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歩くだけでレベルアップ!~駄女神と一緒に異世界旅行~  作者: なつきいろ
第7章 躍進 -乙女豹アルテミス編-
283/349

第225歩目 紅蓮の蒼き戦斧!


 前回までのあらすじ


 魔物の軍勢は思った以上に根が深い!?



『紅蓮の蒼き戦斧』


 俺は聞いたことはないが、冒険者の間では割りと知られたSランク冒険者PTだ。

 その実力はSSランクPTにも匹敵すると噂されている。


 現に、各国の貴族達からは「『紅蓮の蒼き戦斧』メンバーを自国の騎士または自領の騎士として召し抱えたい」とまで熱望されていることから、その実力のほどは本物なのだろう。


 そんな『紅蓮の蒼き戦斧』のメンバー構成は───。


 リーダーである盗賊(レンジャー)の『カクタス』。26歳男、好青年。

 ヒーラーである僧侶(クレリック)の『ルチル』。42歳男、牧師様風。

 タンクである守護者(パラディン)の『ケセラ』。28歳女、気が強そう。

 アタッカーである魔法使いの『ジャスパー』。18歳女、どこか陰あり。


 の4人PTで、以前ラズリさんが教えてくれたPT編成から鑑みると、攻守や男女比率から見てもバランスの取れた良いPTとも言える。

 

 さて、そんな彼らは普通の冒険者とは一風変わっている。

 ダンジョンには潜らずに、主に傭兵稼業を生業としているからだ。

 山賊退治に、商人や要人の警護、果ては戦争なんかにも参加したりするなどなど。

 気に入った依頼さえあれば、国を越えてでも喜んで受けに行く流れの集団である。


 国などには属さない。

 国の為という理由では働かない。


 そんな自分達の信じる価値観だけで動く無頼漢な者の集まり。


「それが、我ら『紅蓮の蒼き戦斧』というPTなんです」

「へぇ。それはまた凄いですね」


 勘違いしがちだが、冒険者とはその国の兵でもなければ戦力でもなんでもない。


 冒険者ギルドはシンフォニア共和国から各国に派遣された機関だ。

 ということは、そのギルドから誕生した冒険者とは、突き詰めていけばシンフォニア共和国に属している者達ということになる。


 だから、国の方針や命令などは聞く必要が無ければ従う必要なども全く無い。


 ただ、それでは色々と問題が起こってしまうのは想像に難くはないと思う。

 故に、ギルド側から冒険者達に対して、お願いという形のもとで国に属すよう促している訳だ。


(まぁ、そういう事情なら『紅蓮の蒼き戦斧』みたいな連中が出てきても何らおかしくはないわな)


 冒険者であるのに、ギルドの意向には従わない。

 しかし、冒険者の称号を剥奪するには惜しい実力者でもある。


 そこでなされた処置というのが、ランクアップ見送りという結果らしい。


「ランクアップ特典はとても魅力的ですが......それでも我らは自由を選びました」

「でも、俺が聞いた話では『紅蓮の蒼き戦斧』の皆さんは相当なご活躍をされているとか。それでもランクアップできないんですか?」

「ギルドからは「まずギルド側の意向に従え。話はそれからだ」と言われています」

「おおぅ......」


 なんだろう?

 地球式のめんどくささがちらほらと見え隠れしているような......。


「そんな自由な『紅蓮の蒼き戦斧』の皆さんがどうしてここに?」


 いや、モートマ伯爵からの依頼を受けたからってのは分かっているんだけどね?

 数多くある依頼の内、どうしてこの依頼を受ける気になったのかが気になる。


「そんなの報酬が良いからに決まっているじゃないですか!」

「えぇ......」


(結局、金かよッ!)


 ギルドの意向を無視してまで自由を選んだ『紅蓮の蒼き戦斧』のメンバーだ。

 義侠心や正義感に駆られた、とかいう理由では決してないとは思っていたが......。


「旨いものを食べ、良い女を抱く。これぞ冒険者の醍醐味じゃないですか!」


 こう語るのは『紅蓮の蒼き戦斧』のリーダーであるカクタスさん。


「拙僧は貧しい子供達への寄付金の為なれば」

「あたしゃ、良い装備品が欲しいからねぇ。金はいくらあっても足りないくらいさ」

「..................欲しいものある」


 続いて、ルチルさん、ケセラさん、ジャスパーさんと続いていく。


「......」


 それにしても、見事なまでの私利私欲っぷりだ。

 変に偽善者ぶるよりもかえって清々しいぐらいである。


(いや、ルチルさんだけはご立派な目的だけれどもさ?)


 考えてみれば、冒険者とは本来こういう存在なのかもしれない。

 ギルドによって見事に統制されているからこそ気付きにくかった冒険者の本質。


 それは自由。

 冒険者は自由であってこそ冒険者なんだと思う。


(......俺はどうだ? 自由か?)


「竜殺し様は勇者様であるのに、なぜ冒険者を?」

「え?」


 カクタスさんからの突然の質問に戸惑う。


 勇者は勇者だ。別に冒険者になる必要性は全くない。

 それこそ、この世界であらば能力次第では何にでもなれる。


 では、「なぜ敢えて冒険者になったのか?」と、カクタスさんはそう聞きたいのだろう。


「きっと、世界平和が目的でありましょうな」

「んなもん、正義の為だろ? 竜殺し様はあたし達とは人間の出来が違うんだよ」

「..................勇者様の使命」


 勝手にそう納得していく『紅蓮の蒼き戦斧』のメンバー。


 そして、俺が出した答えは───。


「えっと、生活費を稼ぐ為......ですかね?」

「「「「......」」」」


『紅蓮の蒼き戦斧』のメンバーからの「あ、うん......」みたいな視線が突き刺さる。


「......」


 ヤバい。泣きたくなってきた。



 そんな目で見ないでください!

 自由が無い冒険者だって(ここに)居るんですよ!!



 ※※※※※



 モートマ伯爵への簡単な挨拶を済ませ、俺達は『紅蓮の蒼き戦斧』のメンバーと共に『開発第二都市サーマル』へとやってきた。


挿絵(By みてみん)


 通常、ゲルゴナからサーマルまでは馬車で6ヶ月程かかる道のりらしいのだが───。


「はへー。すごい技術もあったものですね......」


 驚くべきことに、いつの間にか一瞬で移動してしまっていた。


(これが、ギルド秘蔵の所謂【転移魔法】というやつか!?)


 しかし、魔法を使用したようには感じられなかった。

 うーむ。どうやって移動したのかが全く分からない。


「「はへー」だってー! 歩、変な声ー! あーははははは( ´∀` )」

「......」


 ただ、モートマ伯爵に「必ず冒険者ギルドに立ち寄るように」と言われ、それに従ったら「痛くしませんから」などと怪しげなことを言われた上に、突然目隠しをされて小一時間程歩かされたのだけはハッキリと覚えている。


 そして、目隠しを外されたら、そこはサーマルだったというオチだ。


 これからして、冒険者ギルドが何かしらの秘匿技術を擁しているのは明白である。

 正直、それが何なのか知りたい気持ちはあるのだが......。


(英雄と謳われている『竜殺し』の俺でさえ目隠しをされたということは、俺達には知られたくない技術だということだよな?)


 となれば、君子危うきに近寄らず。

 余計な詮索は身の破滅へと繋がりかねない。


「アユム! アユム! どうやって移動したのだ!? 我が飛ぶよりもずっと早いのだ! すごいのだ!!」


 モリオンから向けられる期待の眼差しがこそばゆい。

 きっと、モリオンの中の俺はなんでもできる凄い人だと思われているんだろう。


 まぁ、俺もモリオンと一緒に目隠しをされていたんだけどね?

 

「そんなのー、【転移魔法】以外に───」

「余計な詮索をしてんじゃねぇ!」

「Σ(・ω・*ノ)ノ」


 君子危うきに近寄らずだって言ってるだろ、クソ駄女神!



 ※※※※※



 時刻は既に夕刻。

 詳しい戦況は明日ということで、副都督への挨拶は簡素ながらに済むこととなった。


「んー! 名産品の『タランチュラ飴』おいしいねー(*´μ`*)」

「そ、そうか......」


 ちなみに、副都督はモートマ伯爵の代理であり腹心というだけのことはある。

 気さくかつ剛胆で、なんでも年頃の娘さんがいるらしく、アテナ達にも優しかった。


(きっと、モートマ伯爵の若い頃もこんな感じだったんだろうなぁ)


「おみやげもいっーぱいもらったのだ!」

「おみやげじゃなくて、お詫びの品な?」


 そんな男気溢れる副都督より、なぜお詫びの品をもらったかというと───。


 今回の魔物の大軍勢の侵攻を抑えるべく、モートマ伯爵はそうそうたる顔触れを続々とサーマルに招集しているらしい。

 俺や『紅蓮の蒼き戦斧』のメンバーなどが良い例だ。


 そして、それらの方々に領主邸の空き部屋を惜しみなく提供しているんだとか。


(まぁ、命を張って魔物と戦ってもらう訳なのだから、招集した以上はそれぐらいのおもてなしがあっても当たり前なのかもしれないなぁ)


 しかし、部屋数にも限りがある。


 結果、領主邸の空き部屋はいっぱいとなってしまって、俺達に提供できる部屋が無くなってしまったとのこと。

 そこで副都督より言われたのが、城下町の宿を利用して欲しいということだった。


「信じられるかい!? あたし達はともかく、竜殺し様を城下町の宿だよ!?」

「..................すごく失礼」

「まだ怒ってんのかよ。いい加減諦めろ」

「理由が理由だけに仕方がありますまい」


『紅蓮の蒼き戦斧』の女性陣は大層ご立腹だ。

 一方、男性陣は仕方がないものと受け入れている。


 こうして見ると、『紅蓮の蒼き戦斧』は女性陣のほうが血の気が多いらしい。


「その理由が気に喰わないって言ってんだよ! なーにが平等だい! 竜殺し様は人類の英雄だよ? 平等もへったくれもないだろ!」

「..................待遇の改善を要求する」

「......やれやれ」

「......執念、恐るべしですな」


 ケセラさん、ジャスパーさんが怒る気持ちも分からなくはない。

 PTの(かなめ)を担っている二人にとって『竜殺し』とはそれだけで憧れなのだろう。


 その憧れである『竜殺し』を城下町の宿に追いやる......。

 

 きっと我慢できないほどの侮辱にあたるのかもしれない。

 なんなら、今部屋に滞在させている連中を城下町の宿に泊まらせたらいい、と思っているぐらいには。


 しかし、副都督曰く。

「救援に駆けつけて頂いた方々は貴賤に関係なく等しく扱う」とのこと。


 この身分至上主義世界ではなかなか無い素晴らしい考えだと思う。

 

「現実逃避はやめんしゃーいΣヾ(´∀`*」

「う"ッ!?」


 アテナの言う通りだ。

 二人が俺の為に怒ってくれているという悲しい現実逃避(おもいこみ)はここまでにしよう。


 ケセラさん、ジャスパーさんが怒っている本当の理由は別のところにある。

 それは、女性の一級冒険者だからこその怒りとも言える。


 では、その怒りの原因は何かというと───。


「竜殺し様はどこで宿を取られるおつもりですか?」

「俺達は魔動駆輪がありますので、そちらで休みますよ」

「すごく良さそうな魔動駆輪でしたもんね。羨ましいです」

「ありがとうございます。自慢の逸品なんです」


 自分の魔動駆輪(マイホーム)を誉められるのは嬉しいものだ。

 誉められたことを教えれば、サクラもきっと喜ぶことだろう。


「ねー! 温泉もあってさいこーなんだよねー(〃ω〃)」

「なのだ! おっきいお風呂は最高なのだ!」

「「温泉!?」」


 ケセラさん、ジャスパーさんの瞳が妖しく光る。

 

「ジャ、ジャスパー? お、温泉だってさ。......ヤバくね、マジでヤバいよ」

「..................うん。本当にヤバい」


 二人のごくりッと唾を呑む音がこちらにまで聞こえてきた。

 まるで禁断症状が発症したかのように、体がぷるぷると小刻みに震えてもいる。


(そ、それほどまでなのか......)

 

 そう、彼女らの怒りの原因はお風呂にあった。


 当然、領主邸に泊まれなかった冒険者は俺達だけに(とど)まらない。

 招集している人数に比例して、それが増えることは想像に難くは無いと思う。


 では、そのような冒険者はどこに宿泊するのか?


「はい、なのだ!」

「モリオン、どうした?」

「お風呂のある宿に泊まればいいのだ!」

「うん、そうだなぁ」


 モリオンは相変わらずおバカだった。


 招集されている冒険者はいずれも名だたる冒険者である。

 となると、当然、最高のもてなしを求めて高級宿に宿泊するのは自明の理だ。


 しかも、副都督曰く、「宿泊費はモートマ伯爵持ち」らしいので尚更である。


 そうなると、自然と(お風呂付きの)高級宿も満室状態となってしまう。

 それに、サーマルは今回のような魔物の大軍勢の襲撃を想定した都市でもなんでもないので、高級宿の数も全く足りていない。


 結果、『紅蓮の蒼き戦斧』のメンバーは風呂の無い(下級または中級)宿に泊まらざるを得なくなったという訳だ。


「はいはーい( ´∀` )」

「今度はアテナか。どうした?」

「お風呂が無いならー、お風呂を作っちゃばいいじゃなーい(`・ω・´)」

「お風呂アントワネットかッ!」


 アテナは相変わらず馬鹿だった。


 だからこそ、ケセラさんとジャスパーさんは、あわよくば『竜殺し』特権でお風呂のある領主邸に泊まれるかもしれない俺達と同じ部屋に滞在しようと目論んでいた。


 ただ、その宛が外れた上に、高級宿も全滅ときたもんだからブチ切れていたという訳だ。


(俺の為に怒ってくれていたという訳じゃないんだよなぁ......。HAHAHA)


『紅蓮の蒼き戦斧』のメンバーも第一線級の冒険者である。

 恐らくだが、普段から高級宿───ひいてはお風呂を利用しているに違いない。


 それが、いつ終わるとも分からない戦場な上に、お風呂無しときたら......。


 男性側からしたら大した問題ではないのだろうが、女性側からしたら大問題だろう。

 特に、お風呂の魅力を知ってしまったケセラさんやジャスパーさんからしてみれば由々しき事態だ。


(要は、舌が肥えた───いや、わがままになってしまったということだな、うん)


 ・・・。


 しばらくすると、ケセラさんとジャスパーさんに変化が見られた。

 まるで示し合わせたかのように、俺にすり寄ってきている。


 そして───。

 

「あ、あのさぁ、竜殺し様ぁ?」

「..................にゃん」

「ぶふっ!?」


(あからさまな猫なで声はやめい!......というか、ジャスパーさんは猫なで声ですらないし!!)


 きっと、男を誘惑するなんてこと一度たりともしたことが───。

 いや、考えたことすらもないんだろう。


 二人の、あまりにも下手くそな演技に思わず吹いてしまった。

 ここまで男の誘惑が下手くそな人達はそうそういないと思う。


(いや、娼婦と違って、冒険者という立場なら仕方がないのかもしれないな)


 とも思ったが、そんなことはなかった。


 少なくとも、以前一緒に旅をした護衛仲間のお姉さん達はとても淫靡な方達だった。

 そういう点で言うと、ケセラさんとジャスパーさんは根っからの冒険者なんだろう。


「いやいやいや。竜殺し様、こいつらは単に女を捨てているだけなんですよ。そのくせ、風呂がなんだとわがままばかり。本当に困った奴らです」


「風呂はともかく、もう少しおしとやかさを身に付けるべきだと拙僧も思いますな」


 女性陣の行動を見て、「やれやれ」と深い溜め息を吐くカクタスさんとルチルさん。

 そんな男性陣を見て、まるで親の仇でも取るかのような憤怒の眼差しを向けているケセラさんとジャスパーさん。


(あ、これ。この後の展開が分かるやつだ......)


 俺はおいしそうに『タランチュラ飴』をぺろぺろと嘗めているアテナとモリオンを連れて、この場からソッと離れた。


 今は魔物の大軍勢が押し寄せてくる前───。

 つまり、嵐の前の静けさだというのに、ここにはまもなく嵐がやってくる。


 そう、ケセラさんとジャスパーさんの激怒とも言うべき嵐が......。


 ・・・。


 そして、遂にその時がきた。


「ふッッッざけんじゃないわよ!!! この甲斐性無しどもが!!!......ジャスパー!! この甲斐性無しどもを『フロッグ饅頭』のようにこんがりと焼いてやんな!! 幾分マシになるだろうさ!!」


「..................了解。骨すらも残さずに焼き尽くす」


「焼き尽くしたらダメですよね!?」


 俺は盛大にツッコミを入れつつ、ケセラさんとジャスパーさんにどう言葉を掛けたらいいのか大いに迷うのだった。



(さて、どうしたもんかな? 悪い人達じゃないんだよなぁ)





 次回、本編『初めての訪問!?』!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 今日のひとこま


 ~サーマル名産品『タランチュラ飴』~


「......(ぺろぺろぺろ)モーちゃーん、おいしいねー(*´μ`*)」

「......(ぺろぺろぺろ)おいしいのだ!」

「......」

「アユムは食べないのだ?」


「......いらない」

「......(ぺろぺろぺろ)こーんなにおいしいのにねー(*´μ`*)」

「......(ぺろぺろぺろ)そうなのだ! こーんなにおいしいのだ!」

「そ、そうか」


『タランチュラ飴』はサーマルの名産品だ。

 ペロペロキャンディのキャンディ部分が蜘蛛の姿にそっくりなゲテモノお菓子。


 うん。多分キャンディだと思う。

 きっと蜘蛛の部分はキャンディに違いない。HAHAHA。


「ド、ドールも食べてみたいか?」

「..................今は気持ち悪くて無理じゃな」

「今は、ね......」

「..................何を首を傾げておるのじゃ?......単なる菓子ではないか」


「単なる菓子......? これが、か?」

「......(ぺろぺろぺろ)あまーいお菓子だよねー(*´μ`*)」

「......(ぺろぺろぺろ)あまーいお菓子なのだ!」

「お、おぅ。これが甘いね......ちなみに、どんな食感なんだ?」


「しゃきしゃきしてるよー(・ω・´*)」

「飴なのにシャキシャキ!?」

「ヒリヒリするのだ!」

「飴なのにヒリヒリ!?」


 ・・・。

 ダメだ。食べてみたいなどと思う気力が全く沸かない。


「な、なぁ? 一つ聞いていいか?」

「......(ぺろぺろぺろ)んー? なにー(。´・ω・)?」

「......(ぺろぺろぺろ)なんなのだ?」

「お前らって虫系統は嫌いだったよな?......それは大丈夫なのか?」


「(´・ω・`)」

「のだ?」

「蜘蛛って虫......ではないが、虫みたいなもんだぞ? 平気なのか?」

「「......」」


「なーに言ってるのー! 『タランチュラ飴』はお菓子でしょー ┐(´ー`)┌」

「そうなのだ! 『タランチュラ飴』はお菓子なのだ! お菓子は食べるものなのだ!」

「いや、そうじゃなくて、見た目的にさ......」

「「......」」


「なーに言ってるのー! 『タランチュラ飴』の味はお菓子でしょー ┐(´ー`)┌」

「そうなのだ! 『タランチュラ飴』の味はお菓子なのだ! お菓子は食べるものなのだ!」

「いや、味じゃなくて、見た目的にさ......」

「「......」」


「なーに言ってるのー! 『タランチュラ飴』は名産品でしょー ┐(´ー`)┌」

「そうなのだ! 『タランチュラ飴』はめいさんひんなのだ!......めいさんひんってなんなのだ?」

「いや、名産品じゃなくて、見た目的にさ......というか、現実逃避してるのはお前らのほうだろ!」

「「......」」


 おぃ。その「要らんことを思い出させるな!」みたいな目はやめろ!

 


 その後、『タランチュラ飴』はドールが全ておいしく戴きました。

 

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