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歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~  作者: なつきいろ
第7章 躍進 -乙女豹アルテミス編-
285/349

第227歩目 集結する強者達!


 どうやら削除されずに済みそうですので、再び更新を続けていきたいと思います。



 遂に......いや、ようやくといった感じだろうか。

 別に期待していた訳ではないのだが、魔物の大軍勢が押し寄せてくることとなった。


 副都督より「至急、貴族邸(ほんじん)まで来て欲しい」との要請を受け、俺と『紅蓮の蒼き戦斧』のメンバーは出掛ける準備を始める。

 っと、その前にやっておかなければならないことがあった。


「アテナ達はお留守番な?」


 今回の召集のメインは作戦会議だけだと思う。

 だとすれば、ドールはまだ良いとしても、アテナとモリオンは正直居ないほうが良い。


「なんでー(。´・ω・)?」

「なんでなのだ?」

「いやいや。お前ら、居てもうるさいだけじゃん......」


 しかし、魔動駆輪の中にさえ居れば元気なドールから待ったが掛かる。


「ダメじゃ。何があるかもわからぬのじゃ。妾が共にできぬとあらば、代わりに姉さまを連れていくが良い」

「えー」

「さすがコンちゃん、わかってるー! 歩一人でおいしーもの食べよーったってー、そーはいかないからねーヽ(o・`3・o)ノ」


「「......」」


 呆れ果ててものも言えない。

 魔物が押し寄せてきているこの状況下で、どう考えたらそういう思考になるのか......。


「ア......ア......お姉ちゃんだけズルいのだ!」

「ふっふーん! いーでしょー! モーちゃんはお留守番だからねー ┐(´ー`)┌」


 更には、お留守番ということで地団駄踏んで悔しがっている末妹(モリオン)を前に、煽るかの如く長姉らしからぬ姿を見せるアテナ。


 俺は白い目をアテナに───ではなく、ドールに向けた。


「......”これ”を連れていけと?」

「......それでもじゃ。それでも、”これ”を連れていくが良い。少しは役に立つであろう」

「誰が”これ”よーヽ(`Д´#)ノ」


 お前なんか”これ”で十分だろッ!

 


 ※※※※※



 貴族邸に着いた。

 俺達の到着を待ち構えていた使用人に案内されるがままに、後をついていく。


「いいか? 絶対に大人しくしていろよ?」

「だーいじょぶだってー! あーははははは( ´∀` )」


 俺の背中に抱き着いている───いや、首にぶら下がっていると表現したほうが正確なアテナに念を押すことを忘れない。


 結局、(嫌だったのだが)”これ”を連れていくことになってしまった。

 俺を心配するドールの気持ちに押しきられた形だ。


「またタランチュラ飴もーらおー(*´μ`*)」

「......」


 本当に先行き不安でしかないんだけど!?


 ・・・。


 使用人に案内されたのは、以前挨拶に伺った際に通された副都督の政務室だ。

 俺は案内してくれた使用人に礼を述べて、早々に政務室の中へと入る。


「竜殺し様、お待ちしておりました」


 すると、俺の姿を見つけるなりニカッと豪快に笑う一人のドワーフ。


 この人こそが、モートマ伯爵の片腕にして信頼厚き腹心である副都督その人だ。

 性は気さくかつ剛胆。鍛えられた鋼の筋肉と立派な髭をたくわえている。

 周りからは「若りし頃のモートマ伯爵にそっくりだ」と囁かれている壮年の貴族である。


「『竜殺し』、参りました」

「同じく、『紅蓮の蒼き戦斧』参上致しました」


 俺と『紅蓮の蒼き戦斧』のメンバーは素早く拝謁を賜るポーズ(※顎を少し引くように頭を伏せ、右手の拳をグーの形にして左胸に添え、片膝をつく仕草)をとる。


 一応、俺は副都督よりも身分は上なのだが、拝謁を賜る仕草はしたほうが良いだろう。

 この世界では、これが正解なのかどうかは分からないが。


「おいおいおい。あれが噂の竜殺し様か? 思っていたのとは大分違うな」

「なんで跪いてるんだ? というか、なんだか普通のおっさんじゃね?」

「ばーか。能ある鷹は爪を隠すってやつだろ? 謙遜されてるんだよ、きっと」

「ふーん、あれが......」

「あれが噂の竜殺し? まぁ、確かに典型的な日本人ではあるよね」


 だが、そんな俺を見て、ざわめきだす部屋の中に居た人々。


(これは......やっちまったか?)


 この場の最高責任者は副都督その人である。

 日本式で考えれば、所謂”チームリーダー”ということになる。


 だったら、身分うんぬんは別にしても、()()()()()()拝謁を賜る仕草を行うのは当然のことだと思ったのだが......。


「りゅ、竜殺し様! 面を上げてください! いまだ軽輩の我が身、そう畏まられては畏れ多くもあります!」

「......では、お言葉に甘えまして」


 どうやら、やっちまったらしい。

 貴族の作法というやつは本当に厄介なものだ。


(このめんどくささ、日本語に通じるものがあるよなぁ......)


 日本語はその場その場で、尊敬語、謙譲語、丁寧語などを使い分ける必要があるため言葉数も非常に多く、世界一難しい言語だと言われている。

 まさにその厄介さが貴族の作法のそれに通じていて、とてもめんどくさい。


「ささ、竜殺し様はこちらのお席にどうぞ」

「はぁ」


 内心、貴族の作法のめんどくささに辟易しつつも、勧められるがままに席に着く。


(......ん?)


 ただ、何故に俺の席が副都督の隣(=上座)なのだろうか。

 なんだか、”いかにも”といった感じの者が居るが、本当に良いのだろうか。


(まぁ、これが貴族の作法だというのなら、そういうものなのだろうと思ってやり過ごす他はないよなぁ......HAHAHA)


 こうして、作戦会議は粛々と行われることとなった。



 ※※※※※



「きんたまー(。´・ω・)?」

「”金鎌(きんがま)”な」


───ざわざわざわ

───ざわざわざわ


 アテナの「きんたまー(。´・ω・)?」発言で吹き出す人々。

 いや、正確には一部を除いてなのだが......。



 作戦会議は集まった強者達の紹介から始まることとなった。


 当然だ。

『竜殺し』を知っている強者達はともかく、俺は知らないやつらが多すぎる。


「だってー、そー聞こえたんだもーん(´-ε -`)」

「黙ってろ、クソ駄女神」

「~~~~~ッ!」

「......本当に申し訳ない。こいつはこういうやつなので」


 そして、最初に紹介されたのが『漆黒の疾き金鎌』だったという訳だ。


 だが、アテナの言うことも分からなくはない。

 実際、俺も”きんたま”というふうに聞こえてしまっていたのだから......。


 ただ、周りが「あいつらが、あの有名な『漆黒の疾き金鎌』か?」と囁いていたのを運良く耳にすることができたからこそ、”きんたま”疑惑が解消されたに過ぎない。


「はんッ! 陣中にまで女を連れてくるとは、いい御身分ですなぁ、竜殺し様?」

「とーぜーん! 私の歩だからねー(`・ω・´)」

「誰がお前のだ!......というか、ちっとも誉められていないからな?」

「てかさー、おじさん達とは格が違うんだよー、格がさー┐(´ー`)┌」

「~~~~~ッ!」

「本当に黙ってて!?」


 まぁ、格が違うというのはその通りではあるのだが......。


 俺は『竜殺し』であって、爵位は名誉伯爵でもある。

 一方、『漆黒の疾き金鎌』のメンバーはSランカーの冒険者でしかない。


 故に、アテナの言っていることは間違いではない。

 そう、間違いではないのだが......。


(それを面と向かって言ってしまう辺りがアテナクオリティなんだよなぁ)


 とりあえず、アテナがやかましいので、副都督の厚意によって用意してもらったタランチュラ飴をアテナの口にぶちこんで黙らせる。


「おいしーねー(*´μ`*)」

「......」


 本当においしそうにタランチュラ飴を頬張るアテナ。


 まるで子供のようにきゃっきゃとはしゃいでるその姿は、緊迫した今の状況下では一種の清涼剤となっている。まぁ、そもそも、この緊迫した状況を作り出した元凶はアテナ本人ではあるのだが......HAHAHA。


(アテナのほうはこれでいいか。それよりも......)


 気になるのは、『漆黒の疾き金鎌』のメンバーが怒り狂った血走った目をアテナに───ではなく、何故か俺に向けてきていることだ。

 

 恐らく───いや、間違いなく逆恨みの類いだろう。

 こういう時、その怒りの対象が美少女ではなく連れに向けられるのは最早テンプレの一つだ。


(ハァ......。今は仲間内で歪み合っている場合じゃないだろ?)


 魔物の大軍が差し迫っているというこの状況下で、この有り様。

 正直、げんなりする。もっと緊張感を持って欲しい。


(それとも、魔物の大軍なんて大したことないってか?)


 そもそもの話、『漆黒の疾き金鎌』のメンバーにも少なからず非はあると思う。

 つまり、俺やアテナが”金鎌”を”きんたま”と聞き間違えた原因があるということだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『漆黒の疾き金鎌』


『紅蓮の蒼き戦斧』同様、冒険者の間では割りと知られたSランク冒険者PTだ。

 そして、知名度だけではなく、その実力もSSランクPTに匹敵すると噂されている。


 所謂、『紅蓮の蒼き戦斧』と同じで傭兵業を生業としている集団である。


 メンバーはきっちり男6人、全身黒ずくめのマントを羽織っている。

 一見すると暗殺者風と言ってもいいかもしれない風体だ。

 当然といえば当然だが、暗殺者風を装っている為、顔も布で覆われている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 つまり、何を言いたいかと言うと───。


(声がくぐもっていて聞き取りづらいんだよ、ハゲッ!!)


 ということだ。


 別に、暗殺者風を気取るのは全然いい。

 そういうロールプレイを楽しむのは大いに結構。


 だが、人に挨拶する時にまでロールプレイ(=顔を布で覆ったまま)を気取っているのは如何なものかと思われる。


 あれだ、あれ。

 相手のご両親に挨拶に伺った際に、帽子を被ったままで挨拶するに等しい行為だ。


(カッパじゃないんだから、布ぐらいは取れやッ!)


 なんとも嫌な気持ちになりながら、お互いの紹介は波乱の幕開けとなった。



 ※※※※※



 今この場には世界的にも有名な冒険者PTが三組も勢揃いしている。


 一組は俺と共にやってきた男女混成PTの『紅蓮の蒼き戦斧』。

 もう一組は先程紹介された男だけのPTである『漆黒の疾き金鎌』。


 そして、最後のPTというのが───。


「え、えっと......なんでしょうか?」

「......」

 

 無言で、俺を観察するかの如くひたすら見つめる一人の大女。


(......で、でけー!)


 ”何”が、とは言わない。

 確かに”何”も大きくはあるのだが、それ以上に上背がある。


 俺はこれでも178cmはある。

 大きいとは決して言えないだろうが、それでも小さくもないといった感じだ。


(......ごくッ)


 そんな俺とほぼ同じ目線で───いや、少し高めの位置にて見下ろしている大女。

 この人こそが『白蓮(しらはす)の燃ゆる桃蕾(ももつぼみ)』のリーダー、その人である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『白蓮の燃ゆる桃蕾』


 先の二組同様、冒険者の間では割りと知られたSランク冒険者PTだ。

 そして、知名度だけではなく、その実力もSSランクPTに匹敵すると噂されている。


 所謂、傭兵業を生業としている集団である。

 但し、『白蓮の燃ゆる桃蕾』に関しては、その行動範囲はカルディア王国限定らしい。


 メンバーはきっちり女6人、俗に言うアマゾネスと呼ばれる方々だ。

 アマゾネスらしく、肌の露出が多い、とても扇情的な格好をしている。

 なんでも、カルディア王国に存在する『女村ルーニ』出身の方々なんだとか。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふーん」

「......」


 そんな『白蓮の燃ゆる桃蕾』のリーダーが、瞳を怪しく光らせペロリッと舌なめずり。


 その姿は......なんというか、とても魅惑的で、とても怖い。

 アルテミス様の時にも感じた、猟奇的な魅力と怖さを同時に感じる。


「......思った以上に良い男だね」

「......はい?」

「あたいは『白蓮の燃ゆる桃蕾』のリーダーさ。よろしくな! 竜殺し様!」

「こ、こちらこそよろしくお願いします」


 なにやら不穏な言葉も聞こえた気がしたが......。

 先程の『漆黒の疾き金鎌』とは違って、どうやら歓迎されてはいるようだ。


『白蓮の燃ゆる桃蕾』のリーダーが笑顔で右手を差し出してきたので、俺もそれに応えようと右手を差し出す。


 すると───。


「あれ?」


 握手しようとその時、差し出した俺の右手が空を切る。

 そして、次の瞬間には目の前でバチッと火花が飛ぶこととなった。


「へー。ズッシリとしていて、これは......なかなか良いね」

「ひゃん!?」


 感じるのは下から突き上げてくる強烈な痛み。

 よもや握り潰されてしまうかという恐怖と男の子の悲鳴だけだ。

 

「かわいい声出すじゃないか! カッカッカ!」

「おぅふ......。ど、どこを握って───」

「気に入った! 竜殺し様、この戦いが終わったら『ルーニ』まで来な!」

「はぁ!?」


 地獄の苦しみ(───いや、ちょっとは気持ちよかったけどさ?)から解放されて、ようやく一息付けると思ったら、この急展開。

 正直、事態を呑み込めないというか、なんというか......。


「う、嘘でしょ!? あのリーダーが!?」

「ちゃっかりと自分のものだとマーキングしてるよ......」

「......(ごくッ)。リ、リーダーが認めたとなると、俄然興味が沸くねぇ」

「やめときなって。勝手に手を出したりしたら、リーダーに殺されるよ?」

「......おいしそう。おこぼれでも良いから食べてみたい」


「......」


 ただ、『白蓮の燃ゆる桃蕾』のメンバーの様子を窺うに、なんとなくだが「そういうことなのかぁ......」と、状況を察することができる。


「えっと......念の為に伺いますが、何故俺を?」

「あん? そんなもの決まってるだろ? 種馬さ、種馬」

「で、ですよねー」

「あたいを孕ませてくれたら、後は勝手にしな。あたいは強い男の種が欲しいだけだからね。カッカッカ!」

「......」


 そう言って、自らのお腹をパンパンと叩いて豪快に笑う『白蓮の燃ゆる桃蕾』のリーダー。

 

 アマゾネスの一族だと紹介されたから、そうなのかなとは思っていたが......。

 俺ではなく、俺の種が欲しいだけとは、思った以上にそのまんまだった。


(これ、ドールが居なくて正解だったな。ブチギレ案件だぞ?)


 同じように俺との間に子供を望むドールが聞いていたら、きっと激怒していたことだろう。


 ただ、どちらも俺への愛情が欠けているとは言え、ドールにはまだ忠誠心という感情がある分、『白蓮の燃ゆる桃蕾』のリーダーよりかは幾分マシなのかもしれない。


(......いや、忠誠心も本能も同じようなものか?)


 まぁ、どちらにしてもお断り案件には変わらない。

 気持ちは大変嬉しいが、ここはきっぱりとお断りしよう。


 しかし、そんな俺の様子を見て、『白蓮の燃ゆる桃蕾』のリーダーがポツリ。


「なんだったら、今からするかい?」

「はぁ!?」

「もう我慢できないんだろ?」

「どんな勘違いしているんですか!?」

 

 俺と『白蓮の燃ゆる桃蕾』のリーダーのやりとりを見て、苦笑いしている副都督の微妙そうな表情がとても印象的だった。



 それぞれのPTリーダーのステータス一覧です。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『紅蓮の蒼き戦斧』(Sランク) レベル:352


種族:人間

年齢:26

性別:♂


職業:盗賊(レンジャー)

称号:なし


体力:10200

魔力:8800

筋力:9900

耐久:9500

敏捷:10000

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『漆黒の疾き金鎌』(Sランク) レベル:348


種族:人間

年齢:33

性別:♂


職業:暗殺者

称号:なし


体力:8100

魔力:9800

筋力:10000

耐久:8800

敏捷:11000

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『白蓮の燃ゆる桃蕾』(Sランク) レベル:379


種族:人間

年齢:24

性別:♀


職業:狂戦士

称号:なし


体力:12500

魔力:0

筋力:12200

耐久:12200

敏捷:9800

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