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第162歩目 それぞれの母親!②

前回までのあらすじ


神界の育児事情はいい加減だった!

□□□□ ~モリオンの母親事情~ □□□□


 アテナが残念すぎる子なのは偶然ではなく、必然だったことが判明した。

 俺はモリオンの教育に忙しいので、アテナの教育はドールに任せようと思う。たくましく生きろよ、アテナ。


「みすてないでぇぇえええ(´;ω;`)」

「やる気のないやつは知らん!」


 さて、どうしようもないバカは放っておいて、母親の話はモリオンへと続いていく。

 しかし、モリオンの場合は.....。


「.....我には母様はいないのだ」

「.....いない?どういうことじゃ?」


 ドールさん、つっこむねぇ~。


 普通、こういう場合は空気を読んで遠慮するものだが、ドールはお構い無しに聞いていく。

 当然、ドールもそういう気遣いはできる子だが、今回は不要と判断したようだ。


「.....分からないのだ。ずっといないのだ」

「ふむ。父上には聞いておらぬのか?」

「.....父様も分からないらしいのだ」

「分からぬ訳はなかろう。隠しておるだけじゃ」


 ちょっ!?ハッキリ言い過ぎ!

 恐らく、ドールの言う通りなのだろうが、何か理由があるのかもしれないし。


 船酔いで気分悪そうにしているモリオンも、姉であるドールの言葉に驚いているようだ。

 モリオンからしてみれば、これっぽっちもそんなことは考えたことがないのだろう。いや、この場合は父親の言葉を信じていただけなのかもしれない。


「.....お、お姉ちゃん、本当なのだ!?」

「当然であろう。死んでいるのであれば、死んでいると言うのじゃ。

 なのに、それを言わぬということは何かを隠しておるということじゃ」


 いやいや。

 モリオンがまだ小さいから言えなかったという可能性も.....。


「小さいとは言うが、660歳なのじゃぞ?」

「竜族は1000歳まで子供だって聞いたぞ?」

「トカゲの一族のことなど知らぬ。660歳なら大人と一緒なのじゃ」

「横暴過ぎるだろ.....」


 決して、自説を曲げようとしないドール。

 しかし、2本の尻尾がピーンと逆立っているので、これ以上の反論は控えたほうが良さそうだ。せっかくドールの怒りを静めることができたのだから。


「とりあえず、母上のことが気になるようなら確認してみることじゃな。きっと何かあったはずじゃ」

「.....そ、そうしてみるのだ。.....むー!父様、許さないのだ!我にウソついたのだー!!」


───ビタンッ!

───ビタンッ!


 ちょっ!?

 部屋が壊れるから止めてくれ!!


 ドールに簡単に扇動されてしまったモリオンは、父親に対して激昂しているようだ。

 体の割りに大きな尻尾を、何度も何度も床に叩き付けて怒っている。


「まぁ、頑張ることじゃな(ニヤリッ)」

「モリオンを使って遊ぶなよ.....」

「遊びではない。トカゲのバカどもにちょっとしたおしおきなのじゃ」

「おしおき?どういうことだ?」

「主に手を出した罪を償わせないといかぬからの」


 まだ根に持っているのかよ.....。


 ドールの執念深さ(忠誠バカ)には何か寒気すら感じる。

 それと言うのも、ドールはドールで、アテナ達のような『神思想』に近い考え方を持っているからだ。


『神思想』とは、詰まるところ『自分()が正しい』という究極のわがままだ。

 一方、ドールはと言うと、俺つまり『自分の主人』が正しいという究極の忠誠心となる。


 だから、そこには『神思想』同様、善悪の因果関係は存在しない。


 例え、こちらに非があろうとも、自分の主人に逆らうものが悪となる。

 例え、どうしようもない理由があろうとも、自分の主人に楯突いたものが悪となる。

 例え、世界の全てに手配される悪党になろうとも、自分の主人を否定したものが悪となる。


 そういう考え方があるようなので、先の竜族との戦いも明らかに人間側に非があったにも関わらず、俺を苦しめたという理由だけで竜族憎し!と激怒している訳だ。


 ドールの忠誠心の高さには感服するものがあるが、ちょっと度を越しているようにも思える。

 俺はドールの忠誠バカが原因で、再び揉め事が起こらないことをただただ祈るばかりだ。


 そんなこんなでドールの執念深さにちょっと引いていたら、アテナがよく分からないことを言い出した。


「んー?モーちゃんのママはいるじゃなーい( ´∀` )」

「「「?」」」


 当然、俺とドール、モリオンは頭に?を付けることになった。


 アテナは腐っても女神だ。

 ともすれば、女神にしか分かり得ない何かを知っているということなのだろうか。


 ・・・。


 どういうことなのか、アテナの言葉を待つ。

 そして、アテナから語られた内容はある意味女神らしいものだった。


「私達は姉妹なんだよー?

 だからー、私のママはコンちゃんとモーちゃんのママだよー!

 そしてー、コンちゃんのママは私とモーちゃんのママだねー( ´∀` )」

「「「!!!」」」


 なんという詭弁。

 実に頭空っぽなアテナにふさわしい内容だ。


 でも、だからこそ、これ以上に嬉しい言葉もないのだろう。


「.....じゃ、じゃー、我にも母様がいるのだ!?」

「とうぜーんっ!モーちゃんにはいーっぱいママがいるんだよー!」

「.....姉さまには敵わぬのぅ。稀に良いことを言うから侮れぬのじゃ」


 美しきかな、姉妹愛。

 ドールもそうだが、アテナもモリオンのことを妹として愛しているのは間違いない。とは言え、俺のほうがもっと好きらしいが。照れる。


「.....わ、我も母様に甘えていいのだ!?」

「どんどんあまえなさーい!あーははははは( ´∀` )」

「トカゲはいつも甘えておるではないか」

「無粋なツッコミはやめてやれ」


 この日、今まで母親の居なかったモリオンに母親ができた瞬間だった。

 但し、どちらの母親もそう簡単に会えるものではないが.....。



 ちなみに、モリオンの母親に甘えたい内容というのが、『一緒に寝たい』ことらしい。純粋すぎる!



□□□□ ~俺の母親事情~ □□□□


 モリオンに母親ができたことで、みんなで「良かったね~」なんてほっこりしていたら、遂に俺の出番が回ってきた。


 正直、何も無さすぎて話すのがつらい。

 普通過ぎるゆえに、話のネタがほとんどない。


「俺のお袋は『舞日桂子(マイニチケイコ)』。51歳。専業主婦。以上だ」

「(´・ω・`)」

「「.....」」


 みんなぽか~んとした表情をしている。


 こういう反応は会社で慣れてはいるものの、正直居心地が悪い。

 嘘でもいいから、テキトーでもいいから、拍手か何かしらの反応を示して欲しい。


 ・・・。


 しかし、こういう場合、決まって何も起こらないことがお約束なので、いつものように俺自身で締めることにした。.....うぅ。目から汗が。


「よし。夕食にするか!」

「いやいやいや!それだけなのか!?

 主の()()の紹介は、それだけという訳ではあるまい!?」


 もっと早く聞けよっ!

 恥ずかしいだろっ!!


「それだけだな。普通過ぎて、これと言って何もない」

「さ、さすがに何かあるであろう!?」

「いや、本当に何もないぞ?」


 俺のお袋である『舞日桂子』に武勇伝などは全くない。

 51年前に「おんぎゃー!」と中の下、もしくは下の上である普通の家庭で生を受けて以降、特に目立つこともなく、公立である普通の小学校、中学校、高校に通ったらしい。


 容姿は地味で陰キャだったらしく、クラスの集合写真などは端っこにかろうじて写るぐらい。

 成績もクラスの中では真ん中辺りと特に頭が良いということもなく、運動神経も良くて中の中ぐらいという徹底した普通っぷり。


 当然、彼氏なんて存在ができるはずはない。

 また、恋というものにも興味を持たなかったらしい。


「こんなところか?言っただろ?何もないって」

「(´・ω・`)」

「「.....」」


 考えてみれば、俺の普通っぷりは親の遺伝からきているものなのかもしれない。

 ちなみに言うまでもないと思うが、アテナはともかく、ドールとモリオンには異世界版に例えて説明している。小学校とかそこらへんを。


「ま、待つのじゃ!それでも、主が産まれたのであろう!?そこはどうなのじゃ!?」

「粘るなぁ.....」


 俺のお袋を知ってどうしたいんだよ、ドールは.....。


 親父とお袋が出会った経緯はお見合いだ。

 お袋は高校を卒業すると同時に、大学に行くこともせずに家事手伝いとなった。


 今と違って、SNSどころかPCですら一般的にはあまり普及していない時代だったから、家事手伝いのお袋が男性と知り合う機会はお見合いしかなかった。話を持ってきたのはお袋のお袋。つまり祖母だ。


「お見合いとな。良いではないか」

「まぁ、普通のお見合いだったらな」


 この世界でのお見合いは一般的な婚活となる。いや、メジャーと言っても過言ではないだろう。

 ラズリさんの母親であるスカイさんなんかは、ギルド公認の仲人として認められているぐらいだし。


「お見合いに普通も例外もなかろう?何が問題なのじゃ?」

「それがな.....」


 俺のお袋は人生を普通で通してきたにも関わらず、お見合いだけは普通ではなかった。

 それと言うのも、初めてのお見合い相手とそのまま結婚してしまったからだ。


「別におかしくはなかろう。良くあることじゃ」

「それは.....親父を選んだ理由を聞いてもか?」


「どんな理由だったのじゃ?」

「.....家族以外で初めて手を繋いだ人だから、だとさ。

 そんで、そのまま結婚。デートはたったの1回らしいぞ?」


「(´・ω・`)」

「「.....」」


 それそれ。


 顔を赤くして、まるで乙女にでもなったかのようなお袋に、親父との馴れ初めをノロケられた際、俺もアテナ達と同じような顔をしていた。嘘やろ~!みたいな、そんな微妙な顔を。


 俺のお袋はあまりにも普通過ぎた。

 普通過ぎたからこそ、初めての恋に全てを持っていかれてしまった。


 それに俺の親父がお袋同様普通過ぎたのも、ある意味二人にとっては良かったのかもしれない。

 お互い初めての恋ということだったらしいが、普通同士が惹かれ合うことで気負うこともなく、そのまま普通の炎を心に灯し続けた結果、異例の早さで結婚することになったのだとか。


 例えるなら、磁石でお互い『マイナス』極であるにも関わらず、反発することなくピタッとくっつき合い、あまりにも相性がよすぎたので、『マイナス』×『マイナス』は『プラス』になったみたいな超展開になったということだ。


 こんな普通過ぎるお袋なんて、これ以上何も語ることはない。

 しかし、先程まで呆けていたドールは、なぜかキラキラとした表情で突如お袋を誉め出した。


「素晴らしい()()()ではないか!」

「素晴らしい!?.....いや、ちょっと待て。なんか母上のイントネーションおかしくないか?」

「知らぬ。知らぬが、主はぜひ義母上を参考にするべきじゃ!」

「はぁ!?初めて手を繋いだ人と結婚しろと!?」


 正気か、ドール!?


 ドールの突拍子もない提案に驚かざるを得ない。

 人生の門出である結婚を『初めて手を繋いだから』という理由で、軽々しく結婚相手を決める訳にはいかない。


 第一、俺が初めて手を繋いだ相手と言えば.....。


「にへへー(*´∀`*)

 私と歩は結婚する運命だったんだねー!」

「.....」


 アテナの小憎たらしい顔に、思わず頬をつねってやりたくなったが我慢我慢。

 別にアテナは悪いことをした訳でもない。それに、確かに小憎たらしい顔だけどかわいい。


 そんな浮かれているアテナにドールが待ったをかける。


「妾は参考にせよ、と言うたのじゃ。何も、初めて手を繋いだ者に限定しなくともよかろう?」

「そんなことを言ったら、結構な数の人と手を繋いでいるぞ?」


 アテナを始めとして、ラズリさんやその母親であるスカイさん。

 冒険者仲間であるお姉さん達は除外するとして、ドールやナイトさん、それにアルテミス様。

 そして、彼女であるニケさんや新しく俺の奴隷となったねこみやねここなんかも、その対象となってくる。


「主に好意があるならば、みんなと結婚すれば良かろう?

 もしくは、その中から主に()()()()()()()()()を選ぶというのも良いな」

「みんなと結婚するというのは、この世界ではおかしくないことだからいいとしても、最後のはおかしくないか?」


「な、何がおかしいというのじゃ!?」

「何で選考基準が尽くしている人になるんだよ?そこは俺が好きな人とかにするべきだろ」


 結婚するのは俺なのに、なぜ俺の意思が反映されないのか。

 いや、確かに尽くしてくれる奥さんは魅力的ではあるけどさ?


「み、魅力的ならば良いではないか!何の問題もないのじゃ!

 夫に尽くす嫁こそ至高!昔から、そう相場は決まっておるのじゃ!!」

「いや、相場って.....。俺の意思を反映させろよ」


 ドールが、なぜそこまで尽くす嫁にこだわるのか全く理解できない。

 仮にドールの意見を容れたのならば.....。


「ラズリさんってところかなぁ.....」


 彼女であるニケさんを除くと妥当な線だろう。


 ラズリさんにはパレスにいた時からお世話になっていたし、今もなお手紙のやり取りなどで色々と助けてもらっている。

 そういう点を踏まえると、俺に最も尽くしてくれているのはラズリさんをおいて他にはいない。


「な、なんじゃと!?」

「なんでそんなに驚くんだよ?」

「わらわ.....(ごにょごにょごにょ)」

「なんだって?よく聞こえないが?」


 いつものドールらしくない。

 普段から高慢で自信たっぷりなドールとは違い、今のドールはなんというかハッキリしない態度そのものだ。言いたいことがあれば、いつものように言えばいいのに.....。


 そして、遂には.....。


「主のバカものぉぉおおお!」

「なんで!?」


 今にも泣きそうな顔をしたまま、ドールは部屋を飛び出していってしまった。いや、少し泣いていたかも.....。

 2本の尻尾もシュンとうなだれていたので、嘘泣きなどではなくガチなやつだろう。


「.....」


「コンちゃんをいじめないのーヽ(`Д´#)ノ」

「.....お姉ちゃんはなんで泣いてたのだ?」


 取り残された事情を全く理解していないとうへんぼくな3人。

 この後、みんなで協力してドールを探したことは言うまでもないだろう。



 こんなドタバタな日々を暮らしつつ、俺達は最初の目的地『流通の町ヴェルナシュ』へと到着するのだった。



(64日分の取得品)


①3日間昏睡中のアテナ達の無駄遣い (↓80,000,000ルクア)

②キャベツさんのプライベートキー

③スキル【申請魔法Lv.1】取得   (女神ポイント↓10,000)共有分↓10,000

④スキル【申請魔法Lv.2】取得   (女神ポイント↓20,000)共有分↓20,000

⑤スキル【申請魔法Lv.3】取得   (女神ポイント↓60,000)共有分↓60,000

⑥スキル【ワールドマップLv.1】取得(女神ポイント↓10,000)共有分↓10,000

⑦スキル【マッピングLv.1】取得  (女神ポイント↓10,000)共有分↓10,000

⑧ヴェルナシュまでの費用4人分   (↓800,000ルクア)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『アテナ』 レベル:3 危険度:極小


種族:女神

年齢:ーーー

性別:♀


職業:女神

称号:智慧の女神


体力:50

魔力:50

筋力:50

耐久:50

敏捷:50


装備:殺戮の斧


女神ポイント:216,940【↓143,200】(64日分)


【一言】ぶー!ベルジュは半月しかいれなかったー(´-ε -`)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アユムの所持金:3,763,902,200ルクア【↓80,800,000】(64日分)

冒険者のランク:SS(クリア回数:15回)


このお話の歩数:約930,000歩(64日分)

ここまでの歩数:約50,268,200歩


アユムの旅行年:26ヶ月+20日

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『アユム・マイニチ』 レベル:10026【↑93】


種族:人間

年齢:26

性別:♂


職業:凡人

称号:女神の付き人/竜殺し(ドラゴンスレイヤー)

所有:ヘリオドール/ねこみ/ねここ


体力:10036(+10026)【↑93】

魔力:10026(+10026)【↑93】

筋力:10031(+10026)【↑93】

耐久:10031(+10026)【↑93】

敏捷:12486(+12426)【↑93】


装備:竜墜の剣(ドラゴンキラー)(敏捷+2400)


技能:言語理解/ステータス/詠唱省略


Lv.1:初級光魔法/初級闇魔法


Lv.2:浄化魔法


Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知/隠密

   偽造/捜索/吸収/治癒魔法/共有

   初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法

   初級土魔法/ 物理耐性/魔法耐性

   状態異常耐性


Lv.4:初級風魔法 (※『竜墜の剣』装備時のみ)


共有:アイテムボックスLv.3

   パーティー編成Lv.3

   ダンジョンマップLv.3

   検査Lv.3

   造形魔法Lv.3

   奴隷契約Lv.3


待機:申請魔法Lv.3

   ワールドマップLv.1

   マッピングLv.1


加護:『ウォーキング』Lv.10026 2844/10027

   『NTR』   Lv.3812  887/3813

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次回、本編『ベルジュでできなかったこと』!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今日のひとこま


~伝わらない思い~ side -ヘリオドール-


これはアテナ達に発見された後のお話。


「のぅ、トカゲ。頼みがあるのじゃ」

「お姉ちゃん、なんなのだ?」

「主に、わ、妾のこと.....いや、妾達のことをどう思っているのか聞いてみて欲しいのじゃ」

「どういうことなのだ?」


「そ、その、好きかどうかをな.....」

「好きに決まってるのだ!そう言ってたのだ!」

「違う!トカゲの言っている好きとは違う意味なのじゃ!」

「.....?好きなのに違うのだ?」


ぐぬぬ。やはり、トカゲはいちいち理解させるのがめんどくさいのぅ。

かと言って、姉さまに頼む訳にもいかぬし.....。


「我はアユムになんて聞けばいいのだ?」

「そうじゃのぅ.....。妾達のことを一人の女性として見てるかどうか、かの?分かるか?」

「我は女の子だと言われたのだ!問題ないらしいのだ!」

「まぁ、トカゲはどう見ても女性というには厳しいしのぅ.....」


ちっこいし、胸もぺったんこだし。


「なにか違うのだ?」

「トカゲにはまだ早い。それに、これ以上、ライバルもいらぬ」

「.....我は仲間外れなのだ?お姉ちゃんと一緒じゃないのだ?」

「まだ早いと言うたであろう?いずれ一緒になるから安心せい。主のことは諦めてもらうがの」


「おー!お姉ちゃんと一緒になれるのだー!」

「一緒、一緒なのじゃ。だから、早う聞いてこんか」

「はーいなのだ!いってくるのだ!」

「うむ。早くするのじゃ」


───10分後。


「お姉ちゃん、聞いてきたのだ」

「うむ。して、主はなんて言っておったのじゃ?」

「「良かったな」と、言ってたのだ!」

「はぁ!?なにが良かったのじゃ!?」


「我が「お姉ちゃんと一緒になれるのだ!」と言ったら、アユムがそう言ったのだ!」

「何を聞いてきておるのじゃ!このバカものが!!」

「うぅ.....。ご、ごめんなさい、なのだ」

「良いか?もう一度言うから、ちゃんと聞いてくるのじゃぞ?」


「なんでお姉ちゃんが聞かないのだ?アユムと喧嘩してるのだ?喧嘩は良くないのだ!」

「喧嘩などしておらぬ。妾はトカゲと違って忙しいのじゃ」

「おー!お姉ちゃんはすごいのだ!.....それで我はなんて言えばいいのだ?」

「妾達のことを一人の女性として見てるかどうか、じゃ。今度こそ大丈夫であろうな?」


「我は女の子だと言われたのだ!問題ないらしいのだ!」

「それはさっき聞いたのじゃ。二度も言わんで良い」

「.....我のお話はつまらないのだ?我はお姉ちゃんと一緒にたくさんお話したいのだ」

「つまらぬとは言っておらぬであろう?それに、いつもたくさん話しておるではないか」


「じゃー、一緒にお話ししてくれるのだ?」

「姉妹なのだから当然なのじゃ。分かったら、早う聞いてこんか」

「はーいなのだ!いってくるのだ!」

「ちょっと待つのじゃ!」


「なんなのだ?」

「トカゲは主に何を聞くつもりなのじゃ?」

「お姉ちゃんが一緒にお話ししてくれるって言ってたのだ!ってことなのだ!」

「このバカトカゲェェエエエ!」


こうも伝わらないとは、なんとももどかしいのじゃ.....。


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