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第144歩目 はじめての船旅!

前回までのあらすじ


モリオンは竜族だった!

□□□□ ~現状説明~ □□□□


 モリオンとともに旅に出てから既に1ヶ月が過ぎた。

 この1ヶ月の間に様々な変化があったので軽く説明しよう。


 まずは当然ながら、ただいま船旅中だ。


挿絵(By みてみん)


 目的地は海都ベルジュ。

 既に1ヶ月が過ぎたので、残り3ヶ月の船旅となる。


 そう、残り3ヶ月()まだ残っているのである。

 暇だ。退屈だ。死にそうである。


『退屈は死に至る病』とも言うが、まさにそれだ。

 船旅がここまでやることがないとは思ってもいなかった。


 暇ならウォーキングでもすればいいだろ!と思う方もいるだろうが、少し考えてもらいたい。

 船内や甲板を毎日何時間も歩いている人を見た時、あなたはどう思うだろうか?


 俺は5日で心が挫け、更には悪い意味での有名人となってしまった。


「やってたんかーい( ´∀` )っ))」

「ナイスツッコミだ!アテナ!!」


 暇過ぎるし、レベル上げもできないこの状況に焦燥の念が募る。

 この無駄な時間を少しでも有効活用したいのに.....。


(う~ん。気にはしていなかったが、今度ウォーキングマシーンがないか覗いてみるか.....)


 多数の勇者がこの世界に送り込まれ続けて数百年以上が経ち、あまつさえ、魔導駆輪なる自動車擬きもあるぐらいだ。

 健康器具を生み出している勇者もきっといることだろう。.....うん、今度見てみるか!


 と言うことで、環境の変化のその1は暇すぎる船旅だ。

 とは言え、実は客船のほうでも客を楽しませる用意はそれなりにしてはいる。


 俺達が利用しているこの客船は、コシーネさんが用意してくれた貴族御用達の豪華客船だ。

 だから、映画とかでもあるような例のあれも当然ながら用意されている。


 それがなにかと言うと───。


「にへへー(*´∀`*)じゃー、お金ちょーだーい!」

「はぁ.....。いい加減にしないと出禁くらうぞ?」

「だいじょーぶー!ほどほどにボロもうけするからー!」


 ボロ儲けする気満々なのにほどほどとは?


 俺がアテナ、モリオンとともに赴く場所はカジノだ。

 まぁ、豪華客船にカジノとバー(異世界では酒場)は付き物で、当然ながらここにもある。


 ただ.....。


「いらっしゃいませ。お客.....うっ!!」

「よろしくねー!あーははははは( ´∀` )」

「よろしくなのだー」

「すいません。すいません。しっかりと管理しますので.....」


 俺達が姿を見せるなり、カジノの入り口に立っていた黒服の男から露骨に渋い顔をされてしまった。

 最早アテナの出禁は時間の問題だろう。バッチリと顔を覚えられてしまっている。


 では、どうしてここまでアテナが露骨に嫌がられるのか。

 それは経営者なら誰でもそうなってしまう原因があるからだ。


「歩~!歩~!みてみてー!777だってー!やったーo(≧∇≦)o」

「またなのだ!?」

「「「「「おぉ!嬢ちゃん、またかよ!!」」」」」


「.....」


 アテナが席に着くなり、早々に大当り。


 凄いと思うだろう?

 これが全然凄くない。


 昨日も、一昨日も、その前も.....いや、カジノに来る度に、大当りやジャックポット、しまいには伝説に名を残すダブルアッパーとして荒稼ぎしまくっているのだ。

 これで目を付けられないほうがどうかしている。


 普通、『ギャンブルは胴元が有利』だとか『ディーラーによって勝敗は操作される』とか、ギャンブルにはこういうものがお約束なのは有名である。

 事実、この豪華客船でもそうなのだろうが、そのことごとくがアテナに通用しない状況となっている。


 儲かるシステム?巧みなディーラーの技術?

 なにそれ?おいしいの?


「あーははははは!当たりがとまんないよー!敗北をしりたーい( ´∀` )」

「お姉ちゃんすごいのだ!」

「「「「「おぉ!嬢ちゃん、すげぇな!!」」」」」


「.....」


 神の如き最強の運の前には、人の小細工など一切通用しない。

 世界に、人に愛されるアテナは、どうやらカジノにも愛されるようだ。.....と言うか、いい加減にしろっ!!


 と言うことで、環境の変化のその2はアテナがバカ過ぎることだ。

 いや、これはもともとだから変化ではないか。


 そもそも、絶対に負けないギャンブルとか面白いとは到底思えない。

 俺はギャンブルにはそれほど興味はないが、勝つか負けるかのあのドキドキ感を楽しむものではないのだろうか。


 それに、既に30億以上の資産があるのでギャンブルで儲けたいとも思わない。

 お金はあればあるだけいいのだろうが、ものには限度というものがある。今の資産で満足しないのは欲張りすぎだろう。堅実にいこうよ堅実に!


 そういう気持ちもあるので、素直にギャンブルを楽しめない。

 むしろこれは、ギャンブルにハマらない要因にもなっているのでいいのかもしれないが.....。


 もう一つの娯楽の場である酒場は、俺と同等に呑める相手が全くいないので、なおさらつまらない。

 一人で呑んで楽しめる程、俺はそこまで人生経験を積んではいないし、渋い男でもない。


「ドールが来る頃だから帰るぞ」

「はーい(・ω・´*)」

「なのだ!」


 アテナが本当にほどほどボロ儲けした頃、俺の数少ないお楽しみ時間がやってきた。

 場所を船室に移して、アテナ、モリオンとともにドールをいまかいまかと待つ。


 しばらくすると───。


───ガチャ


「ただいまなのじゃ」

「おかえり」

「おかえりー( ´∀` )」

「おかえりなのだー」


 ドールその人がやってきた。


 一見、ドールの様子は普通そうに見えるものの、俺の心眼はその瞬間を見逃さなかった。

 フリフリのスカートの下では、激しいまでに2本の尻尾が勢いよくぶんぶんと振られていることを。かわいいやつめ。


「なんじゃ?」

「いや、なんでも」


 時間が惜しいので、早速ブラッシングを開始する。


 (あらわ)になったきれいでもふもふな耳や尾を、丁寧に時間をかけてゆっくりとブラッシングしていく。

 この瞬間、このひとときが、俺の数少ない癒しの、楽しみの時間だ。もっふもふ~。


「どうだ?アイドルの勉強は上手くいっているか?」

「あ~。そこいいのじゃ~!.....まぁ、勇者様 (※)は相変わらずじゃがの」 (※)サキのこと。

「そうか。.....ごめんな?迷惑をかける」

「事情が事情じゃ。仕方あるまい」


 本当にごめん!

 もう少しの辛抱だから我慢してくれ!!


 環境の変化その3は、実は現在ドールとはともに過ごしてはいないことだ。

 とある諸事情によって、離れ離れとなってしまっている。


 そのとある事情と言うのが───。



 時は1ヶ月前に遡る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あれはサキ達とともに、この豪華客船で旅を始めた時のことだ。


「ぉっさんさー、こんなでかぃ船を手配してぉぃてなんで営業してなぃゎけー?」

「なんのことだ?」

「はぁ.....。ぉっさんマジ卍」


 だから卍ってなんだよ!?


「ディナーショーのことに決まってんっしょ」

「ディナーショーがどうした?」


 この豪華客船は朝・昼・晩と豪華な食事が用意される。

 その内ディナーに関しては、貴族の趣味もあってか、3日に1度の頻度でショーが開催される。


 それはいいのだが、そのショーがなんだというのか.....。


「ステージがぁるのにァィドルのサキの出番がなぃとかぉかしぃっしょ」

「いや、そもそも俺達は客だしさ.....」

「かんけーねーっつーの。

 ステージがぁれば歌ぅ。それがァィドルなゎけ。ぉ・ゎ・か・り?.....さっさと営業ぃけし」


 このくそJKはっ!!


 イライラするもDQNに逆らうことは逆効果。

 営業スマイルを維持しつつ、大人の余裕を見せつける。


(我慢。我慢。海都までの辛抱だ!)


 グズグズしていると、またサキに文句を言われそうなので、早速交渉しに行こうとすると.....。


「お姉様、ご安心ください。そこの虫けらとは違い、私が話をつけてきましたので」

「ゃるじゃん!さすがサキの奴隷っしょ!.....ぉっさんは見習ぇょなー」


「.....」


 どうやら、える子ちゃんが話をつけてきた模様。

 またしても理不尽な無能の烙印を押されてしまった。.....と言うか、える子ちゃんがいるなら俺いらねえじゃん!


「はぁ?女を働かせてなぃで男が働けっつーの」

「それ男女差別.....」

「差別wゥけるwww草生ぇさせるなしーw男は働ぃてATMになるぐらぃがちょぅどぃぃっしょw」

「.....」


 ATMってお前.....。

 

 ダメだ。話にならないぐらい思考回路が全く違う。

 こういう奴は相手にしないのが一番だ。話をしているとついイライラしてしまう。


(.....が、我慢だ、我慢。このくそJKとも海都でおさらばだ。

 海都に着いたら、さっさと姿をくらましてやる!.....あと数ヶ月の辛抱ぐらい俺なら余裕だ)


 そう思っていたら───。


「海都に着ぃたら次の営業ょろー」

「.....は?」


 なにやら不吉な文言が聞こえたような.....。

 いやいやいや。きっと気のせいだろう。


「は?じゃねぇーし。ぉっさんは仕事が遅ぃんだから当然っしょ」

「.....」


 気のせいでもなんでもなかった。

 このくそJKは海都を以降も俺に寄生する気でいるようだ。


 これにはさすがの俺も我慢の限界だ。

 いつまでもこんなDQNに付きまとわれたのではまともな旅なんて出来っこない。


 だから俺は───。


「.....ちょっと話がある」

「後にしろしー。サキはぉっさんと違って忙しぃんだっつーの」


 このくそJKは!

 人をどこまでもバカにしくさって!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そこでサキと話し合った結果が、海都にて袂を分かつことだった。


 当然揉めた。揉めに揉めた。

 揉め過ぎて何度サキにぶん殴られたことか.....。

 何度ひと・える・いぬ子ちゃんに汚物のように扱われたことか.....。


 それでも根気よく交渉を続けた結果、ある2つの条件を出された。

 それが『金』と『ドールの譲渡』だった。


 当然『金』は即承諾した。

 多少むしり取られようともその価値は大いにあるからだ。


 だが、『ドールの譲渡』は即拒絶した。

 ドールの気持ちもそうだが、なによりもドールは俺の奴隷であって、俺が面倒を見る責任がある。

 犬や猫の子のようにホイホイと簡単に譲渡できるものではない。


 そうなると当然.....。


 再び揉めた。揉めに揉めた。

 揉め過ぎて何度サキに失神させられたことか.....。

 何度ひと・える・いぬ子ちゃんに足蹴(あしげ)にされたことか.....。


 それでも根気よく根気よく交渉した結果、ようやく条件の譲歩にこぎ着けることに成功した。

 それが『船旅中のドールの貸し出し』という訳だ。


 恐らくだが、サキが譲歩した本当の狙いは、この4ヶ月の間にドールの心を射止めて俺から奪う魂胆なのだろう。

 それが透けて見えていたので、俺もドールを貸し出す代わりにサキに一つの条件を示した。


 それが今の癒しの時間という訳だ。

 3日に1度たったの2時間しか一緒に居られないが、それでもこの時間はとても尊い。


 とは言え、全く会えない訳でもない。

 同じ客船にいる訳なのだから、食事の時や様々な場所で頻繁に()()したりはする。

 ただ、ひと・える・いぬ子ちゃんに阻害されてしまうので、挨拶ぐらいしか出来ないのが厳しいところだが.....。


 だから、この時間は主従の関係を温める本当に大切な時間となっている。


「そう言えば.....。ちらりと耳にしたが、カジノが出禁になったとか。真か?」

「HAHAHA」

「何をしておるのじゃ.....全く」

「アテナが無双しまくるのが原因なんだよ」

「だってー。どーしても勝っちゃうんだもーん(´-ε -`)」


 勝っちゃうんだもーん(´-ε -`)じゃねえんだよ!

 ほどほどにしろって言ったろ!!


「はぁ.....。主にあまり迷惑をかけるでないぞ?」

「だいじょーぶー!もー、コンちゃんの釈放金は稼いだからねー!あーははははは( ´∀` )」

「誰も捕まってはおらぬわっ!!」


 あれ?もしかして.....。

 アテナがカジノで荒稼ぎしていたのは(ドール)の為なのか?


「とうぜーん!」

「はい、ダウト」

「嘘であろうな」

「えええええΣ(・ω・*ノ)ノ」


 この俺が今さらアテナなんかに騙されてたまるか。

 でも.....アテナが稼いだ金は、サキからの条件に出された金に使わせてもらおう。


 そんないつものやり取りをしていると───。


「しゃくほうきんってなんなのだ?」


 こちらもいつものなぜなぜ攻撃が始まった。

 なんでも知りたがるモリオンは好奇心の塊である。


「悪い子を逃がしてあげるお金のことだ」

「じゃー、お姉ちゃんは悪い子なのだ?」

「だから!妾は捕まってはおらぬ!!」

「お姉ちゃん、いい子にならないとダメなのだ!」

「だそうだ」

「主まで!ぐぬぬぬぬっ!!」


 真剣な表情で注意を促すモリオンに、敢えてそれに付き合ってあげているドール。

 この姉妹の中で一番年下なのに、本当に良く出来たお姉さんだ。だからか、一番上の姉の酷さがより際立つ。


 それにしても.....。


(ちょっとロリロリしいが、本当に癒されるなぁ)


 みんながこうして揃っている時間が本当に楽しい。

 アテナが、ドールが、モリオンが、笑顔でいてくれるだけで残りの退屈な3ヶ月間もなんとか乗りきれそうだ。


「名残惜しいが、時間じゃの」

「そうか。また3日後な」

「ごーんーぢゃーん、バーイバーイ(´;ω;`)」

「お姉ちゃん、またなのだー!」


「うむ。姉さまもトカゲも主にあまり迷惑をかけるでないぞ?.....では、さらばじゃ」


 こうして楽しい時間はあっという間に終わりを迎え、ドールはサキ達の元へと帰っていった。



(3日後が本当に楽しみだ。何かドールが喜びそうなものでも用意しておくかな)



 以上が、この1ヶ月間にあった出来事だ。

 要約すると、退屈な船旅と変わらない面々とのいつものやり取りがあったという、なんともオチのない話だ。



 ・・・。



「ちょっと待つのだ!」

「いきなりどうした!?」

「我の活躍を忘れているのだ!」

「!!!」


 そうだった。

 一つだけ大きな変化があったんだった。


 それは何かというと───。



 その話はまた次回にするとしよう。




(35日分の取得品)


①ニケとのデート代    (↓1,000,000)

②別れの諸経費      (↓450,000)

③ねこみ、ねここ購入費用 (↓3,000,000【購入費2,000,000+契約費1,000,000】)

④サキとの手切れ金    (↓500,000,000)

⑤アテナのカジノ売上金  (↑1,000,000,000)

⑥スキル【パーティー編成Lv.2】取得 (女神ポイント↓400)

⑦スキル【パーティー編成Lv.3】取得 (女神ポイント↓1,200)

⑧スキル【奴隷契約Lv.3】取得    (女神ポイント↓180,000)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『アテナ』 レベル:3 危険度:極小


種族:女神

年齢:ーーー

性別:♀


職業:女神

称号:智慧の女神


体力:50

魔力:50

筋力:50

耐久:50

敏捷:50


装備:殺戮の斧


女神ポイント:213,140【↓139,600】(35日分)


【一言】なんかすごい久しぶりな気がするーΣ(・ω・*ノ)ノ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アユムの所持金:3,851,752,200ルクア【↑495,550,000】(35日分)

冒険者のランク:SS(クリア回数:14回)


このお話の歩数:約1,090,000歩(35日分)

ここまでの歩数:約46,745,200歩

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『アユム・マイニチ』 レベル:9668【↑113】


種族:人間

年齢:26

性別:♂


職業:凡人

称号:女神の付き人/竜殺し(ドラゴンスレイヤー)

所有:ヘリオドール/ねこみ/ねここ


体力:9678(+9668)【↑113】

魔力:9668(+9668)【↑113】

筋力:9673(+9668)【↑113】

耐久:9673(+9668)【↑113】

敏捷:12128(+12068)【↑113】


装備:竜墜の剣(ドラゴンキラー)(敏捷+2400)


技能:言語理解/ステータス/詠唱省略


Lv.1:初級光魔法/初級闇魔法


Lv.2:浄化魔法


Lv.3:鑑定/剣術/体術/索敵/感知/隠密

   偽造/捜索/吸収/治癒魔法/共有

   初級火魔法/初級水魔法/初級風魔法

   初級土魔法/ 物理耐性/魔法耐性

   状態異常耐性


Lv.4:初級風魔法 (※『竜墜の剣』装備時のみ)


共有:アイテムボックスLv.3

   パーティー編成Lv.3

   ダンジョンマップLv.3

   検査Lv.3

   造形魔法Lv.3

   奴隷契約Lv.3


加護:『ウォーキング』Lv.9668 5249/9669

   『NTR』   Lv.2736 1249/2737

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


次回、本編『ドラゴン』!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


今日のひとこま


~姉妹への憧れ~


これはモリオンの正体が判明したその後のお話。


「『あね』とか『いもうと』ってなんなのだ?」

「なにって言われると難しいなぁ.....。ドールはどうだ?」

「そうだのぅ.....。強い絆、というべきかの?」

「絆.....。まぁ、それが一番妥当かな?」


「どういうことなのだ?」

「モリオンは一人っ子なんだよな?」

「よくわからないのだ」

「まぁ、姉や妹のことを知らぬのなら、姉妹はおろか兄弟もおらぬであろうな」


それもそうか。

なら、いないと仮定して話を進めるか。


「だよな。モリオンにも父親や母親がいるだろ?」

「父様はいるけど、母様はいないのだ」

「あっ.....。すまん」

「?」


「.....いや、なんでもない。父親とモリオンは親子だろ?」

「なのだ!」

「父親のことが好きなのと俺のことが好きなのは別だろ?つまりはそういう.....」

「いっしょなのだ!」


おおぅ.....。

ここにもアテナみたいなことを言う奴がいるとは.....。


「えっと、そうだな.....。とにかく大好きってことだ!好きよりももっと好きな関係のことだ!」

「すごいのだ!我もなってみたいのだ!」

「え?.....まぁ、今さら一人増えたところで変わらないか。別にいいんじゃないか?」

「やったのだー!『姉』と『妹』はどっちがつよいのだ?」


「姉だな」

「じゃー、お前は我の妹なのだ」

「はぁ?どチビのくせに何を言うておる。妾が姉に決まっておろう」

「お前、我よりもよわいのだ」


あれ?

もしかして険悪な感じ?


「ふん!ならばトカゲなんぞと姉妹などにはならぬわ!!」

「お、おい、ドール。いくらなんでも言い方ってもんがあるだろ.....」

「わ、我と姉妹にならないのだ.....?」

「身の程をわきまえぬ者と姉妹の契りを交わしとうない!」


「.....」

「モ、モリオン?きっとアテナなら姉妹になってくれるぞ?」

「姉さまが認めても妾は認めぬ」

「お前なぁ.....。こんな小さい子に少し厳し過ぎないか?」


意外とドールは上下関係にうるさいのだろうか。


「なに言うておる。こういうのは始めにしっかりとやっておかねばならないのじゃ」

「わ、我が妹ならいいのだ?」

「ただの妹ではダメじゃな。順番的にも一番下じゃ。それならば良かろう」

「どうするんだ?モリオン。無理して姉妹にならなくてもいいんじゃないのか?」


「わ、我はもっと我のことを好きになってもらいたいのだ。きらいなのは怖いのだ」

「.....。(そういうことか。なんとなく本能的に仲間みたいなものを求めてしまうのか)」

「姉妹になるのなら姉には敬意を払うこと。これは絶対なのじゃ。破ったら契りは即無効。良いな?」

「わかったのだ!お姉ちゃん、よろしくなのだ!」

「うむ。良かろう」


こうして、またまたアテナに妹が増えることになった。


ちなみに、姉妹順は以下だ。


(姉)アテナ (一の妹)ドール (二の妹)ねこみ (三の妹)ねここ (末の妹)モリオン


余談だが、年順にすると.....。


(姉)アテナ >(末の妹)モリオン >(二の妹)ねこみ >(一の妹)ドール >(三の妹)ねここ



もう、わけわっかんね.....。


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