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第186歩目 女神と奴隷!最強神vs最強種①

前回までのあらすじ


ヘリオドールの想いは熱く滾っているようです!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『最強神vs最強種』は短く分けて3部構成予定です。


最近は10000字越えることが多かったですしね。

恐らく、1話5000以内が読みやすい.....?


 

「では、早速死合いましょうか」


 そこには嬉々としたニケさんの姿があった。


 それはもうとても喜んでいる。

 但し、どういう意味で喜んでいるのかは.....。



 どうしてこうなった!?



 時は少し前まで遡る。



□□□□ ~主神の怒り~ □□□□


※※※※※※※※※※※※※※※※※

 神々に仇なすゴキブリを滅殺せよ

※※※※※※※※※※※※※※※※※


 空には暗雲が立ち込め、雨などが降っていないにも関わらず、上空には龍の雷が舞い狂う。


 この自然現象とは全く異なる異様な光景は、人々の間では神々による神託の予兆だと伝えられている。

 しかし、その実態は、神々が地上に降臨される時の一種のパフォーマンスなのである。


 つまり、神々にとってみれば単なるお遊びにも近いものだ。


 そんな雷鳴が轟き、人々が傾聴する中、ある一つの神託が為された。

 そして、この神託が為された以上、()()()()()()()()()()()ゴキブリは神敵と見なされることになる。


 そう、神敵となった以上は生態系が崩れようとも狩り尽くされてしまう運命なのだ。南無~。


 ・・・。


 今日は待ちに待ったニケさんとのデートの日だ。

 そして、今の俺はとても絶好調である。


「俺、今回のデート中に、ニケさんとキスするんだ.....」


 この程度の死亡フラグぐらいなら、パッキパキとへし折れるぐらいにはやる気に満ちている。


 当然だ。


 だって、7日間あるデートの間で、ニケさんとキスをするつもりでいるからな。

 いつニケさんとキスしても大丈夫なように、普段より3回も多く歯磨きをしてきたぐらいだ。まだ若干不安はあるものの問題ないだろう。あぁ、ブレ○ケアさえあれば.....。


 それに、昨日は思いっきりストレスを発散させることができた。

 どうやって発散させたのか詳細は省くが、敢えてヒントを出すとしたら、とある店が出禁になったということぐらいだろうか。HAHAHA。



 そんなニケさんとの待ち合わせは朝の9時。

 その時間に合わせて、俺達は教会へとやってきていた。


 そして、そこに神託が為されたという訳だ。

 それはつまり.....。


「歩様。ニケ、参りました」


 俺の目の前に現れたのは一人の女神様。

 当然、その女神様とは、俺の彼女であるニケさんのことだ。


「別に、歩様()そのようなこと、なさらなくてもよろしいんですよ?」


 そして、俺の姿を見てくすくすと笑うニケさん。


 不快な感じは一切しない。

 むしろ、とても美しい。思わず見惚れてしまうほどだ。


「いや~。あまりにも神々しくて」

「分かりました。次回参るときには、歩様()()()()神託の影響が及ばないように致しますね」

「ご心配なく。例えそうしてもらったとしても、恐らく無意識のうちにやってしまいますから」

「まぁ、歩様ったら。ふふっ」


 本当ですよ?

 だって、俺は小市民ですからね!


 神託ということで、人々は跪いて祈りを捧げている。

 当然、その人々の中には小市民代表である俺も含まれている。これが単なる降臨のパフォーマンスであると分かっていてもだ。


 それだけ、このパフォーマンスが神々しいのである。

 いや、神々しいのはニケさんのほうだろうか。


「あ、あの、一応私も女神なのですが.....」

「あれ!?伝わってない!?」

「?」


 デートのお決まり文句の一つ、「きれいですね」「あなたのほうがきれいですよ」を多少アレンジしてみたつもりなのだが、どうやらニケさんに伝わらなかったようだ。

 あまりにも絶好調であることが、こんな恥ずかしい結果を生み出そうとは.....。うん。普通でいこう、普通で。


「ところで、先程の神託は?」


 恥ずかしい結果を忘却の彼方に急いで流した俺は、何事もなかったかのように努めて尋ねてみた。

 もはや、こういうことは慣れているので問題ない。問題ないったら問題ない。


「何かおかしかったでしょうか?」

「おかしいというか.....。なんで、ゴキブリ限定なんですか?」

「アテナ様に不敬を働いたからですね」


 それだけの理由で!?


「ニケー。ありがとー( ´∀` )」

「いえいえ。アテナ様に仕える身として、当然のことでございます」

「あ、あの、生態系?とかはいいんですか?」

「連帯責任です。不敬を働いたものに連なるものもまた死滅しても当然の結果でしょう」


 こっわ!?

 私情挟み過ぎでは!?


 そんな過激なニケさんの主張に、それぞれが様々な反応を示す。


 アテナとモリオン(滅殺の意味は俺が教えてあげた)はゴキブリが死滅するということで、にっこり。

 ニケさんはそんなことで嬉しそうにしているアテナを見て、ほっこり。

 ドールは「うんうん。全くその通りなのじゃ」と、何故か感心しきりで、こっくり。.....え!?なんで!?


「ん?当然であろう?

 主人の為に全力を尽くすは当然の務め。その為の被害とあらばやむなしというものじゃ」

「や、やむなしって.....」


「主は分かっておらぬな。仕える者にとって、主人以外は全てその他なのじゃ。

 故に、その他ならば切り捨ててもおかしくはあるまい?」


 や、やばい奴がここにもいた.....。


 そんなドールの極端な主張に、ニケさんの瞳が妖しく光る。

 まるで我が意を得たりと言わんばかりだ。


「ほぅ? アルテミス様の時にも思いましたが、見上げた忠誠心ですね」

「ほ、誉められるようなことではないのじゃ.....です。と、当然のことを言ったまで、です」

「別に普段通りの言葉遣いで構いませんよ?」


 へぇ~。ちょっと意外。

 ドールって、敬語使えたのか。


「そっちなのかの!?」

「冗談だって」


 へぇ~。ちょっと意外。

 規則や規律に厳しいニケさんのことだから、そういう礼儀作法にも厳しいのかと思ったが、そうでもないらしい。


「神に対して、敬意や畏敬の念さえあれば言葉遣いなど些末なことです」


 言葉よりも行動。

 言葉遣いではなく態度で敬意を示せ、ということらしい。


 実にニケさんらしい、合理的というか現実的というか、そういうところはドールと通じている部分が多い。


「そういうことですので、今後は普段通りに話しなさい」

「し、しかしのぅ.....」

「これは命令です。従いなさい」

「!?」


 うひっ!?


 ニケさんからの有無を言わさぬ圧力(命令)に怯むドール。

 その余波が俺のところにもきたので、ちょっとビビってしまった。あれ!?俺にも命令(要求)してる!?


 一応、ニケさんに確認してみたところ、俺は別枠とのことらしい。

 ただ、「もし遠慮しているようなら.....」と言われたので「これが素です」と答えておいた。

 社会人で営業職ともなると、丁寧な言葉遣いが自然と体に沁み付いてしまうものだ。職業病ってやつ?


「むしろ!私が歩様に敬意を払いたいです!!」


 なんて、神の威厳を無視したかわいいことを言われてしまったので、その場で思わず抱き締めようかと思った程だ。

 まぁ、アテナやドール、モリオンのような子供の目があるところだったので、当然自重したがな!何か、問題でも?


 そんな感じで、静かにニケさんといちゃいちゃしていたら.....。


「こらー!ニケー!私の妹に命令しないのーヽ(`Д´#)ノ」


 空気を読まないバカ(アテナ)が乱入してきた。

 どうやら、最愛の妹であるドールに命令をしたことが許せないらしい。


「も、申し訳ありません!アテナ様!」

「コンちゃんにあやまってーヽ(`Д´#)ノ」

「い、いや。姉さま?別に謝罪の必要は.....」

「コンちゃんにあやまってーヽ(`Д´#)ノ」


 アテナからの有無を言わさぬ圧力(言い掛かり)に困惑するニケさん。

 当然、ニケさんだけではなくドールも困り果てている。


 ドールからすれば、遠慮するなと命令されただけで、別に謝罪されるようなことでもなんでもない。

 いや、むしろこの場合は、女神という遥か格上の存在であるニケさんに対して普段通りで良いと許可を貰えたのだから、ドールがニケさんに感謝してもいい案件だと思われる。


 これ、最愛の妹であるドールにすら迷惑掛けていることを、アテナは気付いていないんだろうなぁ.....。


 ・・・。


 結局、主神であるアテナの意向に逆らえないニケさんはドールに謝罪することになった。

 一方、ニケさんの謝罪を受け入れないと事態が収まらないと判断したドールも、しぶしぶ?いやいや?ながら謝罪を受け入れることにした。


 そして、アテナから更なる提案が為される。


「コンちゃんは私の妹なんだからー、敬意をはらいなさーい!」

「敬意.....ですか?」

「今後は名前で呼ばないと許さないからねー!」

「.....畏まりました」

「じゃー、今後はコンちゃんねー(・ω・´*)」


 それ名前じゃねえだろ!

 単なる愛称じゃねえか!!


 結果、ニケさんはドールのことを「ヘリオドール」と。

 そして、ドールはニケさんのことを「ニケ様」と、お互いに呼び合うことが決まることとなった。



 こうして、女神であるニケさんと奴隷であるドールの二人の仲も急速に深まっていくことになる.....のかな?



次回、本編『最強神vs最強種②』!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今日のひとこま


~モリオンの隠された力~ 


「キュ、キュ、キュ!(よぉ!久しぶりだな!あんちゃんよぉ!)」

「ア、アユム!こ、こいつなんなんのだ!?」

「あぁ、モリオンは会うのは初めてか。名前は『テディ』。アテナのペットだな」

「キュ、キュ、キュ!(おぅ!ちっこいの!よろしくな!)」


「お、お前のほうがちびなのだ!」

「え!? テディの言葉が分かるのか!?」

「? 何言ってるのだ? 普通に分かるのだ」

「ソ、ソウダネ.....」


「キュ、キュ、キュ!(おぅおぅおぅ!喧嘩売ってるのか!?このどチビが!」

「ちびって言ったほうがちびなのだ!だから、お前がちびなのだ!」

「そのへんにしてけよ、モリオン。お姉ちゃん(アテナ)に怒られるぞ?」

「.....テディ。誰があなたの発言を許しましたか? 黙っていなさい」


俺に怒られてしゅんとなるモリオン。

一方、ニケさんに睨まれてシュンとなるテディ。.....テディ、どんまい!


「な"ー!な"ー!な"ー!(ご飯ちょーだーい)」

「な!? なんなのだ、こいつは!?」

「な"ーとも初めてだったな。そいつもアテナのペットだぞ」

「な"ー!な"ー!な"ー!(アテナってだれー? 早くご飯ちょーだいよー)」


「.....アユム。何か食べ物欲しいのだ」

「は? さっき朝飯食べたばっかりだろ?」

「我じゃないのだ。こいつなのだ。.....ついでに我も欲しいのだ」

「うぇ!? モリオンはな"ーの言葉も分かるのか!?」


え!?マジなの!?

アテナやニケさんですら分からないのに!?


「? 何言ってるのだ? 普通に分かるのだ」

「いやいやいや。それはさすがに普通じゃない!」

「ほぅ。トカゲはテイマーの素質があるのかもしれぬな」

「テイマー?」


「魔物を従える才能のことですよ、歩様。魔物使いとも言います」

「魔物使い.....。でも、テディは神獣で、な"ーはただの猫ですよ?」

「だから素質があると言うたのじゃ。トカゲはただのテイマーとは違うようじゃの」

「力を得れば、あるいは稀代のテイマーになることも可能かと思います」


稀代のテイマーとは、魔物に限らず、心を通わすことができる生物全て(※但し、人間は除く)を従えることができる最上位の魔物使いを指すらしい。


「力.....ですか。モリオン、どうする? テイマーでも目指してみるか?」

「テイマーってなんなのだ?」

「アテナと同じでペットを飼えるようになる」

「お姉ちゃんと一緒ならなるのだ!テイマーになりたいのだ!」


「なら、目指してみるか。ニケさん、どなたならその力を貰えますか?」

「主神であるならば、どなたでも可能ですよ」

「しゅ、主神.....」

「あっ!も、申し訳ありません!!今のは聞かなかったことにしてください!」


「HAHAHA。ソウデスヨネ.....。主神ナラバ誰デモイイデスヨネ.....。HAHAHA」

「ニ、ニケ様。何を言ってもダメなようじゃ」

「そ、そのようですね、ヘリオドール。

 アテナ様、申し訳ありません。今回も、な"ーの面倒を見て頂いてもよろしいですか?」

「とうぜーん!な"ーちゃーん、おさんぽいくよー( ´∀` )」


類い稀な純真な心を持つモリオンだからこその奇跡なのだろう。

モリオンの希望は特にないと言っていたが、ここに新たな力【テイマー】を目指すことになった。


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