比べ勝負は軽々しくやるべきではないだろう。

愛名だけ貰うとは言ったが、万が一嫁いで来られても困るし・・・。


ラズリさん。情報ありがとうございます!


・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・。


そして最後の手紙には妖狐について書かれていた。

妖狐については助けた翌日に手紙を書いていたから、昨日の手紙の返信ということになる。


『優しい旦那様へ

 お手紙拝見しました。

今度獣人の奴隷を所有することになったとか・・・。正直心配でなりません。

奴隷ですから主人には危害を加えることはできないでしょうが、それでも魔王の手先である獣人とは・・・。十分気を付けてくださいね?

 それと危険度『中』の件ですが、調べたら納得できました。

アユムさんが奴隷とされた妖狐族は非常に珍しい種族で、その昔には神と戦ったことがあるとかなんとか。

神話レベルの話なので、その真偽はわかりませんが十分危険な存在であることには変わりません。

 特徴は何段階にも変化することができ、符というものを使った珍しい術を得意とするらしいです。

知恵にも長け、非常に仲間思いなのだとか。符の一種である結界が特に強力らしいです。

もしアユムさんがその奴隷に心から信頼されるようになれば、これ以上ないほどの味方となるでしょう。

 だからこそ悲しく思います。その子がもし味方となったら、私の存在意義はどこにあるのでしょうか?

アユムさんが探索者のスキルを使える以上、私は探索者としてはお役に立てません。

アユムさんのお世話面もドワーフの子が一緒にいれば、私なんて居ても居なくても問題ないでしょう。

更には唯一の存在意義だったアテナさんを守るという役割も奴隷の子の登場でなくなりました。

 すいません。愚痴っぽくなりましたが、十分気を付けて旅を続けてくださいね。


 P.S.アユムさん人形もついに50体目となりました。

                                不安で心配な妻ラピスより♡』


う~ん。相当悩んでいるな~。

ラズリさんが思っている以上に俺は頼りにしているつもりなんだが・・・。

それとさすがのラズリさんでもやはり獣人は魔王の手先扱いなのか。ちょっと悲しいな。


ラズリさんの住んでいるパレスは完全に人間の町だった。

だから他の種族を当時は一切見なかった。故に知識の偏りも相当なものなんだろう。

それがこの世界での常識なら、俺がとやかく言うつもりはない。つもりはないが・・・。


.....親しい人が差別意識を持っているってのはなんか悲しいものがあるな。


手紙には俺の素直な気持ちを書いておこう。そう決意した。

受け入れてくれと強制するつもりはないが、受け入れてほしいとは思う。


『お?妾のことも書かれておるな』

「気を悪くしないでくれ。ラズリさんは本当は優しい人なんだ」

『そやつが優しいかどうかは知らぬが、そのようなこと妾は一切気にしておらぬ。

 獣人が他の種族から嫌われておるのは知っておるしの。今更すぎるのじゃ』


本当この子は強いな。これで11歳とかマジかよ。精神年齢高すぎだろ!


「ありがとう、助かるよ。ラズリさんは大切な人だから、妖狐も仲良くしてやってくれな?」

『.....む?大切な人?.....そ、それは現地妻ゆえにか?』

「違う。そもそも妻じゃないし。.....でもとても大切な人だ」

『.....す、好いておるのか?』

「そうだなぁ。これが恋と呼べるものかはわからないが.....それでも好きだな」

『・・・』

「どうした?」


妖狐からの答えはない。


怒っている?でも不機嫌なオーラは感じない。

怒っていない?ならなぜ黙ってしまったのか。

こういう時どうしたらいいのかが全くわからない。


年齢=彼女なしの俺には難しすぎる問題だ!


妖狐の態度に俺が困惑していたら、そんな気まずい雰囲気を壊してくれたのは当然こいつだった。


「ねぇーねぇー!私のことはすきー(。´・ω・)?」

「嫌い」

「ありがとうー!歩だいすきー(*´∀`*)」

「なにが!?」


どんな流れでお礼を言われたの!?


「歩はツンデレだからねー!きらいはすきの裏返しだよー( ´∀` )」

「なるほど。じゃあ好き」

「ありがとうー!歩だいすきー(*´∀`*)」

「・・・」


なんと言う図々しさ。どう言ってもプラス思考に捉えるとは・・・。


だからこそ思う。


───ぽふっ。ぽんぽん


「いつもありがとな?いい子のアテナは好きだぞ」

「にへへー(*´∀`*)じゃあ歩は私のことだいすきだねー!だってー、私はいつもえらいもーん!」


頭をぽんぽんされたアテナは、いつものように八重歯を覗かせながらにぱー☆と微笑んだ。かわいい。


ちゃんとしてれば可愛い子なんだよな~。胸大きいし



いつもならアテナに対抗してくるはずの妖狐が今は黙っている。

妖狐の真意は分からないが、俺はアテナ同様「お前もだぞ」の意味を込めて優しくなでてあげた。



ラズリさんの悩みや妖狐の不可解な行動と問題は山積みだが、とにもかくにも俺達は王都へ向けて旅に出ることになった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『アテナ』 レベル:3 危険度:極小


種族:女神

年齢:ーーー

性別:♀


職業:女神

称号:智慧の女神


体力:50

魔力:50

筋力:50

耐久:50

敏捷:50


装備:殺戮の斧


女神ポイント:200340【↑2000】


【一言】馬車はお尻いたくなるからー、コンちゃんは私がぎゅっーってするねー( ´∀` )

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アユムの所持金:64000ルクア【↓10000】

冒険者のランク:A(クリア回数:5回)


このお話の歩数:約95000歩

ここまでの歩数:約17728200歩

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『アユム・マイニチ』 レベル:5955【↑16】


種族:人間

年齢:26

性別:♂


職業:凡人

称号:女神の付き人

所有:妖狐


体力:5965(+5955)【↑16】

魔力:5955(+5955)【↑16】

筋力:5960(+5955)【↑16】

耐久:5960(+5955)【↑16】

敏捷:6215(+5955)【↑16】


装備:旋風の剣(敏捷+200)


技能:言語理解/ステータス/詠唱省略


Lv.1:初級光魔法/初級闇魔法


Lv.2:浄化魔法


Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知/隠密

   偽造/捜索/吸収/治癒魔法/共有

   初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法

   初級土魔法/ 物理耐性/魔法耐性

   状態異常耐性


共有:アイテムボックスLv.3

   パーティー編成Lv.1

   ダンジョンマップLv.3

   検査Lv.3

   造形魔法Lv.3

   奴隷契約Lv.2


固有:ウォーキングLv.5955 353/5956

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次回、誘惑!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今日のひとこま


~大妖怪妖狐族~


「妖狐の一族って本当にすごかったんだな」

「何度も言っておる。妾の祖先は大妖怪なのじゃ!」

「でも神と戦ったことがあるとかはさすがに眉唾物だよな~」

「妾も初めて聞いたのじゃ。もし仮にそれが本当なら、一族の間でも伝承されておるはずなのじゃが・・・」


「と言うか、姉さまは女神様なのであろう?姉さまに真偽を聞けばいいのではないか?」

「あ・・・」

「あ・・・って。まぁ気持ちはわかるがの」

「あいつは最も神にふさわしくない奴だから、女神であることをついつい忘れちゃうんだよな~」


どうやら妖狐もそう思っているらしい。お互い顔を見合わせて苦笑してしまった。


「で?どうなんだ?実際いたのか?」

「いたみたいだねー!随分昔のことだからわすれてたー( ´∀` )」


随分昔ってお前いくつだよ!とのツッコミは今更なしにする。

どうやらアテナはスマホに取り込んだ膨大な知識(笑)から拾ってきたらしい。


「おぉ!マジか!良かったな!妖狐!」

「う、うむ!それで!?それで妾の祖先はどうだったのじゃ!?」

「この九十九尾ってのがそうでしょー?太古の時代にニケが討伐してるねー(o゜ω゜o)」

「「.....え?」」


「尻尾が最初は二十四本だったのにー、九十九本になった途端ものすごく強くなったらしいよー」

「二十四本?」

「成体の一個上の変化なのじゃ。正確には幻獣ではあるがの。

 妾達、妖狐族は尻尾の数で強さが変わるのじゃ。成体は六。幻獣が二十四。神獣が九十九」


あ~。だからきつねは一本で、幼体はニ本なのか。


「神に負けてしまったのは仕方ないとしても、どうして一族の間で伝承されていないんだろうな?」

「うむ。敗れたと言え、相手は神。普通なら誇ってもよいと思うのじゃが・・・」

「そのへんわかるか?アテナ」

「んーとねー、九十九ちゃんってペットになったみたいだねー( ´∀` )それが原因じゃなーい?」


「.....え?ペット?どういうことだ?」

「ニケの一撃で負けを悟ったみたくてー、降参後はアルテミスお姉ちゃんのペットになっているみたいだねー」

「なっているってことは.....まだ生きておるのか?」

「うんー。普通に神界で暮らしているみたいだよー?子孫は下界に降りたみたいだけどねー。

 これねー?もしかしたらー、私とコンちゃんが出会ったのは運命だったのかもねー(*´∀`*)」


ありえそうなのが怖い。

太古の昔に神と争い、その後は神のペットとして生きている大妖怪。

その子孫が今、討伐した神の主神と一緒に旅をしているなんて偶然そうそうないだろう。


それにしても大妖怪を一撃って.....ニケさん半端ないな!


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